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株式会社酒文化研究所 代表取締役 狩野卓也社長

お酒は文化的に飲みましょう!反省legwork_noimage

 今日おじゃましたのは株式会社酒文化研究所の狩野卓也社長です。日本でお酒を飲む人は4,000万人から5,000万人といわれているそうです。お酒は肉や野菜など他の食品とくらべると、「酔う」という他の食品にはない魔性があって、独特の地位を占めています。飲めばその人を快楽へいざない、人と人とのコミュニケーションを高めるという素晴らしい面がある一方、飲み過ぎると健康をむしばみ、さらにはその人の本性をむき出しにさせて破滅に追い込むこともあるという恐ろしい面を持つまさに「善と悪」の両面を持つ深~い食品なのです。さっそくインタビューのスタートです。

酒文化研究所の目指すもの

 株式会社酒文化研究所は1991年にお酒メーカーをクライアントとした企画・マーケティングをやっていた数名が集まって設立されました。酒に対する「造る人」「売る人」「飲む人」の3つの立場を越えて交流できる場として、新しい視点からお酒文化を創り出していこうという発想でスタートしたのだそうです。

 狩野社長の話によるとお酒業界というのは、作り手や売り手などビジネスとして関わる人以上に、事情に通じている熱狂的マニアである消費者が存在するとても不思議な世界なんだそうです。確かに自分の好きなお酒についてすごく良く知っている人っていますよね。ただし、彼らは酒をある一面から思いこみを持って見ているので、偏った考え方に支配されがちなのだそうで、そのあたりをバランスよく見ていきたいということが、研究所の目指すところでもあるそうです。人からお酒にまつわる楽しいエピソードをお聞きするのは心地よいものですが、あまり蘊蓄をひけらかすと聞いていてもつまらないので、そのあたりの加減も重要だそうです。(失礼)。

酒文化研究所のお仕事

 ところで酒文化研究所のお仕事は何かというと、会員制研究レポート月刊「酒文化」の発行が基幹業務だそうです。これはいわゆる酒業界の人が読むという意味では業界誌ですが、業界ネタや売らんがための流行や先端を追っかけた雑誌ではありません。純粋に酒そのものの「造り方」「飲み方」「歴史」「文化」など、薄っぺらではない濃厚な酒に関する記事です。論文あり、エッセイあり、インタビューあり、投稿ありとよくこれだけお酒を真面目に考えられるなあという内容です。お酒業界にいる方はもちろんのこと、酒好き・酒飲みを自認する方であればとっても楽しいと思います。

 また、酒にまつわる様々な分野で経営コンサルティングや調査研究・企画立案、さらには社員教育なども手がけています。他にはお酒にかかわるイベントの企画や運営もやっていて、セミナーで講演をした後に参加者と試飲会をやったりもするそうです。一昨年からは日本酒チャンピオンズカップとというカップ酒のコンクールを主催して一般のメディアからも大きな反響を呼んでいるそうです。カップ酒ってそんなに種類があるんですか?とお聞きしたところ、「千種類以上あります。カップ酒は各地の日本酒を手軽に楽しむという意味ではとても優れたものなのですが、種類が多いこと、1本の単価が安いことなどから多品種少量での物流がコスト高となってしまうので、実際にいろいろなものを飲み比べることができない。そこでプロの鑑定家と一般の酒好きな方と双方の視点から見てこれがベストというカップ酒を世の中に広めてみたかった」と狩野社長。お酒に関連するイベントを企画中の方は是非相談されてみるのがいいと思います。

 また今年に入ってからは消費者向けの「さけ手帖」というフリーペーパーの作成も請け負っておられるそうで、全国の有名酒量販店を中心に50万部ほど発行しているのだそうです。皆様もひょっとしたらこの「さけ手帖」をどこかで手にされているかもしれません。

お酒の種類ランキングと最近の傾向

 私も少しはお酒を飲みますが、酒業界の人間ではありませんので、最近のお酒の趨勢を簡単にお聞きしました。

 まず、消費量第1位であるビール系飲料。ビールだけでなく、発泡酒やその他の雑酒なども含めた消費量では、全体の75%~80%でやはりダントツの第1位だそうです。

 第2位は焼酎です。3年前に日本酒を抜いてその後も増加中。一時のブームから完全に我々の飲酒生活に定着したようです。焼酎が現在のようになった理由は4つあると狩野社長は分析します。

    価格が安い(コストパフォーマンスが良い)
    健康イメージ(二日酔いしにくく脳血栓予防効果なども知られている
    原料や産地にバラエティがあり個性的でおもしろい
    技術革新で飲みやすくなった

