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坂口電熱株式会社 代表取締役 蜂谷真弓 社長

“電熱の百貨店 加熱のプロ集団”legwork_noimage

いきなりですがみなさま、秋葉原の中央通りを歩いていて、

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というでっかい真っ赤な看板を見たことがないでしょうか?
 今回、訪問させて頂いたのは大きな看板が大好きな坂口電熱株式会社です。坂口電熱株式会社は1958年以来、秋葉原の現在の地にあるそうですが、現在そこはアキバショップという販売店舗でして、錦糸町にあるビジネスセンターで蜂谷真弓社長、浦本武治経営戦略室室長、平野友紀広報課員の皆様とのインタビューがスタートです。

温めることに専門特化

 小学校の頃、ニクロム線に電流を通し、発熱させる理科の実験を覚えているでしょうか?電流で熱を発生させる抵抗加熱という原理だそうですが、坂口電熱株式会社ではこれをどんどん進化・発展させて主に産業用の専門的な電熱部品・製品を提供しています。モノづくりの際には熱を加える加工が多く登場しますが、その際に必ずと言っていいほど登場するのが坂口電熱株式会社なのです。
 天ぷらを揚げるフライヤーの中の加熱装置から、ノーベル物理学賞を受賞した小柴教授の「スーパーカミオカンデ」に採用されている装置まで、その応用範囲はとてつもなく広いのです。
 坂口電熱株式会社の創業者である坂口太一社長は、関西の繊維問屋の息子として生まれ、その後東京に出て毛織物の一種であるラシャ問屋を営んでいました。その当時、訪問した仕立て屋の職人さんたちが使っている重い炭火アイロンに注目。汗だくになって働く職人さんたちにもっと軽くて作業性の良い電気アイロンができないものかと思い、技術的には全くの素人であったにもかかわらず東京電力の研究所で勉強を開始し、開発に成功したのです。特許を取得し、坂口太一社長は1923年(大正12年)坂口電熱器商会を創業し、工業用電気アイロンの製造・販売を開始したのだそうです。しかもそれを割賦販売するという、当時としては画期的販売方法を導入し事業を拡大していきました。
 その後太平洋戦争などを経ながらも事業は順調に成長し、1960年(昭和35年)には坂口太一社長の娘である坂口美代子氏が社長に就任されました。ご主人である坂口功副社長とともに48年の長きにわたり、坂口電熱株式会社を成長・発展させてきました。坂口美代子社長は社業を伸ばす傍ら、日経連(当時)の活動にも政策委員として積極的に参画し、特に労務雇用政策に関しては大きな貢献を果たしました。2008年には坂口美代子社長・功副社長の娘である蜂谷真弓氏が3代目社長に就任されました。

オンリーワンの技術開発

 坂口電熱株式会社の製品開発部門は主として、坂口功副社長が担当されてきたそうです。坂口功副社長は後に世界への技術的貢献が認められ、黄綬褒章を受賞されます。
坂口電熱株式会社の製品は大きく分けると、
① 固体加熱群ヒーター
② 液体加熱群ヒーター
③ 気体加熱群ヒーター
④ 制御機器群
⑤ その他周辺機器群
などといったカテゴリーに分けられるのだそうですが、一番の特徴はお客様からのオーダーメイドの製品です。食品、医療、半導体、プラスチック成型などなど産業界のありとあらゆる分野の会社から、こんな電熱装置を作ってくれないか?という依頼が来るのだそうです。最初はどんなものに活用されるのか分からないまま試作をスタートする場合も多いのだそうです。創業以来のオーダーメイド製品の累計は300万点にも及ぶそうです。
 お客様からの新規開発の問い合わせは電話やメールでくるそうですが、どんな問い合わせにも“NOと言わない姿勢”が営業のキャッチフレーズで、時間、労力、工夫のかかる開発も多く、試作段階では採算度外視でやることも多いそうです。
 坂口電熱株式会社には現在営業部門50名、技術部門20名ほどのスタッフがいるそうですが、営業部門といってもそれぞれが豊富な技術力を持ち、エンジニアリングセールスを展開しているそうです。営業、技術関係なくヒーターに関しては一家言持つ専門家(ヒーターおたく?)が社内にゴロゴロいるそうです。
 これまではどちらかというと、お客様からの要望に応じて製品を開発するという営業スタイルですが、今後は自分たちでコンセプトを掲げ、世の中に提案していくスタイルも取り入れていきたいということで、すでに社内に営業企画部を組織し、最近ではさまざまな展示会に出展したり、視察をしたりしているのだそうです。特に地球環境保全には興味があり、リサイクルや省エネといった分野で“環境加熱”というテーマで世の中に役だっていきたいと考えているそうです。

