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株式会社日宣 代表取締役 大津裕司社長

顧客の立場に立って広告宣伝を企画・提案・制作するlegwork_noimage

 家でケーブルテレビの契約をしますと、毎月“チャンネルガイド”が送られてきます。この“チャンネルガイド”の制作で全国のシェアの約50%を持つ会社が、今回おじゃました株式会社日宣です。昨年度行われた第2回千代田ビジネス大賞で、「東京商工会議所千代田支部会長賞」を受賞した会社です。
 創業65年、歴史ある株式会社日宣の3代目大津裕司(おおつゆうじ)社長にお話をお聞きしました。

大手住宅メーカーとの出会い

 株式会社日宣は、もともと画家でもあった大津社長の祖父が神戸ではじめた会社で、ユニチカやテイジンといった地元の大手企業を相手に企業の広告宣伝の仕事をしていたのですが、それらの会社が東京へ進出するのについて来る形で東京に出てきたのだそうです。
 新しい東京という地で営業活動を始めたわけですが、その中である大手住宅メーカーと出会います。最初は広告チラシ作成の仕事からスタートしたそうですが、新しい企画提案をどんどんと持ち込み、パンフレット、カタログ、イベント運営などを受注し、最後には20万人を超える顧客向けの会員誌の作成と配送まで引き受けるようになったそうです。つまりこの大手住宅メーカーの宣伝広告活動を、一貫してサポートしているのです。株式会社日宣では自社が作った制作物だけでなく、他社の制作物の在庫管理まで行っていて、どれほどこの大手住宅メーカーが株式会社日宣を信頼しているかがわかります。この大手住宅メーカーでは、株式会社日宣が顧客を一番知っているといわれているそうです。
 企画、提案、デザイン、編集、制作、配送、最近はWEBまで、一貫して自社で行えるのが株式会社日宣の大きな強みなのです。安易に外注を利用せず、お客様のニーズを真正面から自社で受け止める、この経営手法が株式会社日宣の大きな特徴です。
 自社で内製化していくことは、確かにそのノウハウが蓄積され、業務スピードは増すのですが、固定費が高くなり経営的には非常に我慢が必要になります。とくに広告業界というのは、広告代理店と制作会社が分離し、顧客を取る人と実際に作成する人が別々というのが一般的な業界です。その双方の機能を持つ株式会社日宣はまれな存在なのです。
 ちなみに、広告代理店の“代理”というのは、テレビ局やラジオ局といった媒体に代わって広告主を探すという意味であって、広告をしたい会社の代理ではないのだそうです。そこで、株式会社日宣では“日宣は広告代理店ではなく広告会社です”と言っています。顧客の立場に立って広告を企画提案するという意味です。

ケーブルテレビ番組ガイド誌“チャンネルガイド”

 日本全国に約300局あるケーブルテレビ局。その中の北は青森から南は沖縄までの120局の番組ガイド誌“チャンネルガイド”を、株式会社日宣では製作しています。トータルの発行部数は190万部という途方もない数です。
 ケーブルテレビの番組を制作している会社(サプライヤー)から正確なデータを入手し、各局共通の番組を整理整頓し、それに120各局のそれぞれの独自記事や独自番組のデータや広告などを合わせて編集するという、非常に細かい膨大な作業を株式会社日宣では行っています。もちろんこれも企画・編集・制作・印刷・袋詰め・宛名張り・配送まですべてを一貫して株式会社日宣で行っているのです。ガイドに使用する紙まで特注の“日宣用紙”を作っているとのこと。
 現在ではこのように株式会社日宣の大きな柱となったチャンネルガイド事業ですが、15年前は1局からスタートしたそうです。膨大な作業が必要となるため、事業としてはもちろん赤字スタートです。“5局~6局ぐらいやれば黒字になるかなあ”と思って始めたそうですがとんでもない。30局ほど受注して、やっと黒字化したといいます。
 この“チャンネルガイド”の事業ですが、デジタル化の波に押されて衰退の傾向にあるのかと思いましたら、“そうではないですよ”と大津社長。ケーブルテレビや衛星テレビなど、多チャンネル放送ビジネスというのだそうですが、契約世帯数として現在の1.5倍までは拡大すると予測されているそうです。株式会社日宣でも紙媒体からデジタルに“チャンネルガイド”を置き換えていく準備を進めているそうですが、デジタル化によって新たな付加価値を提供することができれば、さらに事業規模が大きくなっていく可能性があるのだそうです。