といったことが主な理由なようです。

 確かに、最近は焼酎をおいていない飲み屋さんはないほど焼酎の人気は定着していますよね。

 第3位は、日本酒(清酒)です。日本酒メーカーの努力にかかわらず全体としてはまだ消費量が低落傾向にあるようです。狩野社長の分析では、日本酒の飲み方は大きく分けて二つの種類があるといいます。1つめは日本酒が飲みたいからTPOに応じて好みの日本酒を選んで味わうという飲み方、2つめは宴会や飲み会などで自分の意志と関係なく単にアルコール飲料として飲まされる飲み方。1つめの飲み方は着実に増加しているのですが、2つめの飲み方での日本酒の登場シーンは激減しているのです。そういえば、最近の宴会はみんな自分勝手に好きな飲み物を選んで飲んでいますもんね。ベロベロに酔っぱらっている人も最近は、あまり見なくなりました。ということで、増加が減少に追いつかないので全体として日本酒の消費量はまだ減少しているようですが、飲まれ方は確実に進化してきているので、これは日本酒業界の光明でしょう。それとアメリカや中国など海外では日本酒の評判がとても良いそうで、日本からの輸出も増えると共に現地生産もはじまっているそうです。よかった。

 第4位は、リキュール類で、この区分はチューハイや梅酒などいろんな種類のお酒が分類されているので説明はパス。

 第5位は、ワインです。ワインは、長期的には確実に伸びているようです。ただし、ワイン、特に赤ワインは食事とのマッチングがなかなか微妙で、我々日本人の食生活が変化して赤ワインとの取り合わせがマッチするようになれば、ワインの消費量もさらに増えていくだろうとのことでした。

 第6位は、なんでしょう?そうです、ウイスキーです。ウイスキーは、昭和の高度成長期に需要を伸ばしました。ウイスキーには、値段に合わせて明確に序列みたいなものがあって、日本のサラリーマンは、出世するごとに出世魚みたいに飲む銘柄をアップさせてきたと狩野社長は言います。例えば、最初新入社員は、「トリス」(懐かしい~)からスタートし、次に「レッド」、主任になって少し給料があがると「ホワイト」になります。次に係長時代を「ゴールド」で過ごし、いよいよ課長に昇進して当面の目標の「オールド」ですが、こだわりの人は「角」を飲んだりもしておりました。そして部長になると夢の「リザーブ」へとたどり着きます。役員になったらもちろん舶来品です。ジョニ赤、ジョニ黒、オールドパーなんていうお酒が贈答品としても珍重されていました。

 「ウイスキーはかっこいい」ということでこの時代の日本人はちょっと無理をしてウイスキーを飲んでいたんじゃないかなと狩野社長。しかし、ウイスキーが格好よいという発想そのもが消滅し、消費量はここ20年で激減しました。しかし最近はウイスキーも味わいや個性で選ぶ新しい飲み手が登場し、その証拠にシングルモルトウイスキーの消費量は確実に増えてきているそうです。

東京で酒文化を楽しむ

 狩野社長はお酒には酔うために飲む酒と楽しむために飲む酒があるといいます。酒文化研究所では楽しむためのお酒についての啓蒙活動をしていきたいとのこと。お酒についての歴史や文化を理解した上で飲めば、一層おいしく飲めるものなのだそうです。今後は今まで以上に飲み手である消費者向けの活動も増やしていきたいとのこと。会社や団体でお酒にまつわる勉強会や研修会などやりたい場合には一度相談してみるといいと思います。

 東京は日本全国のお酒、世界各国のお酒を販売し飲ませるお店がたくさんあります。しかもほとんどの人が電車やバスを使って通勤・通学しており、自家用車通勤は非常に少ない。ということで東京在勤者は思い立ったときにいつでも豊かな酒文化を享受できる世界でもまれな環境にあるのです。飲み過ぎはいけませんが、ときには気分やTPOに合わせてふだんと違うお酒、ふだんと違う飲み方にチャレンジするのも面白いじゃないですかというのが狩野社長のアドバイスです。

 プレミアムビールや郷土色豊かな焼酎などこだわりのあるお酒の消費は着実に増えていると共に、昨年あたりから職場などでのノミニュケーションを嫌っていた若い人たちからも見直し機運が出てきているようです。酒文化は我々の社会の変化に合わせてすこしずつ変化し、熟成されていくのです。

◇株式会社酒文化研究所
http://www.sakebunka.co.jp/