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フォースバレー・コンシェルジュ株式会社 代表取締役 柴崎洋平社長

“世界中から優秀な人材を日本企業に”legwork_noimage

 日本の一流大学で学ぶ優秀な留学生の日本の一流企業への就職支援を行って、急成長している会社が今回お邪魔したフォースバレー・コンシェルジュ株式会社です。
 急成長・大発展中で超多忙の柴崎洋平(しばさきようへい)社長にお話をお伺いしました。

優秀な人材の求人難

 “企業は人なり”などといいますが、企業を支えるのはやはり人材です。そのスタートは人材の採用ですが、優秀な人材はなかなか集まらない。ただそれは一般的な企業の話であって、日本を代表するような一流企業はいくらでも優秀な人が集まるだろうと思いきや、そうではないと柴崎社長。
 日本人は世界中から考えればたった2%ほど。世界を舞台にしてグローバルに活躍する日本企業が、もし日本人だけから優秀な人材を採用しようとすればそれは慢性的な人材不足、求人難の状態だというのです。日本人だけで充足させようとすると人材レベルは低下し、競争力も低下するおそれがあるというのです。日本人だけでなく外国人も採用し競争力をつけたい、でも外国人の採用ノウハウがない。
 そこで柴崎社長が目を付けたのが海外からの留学生。しかも日本の一流大学で学んでいる留学生(高度外国人留学生)、彼らを日本の一流企業に就職させるビジネスをスタートしたのです。具体的には、TOP CAREERという名称で高度外国人留学生の就職支援イベントを仕掛けたのです。
 これが大ヒット。昨年行われたTOP CAREER 2011 in tokyoでは日本全国の一流大学から64カ国の留学生が集まり、求人を希望する企業は軒並み日本を代表するような有名企業ばかりです。

留学生の最大の悩みは就職

 今や日本の大学は留学生がいなくては成り立たないほど、留学生が普通に学んでいます。彼ら留学生の最大の悩みは就職。せっかく苦労して留学し、日本語も専門教科も勉強したのに、母国に帰るとそれを活用する機会が非常に少ない。だから日本で就職したい。約7割の留学生がそう思っているのだそうです。
しかしそこには就職活動という大きな壁があります。何が一番大きな壁ですか?とお聞きしたところ、「就職、就業についての文化が違うことです」と柴崎社長。
 たとえば日本では就職というと、基本的には長期雇用が前提です。最近はだいぶ薄れましたが、終身雇用などという考え方も一般的でした。ところがこれは世界でみれば、一般的とはいえません。3年から4年ぐらいでキャリアを積んで、次の会社にステップ・アップをしていくとのが当たり前だと、留学生の多くが考えていいます。これはえらい違いです。
 若くても業績を上げれば、それに応じて給料があがると思っているのが外国人留学生、若いころはがんばっても処遇は上がらず、年をとるに従って徐々に処遇がアップしていくというのが日本企業の人事体系。これもえらいギャップです。
 フォースバレー・コンシェルジュ(株)ではこれらの文化の違いを理解し、日本企業に就職し活躍してもらえるように、大学まで出かけて外国人向けのセミナーを行ったり、個別に面接でフォローをしたりしているのです。このような地道な活動のおかげで、現在登録されている外国人留学生は上位大学ばかりで3,000人に及ぶそうです。

スタッフも20カ国以上の国籍

 話は変わりますが、四谷の駅近くにあるオフィスに訪問させて頂き、ドアを開けた瞬間に普通でない雰囲気にびっくり。すごく熱気がある。活気がある。さすがにダイナミックに成長している会社です。しかし、悪く言えば雑然として汚い(スミマセン)。これは普通の会社にはない感覚です。
 壁にはスタッフの写真、注意書きチラシ、パンフレット、予定表、打ち合わせメモらしきものがぺたぺたと大量に貼ってある。イベントやセミナーで使うのであろういろんなものがそこら中に置いてあり、英語・中国語・韓国語・日本語などが飛び交い、多国籍のスタッフが出たり入ったりしているのです。部屋中の人や物がダイナミックに動いている雰囲気が伝わってきます。
 現在スタッフは120名ほどで、国籍は20カ国以上。クライアントに外国人留学生の雇用を薦めているのですが、実は外国人留学生活用の先頭を走っているのが、フォースバレー・コンシェルジュ(株)のような気がしました。

大忙しの毎日

 64ケ国の留学生3000名という日本最大のネットワークを持つフォースバレー・コンシェルジュ(株)には就職支援の仕事だけでなく、ひっきりなしにさまざまな仕事の依頼があるそうです。その代表的なものは訪日観光客へのサポート業務。留学生の80%は中国、台湾、香港、韓国という4地域から来ているそうですが、日本に観光に来る外国人もこの地域の人たちが多いのです。ということで旅行会社、宿泊施設、行政などからガイド、通訳、翻訳など様々な依頼がくるのだそうです。「現在も150社以上の会社からさまざまな依頼があり、対応するのに毎日必死です」という柴崎社長。

起業の時には大先輩に相談するも

 柴崎社長は、ソニーの出身で人材業界出身ではありません。ソニー在籍時代からソニー精神を発揮し、独立に向けて着々と準備を行っていたそうです。5年間にわたり創業プラン作成、その間に大幅にプランを書き換えること5回。そしてついに堂々の創業プランが完成。柴崎社長は入社9年目にして意気揚々とソニーに退職届を提出しました。
 柴崎社長は上智大学の体育会アメリカンフットボール部に所属していたため、その出身で大先輩である澤田貴司氏に相談に行きました。澤田氏は(株)ファーストリテイリングの元副社長で、現在(株)リヴァンプの代表であり、実業界の大先輩です。
 澤田氏はそのプランを聞いて、何も知らないのに偉そうに言うなと一喝。柴崎社長の創業プランは見事に打ち砕かれたのです。澤田氏の厳しい指導に納得した柴崎社長は創業プランを白紙に戻しました。
 ところがすでに退職届は提出済み。普通なら悲観にくれるところですが、ここから柴崎社長の突進が始まります。ソニー在職中に世界中の人たちと仕事をし、将来は世界中の人たちと仕事をしたいという原点を思い出し、現在の高度外国人留学生の就職支援事業を企画、そして実行に至ったのです。
 20カ国以上のスタッフとともに突き進んでいる柴崎社長ですが、「会社運営においては日本人的価値観で進めないように注意をしています」とのこと。政治や宗教などの話は避けるのは当然として、「だれにでも同じ態度、フラットに評価するようにしています」と。
 現在は日本で学ぶ高度外国人留学生の就職支援が事業の中心ですが、一部手掛け始めた世界の中の優秀な人材が日本の企業に就職できるような支援事業、また優秀な日本の学生が世界中の企業に就職できるような支援事業も行っていきたいという柴崎社長。どこまでいくのか想像がつきません。

 上智大学のアメリカンフットボール部ではもちろんのこと、ソニー時代にもガンガン行くタイプでいらしたようで、“根っからのお祭り男です”と柴崎社長。
 やっとわかりました。フォースバレー・コンシェルジュ(株)のあの熱気は、お祭りの時に感じる雰囲気でした。

◇フォースバレー・コンシェルジュ株式会社
http://www.4th-valley.com/