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株式会社吉香 代表取締役 吉川稲美 社長

日本の国際交流を支える90カ国以上の翻訳・通訳サービスlegwork_noimage

 テレビ・ニュースを見ていると、海外からのニュースが日本語のテロップ付きで流れてますよね。
 テレビ局からの依頼を受け、あの翻訳(映像翻訳)の作成や通訳、アテンダントの派遣などをやっているのが本日おじゃました(株)吉香です。

 会社は国会議事堂のすぐ近くの永田町TBRビルの中にあり、私が通された部屋からも国会議事堂がドーンと眺められました。当日は晴天で国会議事堂がくっきりと美しく、とっても気持ちよく吉川社長へのインタビュースタートです。

24時間リアルタイムで即対応の翻訳サービス

 グローバルな現代社会では世界のありとあらゆる場所からニュースが飛び込んできます。
 (株)吉香で対応可能な英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、韓国語、アラビア語などなんと90カ国以上で現在もまだその数は増えているとのこと。
 まずはその数の多さにびっくり。確かに少数民族の言語までいれると何百言語もあると思いますが、そのうち90言語以上を、(1)24時間、(2)リアルタイムで即対応できる のが、(株)吉香のすごいところなのです。

 1本のニュースが社会を変える可能性もあり、その迅速性とともに正確性、さらには外部への漏洩防止対策など安全性には特に配慮が必要だとか。90カ国以上にも対応するというのは採算ベースだけを考えるとロスが多いけれど、お客様の要望を受け止めてそれを実現することだけを考えてやっているうちに自然と増えてしまったとおっしゃる吉川社長。

 (株)吉香は、いまでは翻訳サービス事業、人材派遣事業、アテンダント派遣事業などに加え、最近では日本研修実務研修センターのJ-1ビザの申請取得サポート業務も始め、その国際交流支援事業はますます活発化しているようです。現在はこのように幅広い事業を展開されていますが、最初は海外からの帰国子女や当時再就職の難しかった語学留学経験者の就職の相談を受けることからスタートし、昭和54年に会社組織にしたのがはじめだそうです。

女性教育、社員教育、そして日本人としての精神

 吉川社長とお話をしていますと(株)吉香を表すさまざまなキーワードが随所にでてきます。

 最初のキーワードは、さきほど紹介したような事業でお分かりのとおり、「外国語」です。

 2つ目のキーワードは、「女性教育」。社長ご自身が女性ということもありますが、女性のマナー、知識、さらには人間教育まで含んだもののようです。最近、日本の女性もなにかと海外に出る機会も多いわけですが、日本人の代表として諸外国へ出て行くのですから、できるだけの素養を身につけて欲しいというのが吉川社長の願いです。特に「言葉づかい」を非常に重要視されています。言葉はその人の品格を表す、自分を高めていくためには美しい言葉づかいを覚えることが大事であり、言葉の乱れは国の乱れにもつながることになるというのが吉川社長のお考えです。

 3つ目のキーワードは、「社員教育」です。吉川社長が経営者として一番うれしいのは、大きな仕事が受注できた時でも、預金通帳への入金があったときでもなくて、スタッフの方の成長を感じられた時が一番うれしいのだそうです。吉香の社員のみなさんは毎月レポートを提出します。内容の半分は1ヶ月の業務の実績、半分は自分の心の動きや考え方の変化を書きます。

 最近、自己主張ばかりが目立っていたある社員の方(それにはそれなりの理由があったのですが)が、あるきっかけで自分の周辺からの愛情を感じ、自分は守られてきたのだと気づき、そしてさまざまなことに素直に向き合うことができるようになってきた旨のレポートがあり、それを読んだ時に涙がでてきたとおっしゃる吉川社長。
 たしかに彼の仕事ぶりは明らかに変化し仕事がうまくいくだけでなく、彼自身がつくりだす社内全体への雰囲気や人相までよくなってきたそうです。社員の人間的成長に事業経営者はどのように取り組むべきなのかという大きなテーマに真正面からしかも自然体で取り組んでおられるなあと感じました。

 「うちの社員は嫌な人が一人もいないのよ」とおっしゃる吉川社長。これは吉川社長が自分で言っているのではなく、中途採用の社員の方の入社してからの感想だそうです。

 4つ目のキーワードは、「日本人としての精神」。世界的な真の交流ということが吉香の事業を貫く大きなテーマですが、その前提としてわれわれ自身が日本の良さを学び、礼儀正しさや謙虚さを美徳とした日本人としての精神を持つことが必要だとおっしゃいます。日本のことが良く分からないで、外国のことを理解することは決してできません。深い交流もできないのです。

吉香復活の鍵は社員の支えに気づいたこと

 5つめのキーワードは、「社員への感謝」。諸外国とのお付き合いや各界での活躍で創業以来、華麗に順調に成長されてこられたのかなあと思ってお話をお聞きしておりましたら、それはとんでもない間違いでした。

 10年ほど前、社運をかけた大型プロジェクトの頓挫、社員による大型金銭詐欺という2つの大事件で会社は急激にどん底の状態へ、普通だったら倒産か社長失踪というような状態になったそうです。

 事件発覚後は、地下鉄の駅から会社までにある桜の木々が咲いているも気づかないほど毎日呆然自失の状態で、吉川社長のそのマイナスエネルギーを感じたのか部屋で育てていた蘭の花が全部枯れてしまったそうです。

 しかし、その失意のどん底から立ち直りたいと感じたとき、ふと気づくと社員の方々がしっかりと支えてくれていたのです。いっしょにやりましょうと言ってくれたのです。

 創業以来、自分が自分がと思ってやってきたことが、そこで一気に価値観が転換し、社員がいてくれてやれてきたんだと気づいたのだそうです。社員への感謝です。まさにコペルニクス的転換です。社員も必死で回復に力を尽くしてくれ、経営者としてはせめて給与と賞与だけは遅れないように、それだけは絶対にしないようにと毎月毎月大変で、自分のものは全部持ち出して必死で資金集めをしたそうです。

 会社として完全に立ち直るまでには4~5年はかかりましたが、このときの経験がいまの自分の経営者の基盤となっているとおっしゃる吉川社長。今は笑っておっしゃっていますが、本当に苦しい時期だったようです。

 ふと気づくとインタビューをはじめて2時間が経過していました。まだまだ書き切れないことがいっぱいあるのですが、きりがありません。

 現在の業務を通じて国際交流と国際人育成に貢献したいという願いを日々実践、実現しておられる(株)吉香の吉川稲美社長でした。

◇株式会社吉香
http://kikko.co.jp/