株式会社ダイマジック
株式会社ダイマジックは東京千代田区の東京電機大学TLO機関公認の第1号ベンチャー企業です。しかも大学の理事会で正式に公認された日本で初めてのベンチャー企業じゃないかなあとおっしゃるのは教授にして社長の浜田靖夫先生。教授業と社長業がダブルで猛烈に忙しいとのことで、相当なる寝不足を感じさせる浜田先生に無理やり時間を頂いて株式会社ダイマジックの魅力をお聞きしました。
ダイマジックは「音響技術」で世界制覇を企むすごい会社でした。
ダイマジックの技術とは
ダイマジックは音響、信号処理、聴覚といった分野の大学での研究をベースにして、立体音響、デジタル信号処理などの技術を活用し、3D(三次元)音響機器の開発、設計、製造を行っています。特に2つのスピーカーをごく近くに並べて臨場感あふれる音声を再現する
「ステレオダイポール技術」
はすでに実用に展開され、テレビゲーム機のコントローラーや携帯電話で我々もお世話になっています。
そういえば最近やたらと音のいい着メロ、着うたとかがありますよね?あれはダイマジックからの技術提供のおかげなのです。ダイマジックは技術開発だけでなく
「ビートショック」
という製品の製造もしておられまして、これは小型のスピーカーながら映画館にいるような迫力ある音を楽しめます。実際に試聴させて頂きましたが、素人の私でも分かるほどすごい違いでした。
全日本空輸(ANA)の国際線でも採用されていますので、ANAの国際線に乗られる際には「3D SOUND」という青いマークの映像や音楽を探して聴いてみて下さい。
活用できる市場は無限大
車の車内やカラオケボックスなど、ダイマジックの音響技術を活用して開ける市場はまだまだあるようで、技術に対する問い合わせや引き合いはひっきりなし。
といわけでこちらから売り込む必要はありませんとのこと。やはり音楽の関連業界からは大注目の技術のようです。
大学発のベンチャーが成功するには
大学発ベンチャー企業がその掛け声の大きさに比較してあまり成功していないのはなぜでしょうかとお伺いしたところ、
「技術者がマネジメントを理解する必要があります」
と浜田先生のお話。特に(1)タイムマネジメントと(2)タイミングマネジメントの2つ。
(1)タイムマネジメント
タイムマネジメントは文字通りどうやって効率よく企業を立ち上げるかということで、大学とお客となる企業が近ければ近いほどよい。その点、いまダイマジックの東京の拠点は千代田区神田小川町にあり、日本的にも世界的にも便利が良くて当面ここを離れるつもりはありません、とのこと。
(2)タイミングマネジメント
タイミングマネジメントは立上げ初期の開発期は収入が上がらないから、この時期が長すぎると企業としては成り立たない。普通、技術者は開発してから販売を考えるが、販売を決めてから開発を大急ぎで始めるぐらいの発想でないと企業は立ち上がりません、タイミングが命ですとのこと。
韓国企業では70%ぐらい仕上りでいいから持ってこいという。いっしょに100%にしていく段階で次のビジネスがまた生まれる。日本では100%になるまで研究、研究でいつまでたっても市場にでない。
大学関係者にもベンチャー志向の方は結構いるが、このようなスピード感をもってベンチャーを立ち上げている人が少ない。これも産学連携がうまくいってない一つの原因じゃないかなあ、というのが浜田社長の分析です。
また米国などではベンチャーというと一度や二度は失敗しても、またそれを糧にしてまたベンチャーを立ち上げるというのができるけど、日本では一度失敗したら終わりという感覚があるのもベンチャー企業にとってはつらいところだろうともおっしゃっております。
日本発の世界スタンダードを目指す
ダイマジックでは技術開発と製品開発がこれまでの中心であったけれど、これからはすごい技術があるだけではだめで、もっと上流の部分、つまりコンテンツ・ビジネスに乗り出していこうとされているということです。現在世にでているコンテンツはすでに多くの企業に押さえられているわけで、ダイマジックはこれまでとは違ったコンテンツを模索しているそうです。
かつて世界一だった日本の音響技術は、DOLBYなどに世界スタンダードを握られてからはずっと彼らの後塵を拝していて、莫大な使用料を毎年払わされています。ダイマジックは音を広げる技術で世界スタンダードを取り返しますからという浜田先生率いるダイマジックに大いに期待がもてます。株式公開の準備にも入り、一段と成長への加速がついてきたダイマジックの大発展が本当に楽しみです。
◇株式会社ダイマジック
http://www.dimagic.net/