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プラットフォームサービス株式会社 代表取締役 田辺恵一郎 会長

“何か”が生まれる中小企業のビジネスコミュニティ
       ・・・ちよだプラットフォームスクウェア

2今回お邪魔したのは、千代田区神田錦町、財団法人まちみらい千代田も入居している“ちよだプラットフォームスクウェア(以下、CPS)”を運営しているプラットフォームサービス株式会社の田辺恵一郎会長です。

 田辺会長へインタビューは14:00のお約束ですが、財団法人まちみらい千代田は4階、プラットフォームサービス株式会社の事務所は1階にありますので、3分前に出発するという企業探訪始まって以来の近さです。

プラットフォームサービス株式会社は“CPS”を運営するために千代田区神田錦町に生まれた会社です。千代田区が運営し、赤字で困っていた中小企業センタービルを、千代田区から借り受けて、2004年10月より、“CPS”の運営を始めたのです。運営のコンセプトは“千代田区の地域特性を活かした「SOHOまちづくり」の総合拠点”。

  • ◎ 公共施設の稼働率の向上
  • ◎ 新しい産業集積の創出
  • ◎ コミュニティの活性化

を3つの目的として掲げています。

CPSは、今や官民共同の公共施設の再活用の成功モデルの一つとして大変有名な存在です。

プラットフォームサービス株式会社の活動は、千代田区またその外郭団体である財団法人まちみらい千代田の理解と協力なくしては語れませんと田辺会長。

今回はその活動を概要と今後の展望のお話をお伺いします。

プラットフォームスクウェアとは?

現在入居している事業者は、スタート時にはゼロ(当たり前か)でしたが、個人、法人合わせて300を超え、いまでも新規入居待ちの状態が続いています。世間では大変に成功している官民連携のインキュベーション施設であるとい言われますが、正確に言うとインキュベーション施設ではありませんと田辺会長。

確かに、CPSでは、入居の年数が決められているわけではありませんし、創業年数の縛りもありません。賃料に関しても、行政から補助があるわけではなく、平米あたりで換算するとそう安くはない(結構高い)のです。ではCPSとは一体何か?

 “一言で言うと、中小企業者のビジネスコミュニティです”と田辺会長はいいます。ITやインターネットがいくら発達しようとも、いいアイデアやすごい企画は人と人との接触から生まれる。その場としてCPSは活用されているのです。そのアイデアや企画が生まれ、それを実現して行く活動が行われることで、この千代田という地域が活性化することになる。そのための拠点がCPSだという位置づけです。

施設利用者はいろいろですが

CPSの利用者はさまざまです。個人・法人、男性・女性、ジュニア・ミドル・シニア、学生・社会人・主婦、日本人・外国人、民間企業・公共企業・行政、千代田区の会社・地方の会社、本社・支社など、その特性はものすごく幅広い。まさに“なんでもあり”の状態です。

 ただし、このCPSの基本コンセプトに賛同できない方は活用できません。ですので、利用者の審査は形式でなく、実質的活動内容にもとづいて、しっかりした面接と利用者との合意の上で契約が行われています。ですから、利用者の皆さんは社会的意識が高く、それを事業として社会を変革していこという志を持つ人々がたくさんいます。

 最近は利用者同士の交流も盛んになってきました。ビジネスの連携はもとより、スポーツや芸術、文化の同好会など、利用者が発案者となり新しい交流が生まれています。プラットフォームサービス株式会社でもこのような交流を積極的に応援していきたいと田辺会長。

CPSの取り組み

プラットフォームサービス株式会社では、CPSをベースに様々な活動を行っています。詳しくは、ホームページに掲載されていますので、ここでは項目だけご紹介します。

  • (1)  レンタル・オフィスの提供
     ① オープンネスト(250名)15,000円/月(税別)
     ② クローズドネスト(60部屋)10,000/㎡・月(税別)
  • ( 2 ) 貸会議室の運営
     5階、4階、地下1階に大小さまざまな会議室を提供
  • ( 3 )  アネックスの展開
     周辺中小ビルと連携し、空きフロアーをCPSのアネックス(別館)として活用。現在7フロアー。
  • ( 4 )  市町村サテライトオフィス東京 
     財団法人まちみらい千代田と連携し、東京に出先機関を設けたい市町村にレンタルオフィスを提供
  • ( 5 ) ちよだ青空市
     NPO法人農商工連携サポートセンターの活動に協力する形で月1回施設内のウッドデッキで地方の農産物を販売。 今後は区内の大型ホテルでも開催予定。
  • ( 7 )  女性企業家支援オフィス
     千代田区からの要請に応え、女性企業家を応援するレンタルオフィスを設置
  • ( 8 ) 屋上の緑化
     NPO法人が屋上を菜園として運営。利用者の憩いの場として提供
  • ( 9 ) タウンミーティング
     利用者と施設の意見交換の場
  • ( 10 ) ランチミーティング
      利用者同士のランチを食べながらの情報交換
  • ( 11 ) カフェ
      打ち合わせ、食事、パーティーができるカフェを誘致
  • ( 12 ) ビジネスセンター
      利用者が事務用品の購入、コピーや製本などを頼めるビジネスセンターを誘致

