株式会社インプロジャパン 代表取締役 池上奈生美社長
私、インプロっていう言葉を今回始めて聞きました。インプロとはインプロビゼーションの略で、”台本なし”、”打ち合わせなし”、”リハーサルなし”の即興劇のことです。”???”と思ったあなた、心配しなくて結構です。私もそう思いました。正直はじめは”何っこれ?”と思ったのですが、いろいろ調べて見ますとこれがインプロは相当、人生と仕事に効くらしいのです。これは企業探訪するしかありません。このインプロ(即興劇)の日本の総本山が今回おじゃました株式会社インプロジャパンでして、その代表が今回インタビューを受けて頂いた池上奈生美さんです。
インプロを”見る楽しみ”
インプロジャパンは日本にインプロ(即興劇)を広めるために池上代表が2001年に設立しました。活動は大きく分けると公演活動と研修活動です。まずは公演活動のお話からですが、インプロジャパンが認定したプロの役者さんが演じる公演を定期的に行っています。
インプロを”見る楽しみ”は何ですか?とお聞きしたところ、「何が起こるか分からないドキドキワクワクの楽しみ」だそうです。お題は観客がその場で提供し、その場で芝居が進行していくのです。観客は自分が想像したストーリーとは全然違うストーリーが展開していくので一瞬も目が離せません。即興であるにも関わらず笑いあり感動ありの見事なストーリーが出来上がっていくのです。時には観客までも巻き込んだストーリーになることもあるのだそうです。その瞬間にしか味わえない感動と出会えるエンターテイメントがインプロなのです。
インプロを”やる楽しみ”
インプロは見るだけではありません。誰でも参加できるワークショップも定期的に開催されています。池上代表にワークショップに参加してインプロを”やる楽しみ”は何ですか?とお聞きしたところ、いろんな面がありますよとのこと。
(1)自分のコミュニケーション力が高まる楽しみ・・・台本がないので相手の表現(伝えようとしている事)に敏感になりコミュニケーション力が飛躍的に高まる。
(2)劇を作りあげていく創造する楽しみ・・・ストーリーが決まっていません。参加者が一人一人が作り上げていく劇です。
(3)自己表現力が高まる楽しみ・・・瞬間的に自分自身とアイデアを表現しなければないのが即興劇の醍醐味です。
インプロの楽しみ方、活用の仕方は人それぞれでしょうが、最近は30代ぐらいでコミュニケーション力の向上を目指して参加される方が多いようです。
公演やワークショップ活動と並行して、インプロを会社で研修として行って欲しいという要望も多いようです。
(1)コミュニケーション力
(2)チームビルディング
(3)発想力
などを高めたいという会社のニーズにインプロの研修はマッチしているようで要望もどんどん増えてきているようです。池上代表曰く、いままでの座学と違い、新しい概念の体験型研修で楽しみながらやるので、またやってほしいというリピートも多いそうです。
公演やワークショップの予定はホームページに掲載されています。
将来は学校教育にインプロを
池上代表の現在の悩みは、インプロに対する理解に時間がかかるということです。一度参加すれば多くの方がファンになるのですが、その第一回目の参加のハードルが高いこと、そしてご本人が喜んで納得しても、それを企業研修などに広げていく場合に会社や上司の理解を得るにずいぶん時間がかかるのだそうです。これはインプロに限らず日本においては一般の人への演劇の浸透度が低いということも原因の一つかもしれません。学校教育や国の支援も演劇という分野には手厚いとはいえません。働くだけでなく、人生をもっと楽しむために演劇文化を広げて、もっと気軽に演劇に足を運んでほしいというのが池上代表の願いです。
公演やワークショップの参加者も順調に伸びてきているインプロですが、最後にこれからのビジョンをお聞きしましたところ、「インプロを学校教育の中に取り入れてほしい」とのこと。
現在のワークショップ参加者の中に教育関係者の方も多いそうですが、教育関係者の方は特にインプロを現場で生かしたいという姿勢が強いのだそうです。やはり教育関係者のかたは基本的にはまじめな方が多いんですね。またこの春にはNHK教育テレビの小学校低学年向けの「シャキーン」という番組の中でもインプロが取り上げられ、夏にも放映されるそうです。子供たちのみずみずしい素直な心を伸ばしたり、自発的な行動を促したりするのにインプロは本当に有効だと思います。
◇株式会社インプロジャパン
http://www.improjapan.co.jp/