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ウィッツエル株式会社 代表取締役 奥田 稔 社長

技術者のための自由闊達にして愉快なる会社legwork_noimage

 最近は、製造業離れ、技術者離れといわれ、このままでは日本に製造業がなくなってしまうのではないかという心配がマスコミでもよく取り上げられます。
 確かに、製品製造の低付加価値の部分に関しては中国をはじめとする海外での製造が増えていますが、現代の製造業の技術で重要な部分を握る技術者がまだまだ日本に大勢いるのです。そのような超一流の技術者が集まってできたのが今回おじゃましたウィッツエル株式会社です。

技術者の活躍の場をつくる

 現在私たちの周りにある機械製品、例えばデジタル・ビデオカメラが世にでるまでを考えた場合、おおざっぱにいっても、

製品企画→デザイン→機械設計→試作・評価→電気設計→実装・評価→ソフト設計→結合テスト→製造

というプロセスがあります。全体の工程の中で「製造」はごく一部でそれ以外の工程は日本の技術者のレベルは他の追従を許さないレベルであり、さらに製造の中でもその中核技術は日本の技術者の持つ高度な技術が不可欠な場合がほとんどなのだそうです。

 日本の技術者にとって製造の一部が海外に移転することは問題ではないのです。では問題はいったいなんなのか?

 「大企業には技術者が思い切り働ける場所がない」これが奥田社長のウィッツエル株式会社を立ち上げた理由なのです。

 現在の日本の製造系大企業では、技術系社員といえどもある程度の年齢になると管理者としての役割を求められ、現場の第一線の技術者が評価をされない環境なのだそうです。技術者としての行き場がないのです。

「真面目ナル技術者ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セシムルベキ 自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」

 これは、奥田社長が所属していたソニー株式会社の設立趣意書の中で会社設立の目的の第一項に掲げられた言葉だそうです。この言葉を現代の社会において、真正面から取り組もうとしているのがウィッツエル株式会社なのです。

場の提供とつなぐ力の提供

 もちろん、現代の製造業とソニー設立時の製造業とでは大きな違いがあります。特に高度なシステム、インターネット、CADなどの活用環境がなければ現代の製造業は成り立ちません。
 そこで、ウィッツエル株式会社は抜群の技術を持つ技術者のための「モノづくりのプラットフォーム」をつくることを標榜しています。それは2つから成り立っているのだそうです。

    技術者が「やりたいことに集中できる」〈場〉をつくること
    バラバラに散らばっている個々の優れた技術を「つなげる」〈力〉をつくること

ということで、ウィッツエル株式会社の業務範囲は技術的に難しすぎて私には説明が不可能なので、詳しくはホームページでご覧下さい。

現在、ウィッツエル株式会社の売上は、

    業務やシステムのコンサルティング
    製品開発の請負
    アウトソーシング
    IT技術関連

の4つに区分されて売上構成比はそれぞれ25%程度づつだそうです。最近はIT技術関連が急速に伸びているそうです。

雇用と納税が企業の責任

 ウィッツエルは創業以来、着実に増収増益を果たしているのですが、特徴的なのは株主構成です。現在1億円弱の資本金のほとんどを65名の社員がそれぞれ持っているのです。給与や賞与して配分された資金の一部を社員の方々がウィッツエルに出資して、現在のような社員全員株主状態になっているのです。もちろん、古くから参加している社員の持ち分が多いのですが、まさに全員での経営という理念を実践しているのです。

 最近、企業によるさまざまな形での社会貢献が取り上げられることが多いのですが、奥田社長は企業の社会貢献は雇用と納税であると明確に言い切ります。だからウィッツエルではしっかり利益を出して納税をして、会社を継続させ社員の雇用を続けていくことが責任だというのです。

 そして、社員は基本的に自分の好きな技術分野をやっていいというのです。最初から、技術者が思い切り働ける場所を提供したいということでつくられた会社ですので、当たり前といえば当たり前ですが、多くの企業が大規模化するにつれ組織の維持のために汲々となってしまう場合がおおいなかで、スピーディーな決断のできるいい意味での中小企業的な体質をもっているのが、ウィッツエルの強みのようです。

派遣事業はワーキング・アカデミー

 ウィッツエルはこのように技術者集団ですので、多くの大企業から技術者を派遣してくれないかという要請も多く、技術者の派遣事業も行っています。
一般に派遣事業というと、人を右から左へ売る商売というイメージがあり、ウィッツエルとして取り組むべきかどうか迷ったようですが、派遣事業の定義をしなおしてスタートしたのです。

 その定義とは「派遣は社員の教育の一貫である」ということです。そのため派遣する社員はウィッツエルで相当レベルまで技術研修を行い、その後に大企業に派遣されます。

3~5年の間、大企業で仕事をしたあと、

    ウィッツエルで技術者として働く
    独立して技術者として働く
    派遣された大企業に残る
    ウィッツエルの事業所長としてマネジメントに加わる
    ウィッツエルで若手技術者の教育係となる

という選択肢を選ぶことができるのです。大企業の中で学べることも多いことから、技術者のキャリア開発の一環として派遣を位置づけているのです。

 今日ご紹介したのはインタビューのごく一部ですが、このような会社運営のもとで、いろんな技術者が集まってくるようです。

 「ウチは人間的に素晴らしい人が多いし、手伝ってくれる人も多いですよ」
と奥田社長はおっしゃいます。

 日本中、いや世界中の技術者の理想の職場を目指してどんどん成長するウィッツエルでした。

◇ウィッツエル株式会社
http://www.witswell.co.jp/