アキバ経済新聞 柳原秀哉編集長
日本最大の電気街から始まってパソコン、メイドカフェ、フィギュア、オタクなどなにかとマスコミの話題になることの多い最先端スポット秋葉原ですが、良く知らない人にとっては少々近づきがたい雰囲気があるのも確か。でも本当の秋葉原はマニアの人だけではなく、いろんな趣味を持った人が楽しめる趣味の街としてさまざまな人を受け入れられる地域に変貌しているようです。そんな秋葉原の今現在を知りたい、楽しみたいと思った方にはインターネット版の経済新聞「アキバ経済新聞」(http://akiba.keizai.biz/)が格好のメディアです。
今回の企業探訪はこのアキバ経済新聞の柳原秀哉編集長です。編集部のある東京お茶の水デジタルハリウッドの一室で企業探訪インタビューのスタートです。お忙しい中、柳原編集長だけでなく、直井副編集長、北川記者の3名で対応して頂きました。感謝。
いきなりですが、5分でアキバの全体像が分かるというのがアキバ経済新聞のコンセプトです。2006年8月1日よりスタートし、基本的に事件・事故は取り扱わず、秋葉原という地区でおこる出来事を経済・文化・趣味といった切り口で紹介しています。インターネット上の新聞で、紙媒体ではありませんが、現在、過去の記事を書籍化しようという動きもあるようです。新聞記事を書籍にするというのは普通あんまりないと思うのですが、アキバでは過去の出来事でも、他の地域にとっては先進的でこれからの経済の動きを予言する材料があるからでしょうね。やはりアキバは最先端なのです。
最近のアキバでの大きなテーマはなんですか?なんていう漠然とした質問をしました。
まず出てきたのが、食に関するテーマ。おでん缶やラーメン缶のヒットは有名ですよね。趣味に没頭して食事をする時間もおしいという人の多い秋葉原で立ち食い、早食いのファーストフード文化が花開いています。最近目立つのはカレー。そしてトルコ料理のケバブ。次回秋葉原に行かれたら、是非カレー屋さんとケバブ屋さんに注目してみて下さい。
食の次は、趣味・文化に関するテーマですが、ズバリ「鉄道」です。少々前ですがテレビドラマ特急田中3号がありました。漫画を元にしたテレビアニメ鉄子の旅(徹子ではありませんよ)なんかもあります。なんと、今の仮面ライダー電王は電車で活躍しているとのこと(私は今度の日曜日に自分でも確認します)。しかし、一番のランドマーク的存在は、Nゲージ鉄道模型のポポンデッタだそうです。鉄道模型だけに止まらず書籍・ビデオ・時刻表まで含めた鉄道ファンの聖地として絶大な支持を受けているようです。
音楽については、”アキシブ系”です。1990年頃に流行した渋谷のテクノサウンドと現代のアキバ文化が融合してできた(らしい)音楽だそうです。これ以上お聞きしても私には良く分からないので、ご興味のある皆様は後は自分で調べましょう!(すみません)
空想と現実の間を提供してくれる地域、それが秋葉原ですと柳原編集長の奥の深いお言葉。日常の現実の中にはない趣味にドップリ浸かれる世界がマニアには必要なんでしょうね。日本全国各地でフィギュアやコミックなどいろんなマニア向けのイベントが開催され、それはそれでマニアの欲求を満たしてはくれるのですが、それは年に1度か2度のこと。アキバに来れば常にイベント状態なのです。アキバは巨大なテーマパークのような感じです。日常的に非日常がある街とでもいいましょうか。
一応アキバ文化についてのお決まりの質問として、メイド喫茶はどうなんですか?とお聞きしたところ、メジャーなお店は観光客を取り込んで繁盛しているようです。ただ他のビジネスも同じだと思いますが全てのお店が繁盛しているわけではないようです。マニア層だけを相手にやってるお店は経営的に苦しいお店もあるようですよとのこと。なるほど内情はそういうことだったんですね。
