日本健康麻将協会 田邊恵三会長
“吸わない、飲まない、賭けないのが健康麻将(まあじゃん)です”
千代田区は東京の中心にあるということで、多くの業界団体や各種団体の本部が置かれています。今日はその中の一つ、日本健康麻将協会の田邊恵三会長をお伺いしその活動をお聞きしました。
田邊会長は鋭い眼光の白髪の紳士で、昭和43年に千代田区に雀荘を開設し、以来さまざまな事業展開を拡大してこられましたが、現在事業経営のほとんどを後継者に引き渡し、これからは社会貢献に尽くしていきたいとのこと。しかもこれまで一番お世話になった麻将を通じて社会貢献をしていきたいということでした。どんなお話がきけるのかドキドキしながらのスタートです。
麻将がオリンピック競技に?
タバコの煙が立ちこめる部屋、ビールやお酒を飲みながら、徹夜で賭けごとというのが、いままでの私の麻将の印象でした。正直いってとっても不健康。大学の周りの雀荘もどんどん減ってきて、麻将はどんどん衰退していくのかなあと感じていたのです。ところが日本健康麻将協会は”健康”を標榜した麻将を推進している団体でして、競技人口はどんどん増えているというのです。
しかも、麻将はスポーツだというのです。というのはスポーツには肉体スポーツと頭脳スポーツという区分があって、日本ではスポーツといえば肉体スポーツに限定されますが、世界ではチェス、ブリッジ、囲碁、そして麻将などを含めて頭脳スポーツとか、マインドスポーツというのだそうです。
日本健康麻将協会からの働きかけにより、麻将の生まれ故郷中国の中国体育省(中国国家体育運動委員会)では、1998年に245番目の正式競技種目に認定されているのです。ひょっとしたら将来、麻将がオリンピックの正式種目になる可能性もあるのです。
ということで、いわゆる麻将のイメージを悪化させている三悪(タバコ、お酒、賭け)を排除して、麻将のスポーツ性を発展させていこうというのが日本健康麻将協会のねらいです。協会としてルールの統一や健康麻将普及のためのさまざまイベントや広報活動をしたりしています。「健康麻将マナー十か条」なんかでマナー向上にも取り組んでいます。ちなみに第一条は「自分に厳しく人に優しくを心がけましょう」です。シブい。
麻将は介護予防に有効
麻将は本当に脳に良いのか?どうやら学問的データの分析は現在進行中なようですが、麻将では「見る」「話す・聞く」「触る」「考える」といった脳の働きを活発にする行動をともなっているので介護予防には確実に有効なようです。
見る・・・捨てられた牌を集中して見る
話す・聞く・・・競技中のおしゃべりをする
触る・・・牌をとったり捨てたりする
考える・・・推理したり判断したり決断したりする
というように脳全体が活発に動いているのです。これは確実に脳の活性化に有効なはずです。最近は行政もこの効果に気づき、高齢者向けの麻将教室などの開催が増えてきました。
千代田区でも敬老の日には敬老健康麻将大会が開催され、区長杯、会長杯の争奪戦が行われているのです。今年の秋で17回目を迎えます。
健康麻将会場では参加者には女性の方も多く、昔はご主人があれほど楽しそうにやっていた麻将をいつか自分もやりたいと思っていたけれど、健康麻将のおかげでそれが実現できたて今はすっかりはまっているという女性も多いようです。教室だとルールの説明や指導をしてくれるので初めてでも安心です。
麻将の故郷中国との交流
麻将は今から99年前に中国の寧波から日本に伝わったと言われているそうです。1908年というと清朝最後の皇帝溥儀が即位した年です。来年は日本への麻将伝来100年という記念すべき年です。
…ということで、日本健康麻将協会では創立以来、麻将の生まれ故郷中国との友好交流にも力をいれています。1955年には第1回日中友好健康麻将交流大会が開かれ、それ以来中国各地との交流を深めています。来年は北京オリンピックが開催されますが、開催前年(つまり今年)の6月23日には日中政府間で合意した政府認定事業として日中マインドスポーツ競技会が開催されます。囲碁、チェス、ブリッジなどとならんで麻将も正式に参加します。麻将の社会的地位向上を目指して活動されてきた協会の皆様も感慨ひとしおでしょうね。
その他日中友好健康麻将交流訪中団を結成して12次にわたり訪中したり、中国雲南省の貧しい僻地に小学校を建設して寄付したり(協会の名前を学校名に冠した「日健麻希望小学校」)、中国から少年舞踊団公演を応援したりして着実に日中交流に貢献をしています。
学校教育に麻将を
介護予防事業と日中交流が協会をアピールする2つの事業ですが、20周年までにもうひとつ実現したい事業があると田邊会長はおっしゃいます。それは健康麻将をツールにして子供たちの非行防止、健全育成に貢献したいというのです。現代の子供たちに欠落しがちな忍耐、協調、創造に麻将は大いに貢献するということです。
家族で麻将をやると確かに家族のコミュニケーションが高まりますし、楽しい時間が過ごせますよね。あの感じで学校でも取り組めればイジメや非行といった教育現場で起こっている問題を解決して、青少年の育成に貢献できるというのです。現在ではまだ教育関係者のみなさんとしても、なかなか学校への麻将導入は思い切れないようですが、将来さらに麻将の社会的地位が高まってくれば、学校で麻将牌がじゃらじゃらなんてこともあるかもしれません。
どこの会場で健康麻将をやれるのか、どんなルールでやっているのかを詳しく知りたい方はホームページをみて下さい。
最後になりまましたが、普通、マージャンって「麻雀」って書きますよね。麻雀好きの方は不思議な感じを持ったと思いますが、今回はすべて「麻将」です。「麻将」とは賭けないマージャンのことだそうです。協会の活動理念の中に記されています。素晴らしい内容でありながら、ギャンブル性が高いばかりに悪い娯楽として位置づけられてきた麻雀から、「吸わないの、飲まない、賭けない」知的なゲームとしての麻将への飛躍という協会の皆様への強い思いを感じました。
以上、半チャン終了です(笑)。
◇一般社団法人 日本健康麻将協会
http://www.kenko-mahjong.com/