エコ紙うちわ

 株式会社日宣の関係会社(印刷部門)で、株式会社日宣印刷という印刷会社があります。印刷会社は非常に厳しい経営環境で、株式会社日宣印刷もその例外ではなく、新しい製品を検討していたそうです。そこで目をつけたのがうちわ。
 取っ手の部分がプラスチックの従来のスタイルのうちわの受注は以前からあったそうですが、中国製の影響もあり価格競争が厳しい。そこで、全部紙で作れば地球環境にもいいし、厚紙に印刷するのは結構難しいらしいのですが、そこは印刷の専門会社なのでクリアーできる。
 しかし、実際にやってみると、取っての部分を貼り付けるのにえらく手間がかかることが判明。取っ手を貼り付ける専用機なんてありませんので、自前で取っ手を貼り付ける機械を開発。苦労を重ねたのち、昨年の春についに完成したのだそうです。ここでもやはり自前でやるという精神が発揮されています。
 ひとたび完成したらグループ全社を挙げて営業活動を展開。夏になれば多くの会社が自社の広告を入れてうちわをつくります。形やデザインが自由自在のエコ紙うちわは顧客から大好評。初年度から130種類、450万本の新規受注を獲得したのです。日本で使われるうちわが年間で約1億本程度だそうですので、初年度から大変なヒット商品に育ったということです。今年度は1,500万本を目指し、工場も拡大して着々と準備を進めているとのことです。
 さらに、日本ではうちわを夏しかつかいませんが、1年中夏の国もあるということ、でこのエコ紙うちわを海外でも売り出そうとしているのだそうです。

マーケティング・エンジニアリング

 インターネットの影響もあり、広告宣伝に直接の効果を求めてくる顧客が多くなっているそうです。しかも消費者は嗜好や趣味が多様化し、生活行動が大きく変化しています。触れる媒体もテレビ・ラジオ・新聞などから、インターネットやモバイルも含めて入り乱れています。
 広告主と消費者を結びつけるのが非常に複雑化した現代において、広告主である顧客に最適な広告宣伝活動とは何なのかを提案していくのが自分たちの仕事だということで、株式会社日宣ではマーケティング・エンジニアリングと称して企業活動を展開しています。
 インターネット動画、モバイル、デジタルサイネージなど、最先端の技術を使った広告活動の提案も多くなってきましたと大津社長。

売上高100億円を目指して

 株式会社日宣では、20年前から非常にしっかりとした経営計画書を作成し、それを軸とした企業経営を行っています。経営計画の内容は社是、経営理念、経営方針、部門計画など、株式会社日宣ではどのような考えた方で仕事を行っていくべきなのかが非常に明確に示してあります。会議でのチェックや唱和などの徹底にも力を入れているそうです。
 この3年で計8名の新入社員が入社したこともあり、今年は特に社員教育に力を入れたいと大津社長。就任3年目の大津裕司社長自身も勉強会、異業種交流などに積極的に参加する勉強家で、株式会社日宣にとって外部との若く新しい人脈づくりにも大きく貢献しているようです。
 65年の歴史を振り返り、反省すべきところは反省して将来は100億円の売上、そして上場を目指していきたいという大津社長です。それは思ったよりも近い将来であるような気がします。

◇ 株式会社日宣
http://www.nissenad.co.jp/
◇ 第2回千代田ビジネス大賞の概要はこちら
http://chiyoda-days.jp/future/event-info/biz-gp-hyosyo21.htm