アキバのネタはこのあたりにして、アキバ経済新聞の話ですが、シブヤ経済新聞編集長の西樹氏がスタートさせたみんなの経済新聞ネットワークのアキバ版です。渋谷、六本木、横浜からスタートしたようですが、現在全世界30カ所に広がっていてシンガポール経済新聞、バンクバーバー経済新聞なんてものもあります。他の地域の経済新聞と比べるとアキバ経済新聞は相当トンガリ具合が多いようです。やっぱり。
アキバ経済新聞の読者はどんな方が多いのでしょうか?もともとインターネットユーザーとアキバというのは親和性が高いのでアキバに興味のある方にはすんなりと受け入れられたようです。こういったアキバに興味を持って訪れる一般読者以外では、メディア関連の読者が多いのも特徴のようです。メディア関係の方もネタ元としてアキバに注目しているようです。
北川記者に、「記者としての一番の苦労はなんですか?」とお聞きしたところ、ネタの一つ一つにあるバックグランドが非常に奥が深いため、当然よく事実を確認しないと記事に出来ないことだそうです。直接アキバ経済新聞の編集に携わっているスタッフは4名ですが、兼任もあるので事実上は1.5名。確かにこれは大変です。助っ人としてさまざまな分野での専門家が10名ほどいらっしゃるようですが、少人数の編集部の皆様のご苦労が察せられます。直井副編集長は集められた記事の採用・非採用、記事の方向性、並べ方など全体のバランスをチェックしているのだそうです。編集会議では相当激しい議論が展開されるようです。北川記者が記事を書き、直井副編集長が方向性や内容をチェックするということですが、ここで疑問が発生。それでは柳原編集長は何をしているのか?
柳原編集長には、大変なお役目があるのです。それは普通人の目から見てどうなのか?という視点でアキバ経済新聞を見るということです。専門的になりすぎれば意味不明になり、普通になりすぎればアキバ経済新聞の存在意味がなくなる。この具合は実に難しそうです。そしてもう一つのお仕事はメディアへの露出。これもやはり普通の人の言葉で話さないといけませんので柳原編集長のお仕事です。
そして、3つ目の大きなお仕事は収益管理。現在アキバ経済新聞の収益状況はトントンのようですが、やはりいろんな形で収益を上げていかないとアキバ経済新聞を継続していけないのです。これは経営者として重要なお役目です。
ふと気づくとインタビューを始めてから予定の1時間以上を経過。最後に3名の皆様からそれぞれアキバ経済新聞でこれから取り組みたいことをお聞きしました。
まずはアキバ好きが高じて最近アキバに引っ越してきた北川記者。仕事がら家に帰るのが深夜になることもあるそうですが、深夜のアキバもなかなか面白くて、昼間だけでなく深夜のアキバの面白さなんかも紹介して行きたいですねとのこと。やはりそうとうトンガっていらっしゃいます。
続きまして、直井副編集長。外国人には評価の高いアキバも日本の中ではまだまだ偏見を持って見られていることも多いので、偏見なくアキバの楽しさを多くの人に広めていきたいとのこと。
最後に柳原編集長。外国人観光客が多いアキバですが、そういった外国人のためにも英語版をつくりたいとのこと。アキバから世界にむけての情報発信も柳原編集長の視野には入っているようです。そしてもう一つの目標は、刻々と変わっていくアキバの経済活動の中から、新しい見方、解釈、そしてコンセプトを抽出しアキバ経済新聞の読者の方々に提供して行きたいとのことです。
日々起こる現象だけを追いかけるのではなく、その本質は何なのか?何の前兆なのか?世の中にどういった影響を与えていくのか?など明らかにし、我々の生活やビジネスにとってのヒントを与えてくれることを期待しましょう。日々発展するアキバから先端情報を発信しつづけるアキバ経済新聞から目が離せません。
◇アキバ経済新聞
http://akiba.keizai.biz/