明るく元気な組織体制

 坂口電熱株式会社は電熱技術が中心の会社ですが、技術オンリーの会社ではないようです。蜂谷社長は社内のマネジメント改革にも大変に力を入れています。
① 蜂谷社長就任以来、若手社員の意見を積極的に取り入れて行きたいということで、いくつかのテーマに応じてプロジェクトチームを結成し、社内の改善を推進中
② 社内に起きるさまざまな出来事、経営の考え方、社員の活動など全国の営業所の社員に知らせるための毎月1回+号外の社内報を発行
③ お客様からの商談や全国にある拠点のスタッフ同士のコミュニケーションを高めるためのWEB会議システムを導入
④ どんな時にもお客様へ製品の提供を続けていくための東京都の事業継続計画(BCP)策定支援事業への参画
⑤ 世界初最先端製品の開発
最近では坂口功前副社長の特命により2名の専任社員を張り付けて、従来は不可能であるとされてきたレーザーによる瞬間平面加熱装置を一から研究し始め、世界で初めて開発。これにより東京商工会議所の勇気ある経営大賞を受賞

ご恩返しのために

 坂口電熱株式会社は自社の事業だけでなく、社会貢献活動も熱心に取り組んでいる会社です。
創業者である坂口太一社長は「私たちは生かされている。人として生きることはこれに感謝し、企業経営は社会恩に報いることである」という理念を持っておられ、その理念が脈々と受け継がれています。蜂谷社長は“ご恩返しの経営”という言葉で表現しています。
 社会貢献活動の一つ目は研究開発センターのある佐倉市でのNPO法人N・Cさくら会の活動の支援です。毎年1000編以上の応募がある小・中学校卒業生作文コンクールをはじめとしたさまざまなボランティア活動を行っていますが、このNPO法人の支援をパートナー企業として行っています。
 2つ目は財団法人坂口国際育英奨学財団です。事業を通しての社会への貢献だけでなく、直接的に世界の平和に貢献できないものかと先代の坂口美代子社長・功副社長が考えているうち、娘である蜂谷社長が高校時代にアメリカに留学した際、大きな恩を受けたのだから、その恩に報いなければならないという思いを抱き、外国人留学生への奨学金支給支援という事業を行う財団法人を私費で1988年に設立しました。支援を受けた留学生は母国へ帰って母国の発展に寄与するというのが条件なのだそうです。
 以来毎年活動を継続し、毎月10万円の奨学金を数名の留学生の方々に支給し、富士山での研修会や生活指導、助言を行っています。蜂谷社長も財団に長く関わられ、社員の方も財団の事業を手伝っているのだそうです。
 「桜の季節には佐倉の研究開発センターにてスタッフの皆さんとお花見を行うなど、社員にとっても非常にいい刺激になっていますよ」と蜂谷社長。

 創業者から続く高い経営理念、オンリーワンの傑出した技術、社員を大事にする活性化した組織、ご恩返しとしての地域への貢献。中小企業が成長し発展していくための道筋について、坂口電熱株式会社から多くを学ばせて頂きました。
 

◇ 坂口電熱株式会社
http://www.sakaguchi.com/