などなど、CPSの創意工夫はまだまだありますが、字数の関係ですべては紹介できません。
施設利用希望者がどんどん増えているのは、このようなサービスの創意工夫と魅力的な取り組みの反映でしょう。

非営利型株式会社ということ

プラットフォームサービス株式会社には極めて大きな特徴があります。それは“非営利型株式会社”であるという点です。

これからの新しい公共の担い手が活躍できる仕組みとして、この“非営利型株式会社”というやり方をプラットフォームサービス株式会社で試してきました。これまでは自分たちだけで試してきましたが、現在非常に使い勝手のいい方式であると自信をもっていえます。是非この方式を広く世の中で活用してもらいたいと考えており、“非営利型株式会社法”という法律にまでならないかと田辺会長は熱く語ります。 

NPO、NGO、公益財団など公的な仕事を行う組織体の仕組みはあるのですが、どれも帯に短し、たすきに長しで非常に使いにくい。

ということで、“非営利型株式会社”というやり方を簡単に説明してもらいました。

  • (1)   儲かっても配当しない。内部留保し、地域貢献に再投資。
  • (2)   残余財産の分配は、出資した金額を限度とする。
  • (3)   役員報酬は出すが、職員を含めてその地域の公務員給与を上限とする。
  • (4)   役員賞与はなし。(職員の賞与は有り)
  • (5)   持ち株比率は1名20%を限度とする。

など、責任と権限が明確で、資本の集積や役員による迅速な意思決定といった株式会社制度のメリットを最大限に活かしながら、株主の欲望の肥大化に一定の歯止めを設け、株主がその会社とその地域の真の応援団になることのできる仕組みを目指しているのです。

まちづくりという役割を担う会社には、2つの役割があると田辺会長は言います。一つは行政機能の補完、もう一つは民間領域での公共性の発揮。この役割を果たすための組織体として“非営利型株式会社”が最適ではないかと田辺会長は言います。

資本主義はこれからますます複雑化する一方です。自分の持つお金を有効に社会のために使って欲しいと考えている人は、いったいどこの誰に投資すればいいのか?気をつけないと、社会貢献という仮面をかぶった偽りの会社も多くあります。

その地域に根ざし、その地域のまちづくりを担う会社に自分のお金が活かされていることが分かれば、地域のお金の流れも変化するはずです。だから”投資”ではなく、”投志”なんですと田辺会長。その際の受け皿として、非営利型株式会社が有効だというのです。

地方と都市の連携

市町村サテライトオフィス東京やちよだ青空市は千代田と地方を結びつける取組みです。千代田区という場所は、日本の中心部にあり、さまざまな地方のすぐれた物産や技術が集まり、この地で融合、進化し、再び地方や世界に発信していくという機能を持った場所です。千代田と地方は相互に依存する存在です。

地方が元気でなければ、東京も千代田も元気にはならないということで、財団法人まちみらい千代田と共催で、市町村サテライトオフィス東京の利用者の方々と、東京商工会議所千代田支部、千代田区商工業連合、千代田区商店街連合会など千代田区内の団体との定期的な勉強会を開催しています。

地方と都市の連携は田辺会長としてはこらからのプラットフォームサービス株式会社の活動の大きい柱としていきたいとのことです。

PS流の震災復興支援/釜石プラットフォーム

東日本大震災に接し、プラットフォームサービス株式会社は、被害が大きく、以前から付き合いのあった釜石の復興支援に力を入れてきました。まずスタートは震災発生後の2011年6月17日よりスタートした“かまいしキッチンカープロジェクト”です。日本中が大混乱の中、3か月でスタートできたという非常に早い立ち上がりで、現在はキッチンカー6台が稼働し、2012年1月11日にはキッチンカーを活用した屋台村がオープンし、営業成績も大変良いようです。

 さらに2012年1月には商店街の復興を目指し、株式会社釜石プラットフォームという”非営利型株式会社”が設立され、2012年11月には200坪程度の仮設店舗の開店を予定しているそうです。これらはもちろん釜石市の地域のみなさんが中心となって立ち上げたものですが、プラットフォームサービス株式会社の役割も大変に大きいものがあると思われます。

  プラットフォームサービス株式会社が運営する“CPS”には施設利用者だけでなく、会議やセミナー、食事やパーティー、視察や見学など毎日多くの人々が集まり、出会っています。そこから生まれる新しい“何か”が、日本を新しくしていく気がします。今の私にはどうもその“何か”はうまく説明できません。ですが、“何か”があることは確かです。

千代田に来られた際には、是非一度CPSに足を運び、ご自身で感じ取ってみられてはいかがでしょうか?

◇プラットフォームサービス株式会社(ちよだプラットフォームスクウェア)
http://yamori.jp/