公益財団法人 東京都中小企業振興公社
先月発表された平成18年の事業所・企業統計調査によると東京都には、690,564の事業所があるそうです。ドえらい数です。この中には大企業もありますが、その数からいえば圧倒的に個人事業を含めたいわゆる中小企業が多いのです。
本日おじゃました「(財)東京都中小企業振興公社」は、都内の中小企業を対象にさまざまなサポートを行っています。そのサポート内容は相当幅広く、 そして深いという情報をキャッチしましたので、早速、東京都中小企業振興公社にご連絡をし、取材のお申し込みをしました。お忙しい中、山内理事長がインタ ビューを引き受けて下さるというご快諾をえまして、今回の企業探訪スタートです。
まず、東京都中小企業振興公社(以下、公社)が行うサポートと東京都自身が行うものとの違いですが、公社が行うのは、中小企業1社1社の個別のサポートをしていて、東京都のほうは中小企業全体にかかわる基盤整備を中心に行っ
ているとのこと。
公社では、創業や事業化にあたっての必要となる経営面のサポートと資金面でのサポートを行うために、中小企業育成事業やファンドもあるそうで、公社 自らもリスクを負って中小企業を支援しています。これらの事業にに代表されるように、公社が行う経営サポートについては、いまはやりの言葉でいえばハンズ オン支援ということを標榜していて、昔のような融資を行うだけでなく、新製品開発や販路開拓など事業の成果が出るまでいっしょに支援するという姿勢なので す。
また、今年度からは新事業創出のため社会的課題解決型研究開発助成事業(簡単にいうと行政が本来取り組むべき課題を民間の力で解決していこうという 取り組み)や、重点戦略プロジェクト支援事業ということで中小企業がプロジェクト形式で行う事業を集中的・継続的に支援していこうなどというすごい企画も あるようです。
もちろん大型の支援事業だけでなく、企業経営の中でおこる日常的な課題解決にも大きな力を発揮してくれます。そのサポート内容のラインナップですが、これがまた誠に幅広い。
(1) 創業したい
(2) 企業を再生したい
(3) 助成を受けたい
(4) 資金調達をしたい
(5) 新技術や新製品・新サービスの開発をしたい
(6) 物流を効率化したい
(7) 知的財産に関して知りたい
(8) 海外展開をしたい
(9) 販路を開拓したい
(10) 福利厚生を充実させたい
(11) 創業時のオフィスを借りたい
(12) 経営の勉強をしたい
(13) 社員の人材育成をしたい
(14) 商店街をパワーアップしたい
(15) 伝統工芸品の振興を図りたい
(16) 展示室・会議室を借りたい
といった企業のニーズに対応しています。このようなニーズに対して、さまざまな形でサポートが用意されています。詳しい事業の内容はホームページを ご覧頂きたいのですが、本日は利用者である企業の立場からまず何をどのようにすれば、公社でやっている事業を有効に自社で活用できるのか?という点に絞っ てお話をお聞きしました。
山内理事長(当時)がおっしゃるには、まず第一番目のポイントとして、最初は総合相談窓口に行ってみることがいいそうです。毎日5名の専門家が常駐して、企 業からの相談を受け付けています。担当して頂いた専門家だけでは対応しきれない場合には、他の専門員や公社の他部署や関連機関に紹介してくれるのだそうで す。来るものは拒まずが基本スタンスだそうですので、気軽にお訪ね下さいとのことです。秋葉原の本庁だけでなく、地域の相談窓口などもあります。
次のポイントは、経営者自身が自分で問題だと考えていることだけでなく、企業の全体像を正直に相談することだそうです。経営者の中には、他のことは 口出ししなくていいから、この問題の解決だけ教えてという人もいるようですが、企業の中は有機的につながっていて部分だけでは解決できない可能性もあるの です。くれぐれもミエをはったり、隠したりしないで、企業の全体像を正直に話しましょう。
三つめは問題解決だけではなく、前向きな相談も大いに受け付けるとのことです。新製品開発や販路開拓など何を手伝って欲しいかが明確な場合にはその支援もできるということです。困ったときだけでなく、前向きな新しい展開を考えているときも力になってくれそうです。
四つめのポイントは、今現在はこれといった問題があるわけではないけれど、自社の技術のレベルや販売力のレベルなどを客観的に把握しておくために相 談に訪れるというのもいいようです。自社の持っている実力を認識していないため、せっかくの技術が活かされていないことが中小企業の場合には結構あり、そ の技術がうまく活かされず、途切れてしまうことも多々あるようです。こんなもったいないことはありません。是非自社の実力を知って他の分野での活用や新製 品開発に役立てて下さい。外部の専門家の目から見ると自分では考えがつかなかったような活用方法のヒントが得られるかもしれません。
五つめですが、企業経営者にとって最大の問題の一つである後継者をどうするかという問題に関しても、外部からの客観的な意見を得られ、場合によって はM&Aのようなことまで含めた相談にのってくれるのだそうです。後継者の問題は非常に重大すぎて、不用意に人には相談できない性質の問題ですから、外部 の専門家からの客観的な意見が非常に貴重なのではないかと思われます。
具体的に、相談に行く際のポイントは以上のようなもののようですが、まずはホームページを見ることと、ネットクラブ会員に登録することからはじめてはいかがでしょうか?登録企業は現在12,000社もあるそうです。
最後になりましたが、公社では中小企業だけでなく商店街のパワーアップ作戦や若手商人の育成など、商店街と地域を一体として捉えて活性化していこう という事業も始めていて、いわゆる企業だけでなく、商店街単位でのご相談も受け付けてくれるのだそうです。東京都内にはさまざまな活動で活性化している商 店街がありますので、その情報も得られ、商店街振興のサポート事業もあるのだそうで、これも関係者の皆様は一度問合せをされてはいかがでしょう?
ということで、経営資源が慢性的に枯渇している中小企業にとって、専門的にアドバイスと具体的なサポートを提供してくれる公社の事業を活用しない手はありません。
今後は、我々まちみらい千代田としましても、公社の有する多くの資源を区内の皆様に活用してもらえるよう公社との連携を深めて行きたいと考えています。
◇公益財団法人 東京都中小企業振興公社
http://www.tokyo-kosha.or.jp/