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株式会社リーテム 代表取締役 中島賢一社長

「徹底した環境対策を実現したリサイクルのリーディング・カンパニー」legwork_noimage

地球温暖化をはじめとした環境問題やエコという言葉を新聞紙上で見ない日がないほど、環境問題が全世界の注目を集めています。個人のレベルから行政レベル、そして企業レベルでもさまざまな活動が行われています。「“エコ”にあらざれば人にあらず」なんていう雰囲気も漂っています。こんなことを言うと怒られるのを承知で言いますが、マスコミ上でいろんな環境活動が報道され、それらの中には、少々疑問を感じる活動も多々ありました。
1.本当に環境の改善に効果を発揮するのか?・・・単なる自己満足じゃないの?
2.活動を継続していくためのコストをどうするか?・・・経済的に継続できる仕組みは?

ところが、千代田区に直球勝負しかも剛球派の筋金入りリサイクル企業がありました。やっぱりやるならここまでやらないといけない。その会社が今回おじゃました(株)リーテムです。超多忙な中島賢一社長にお時間をとっていただき、企業探訪がスタートです。

平成5年がターニングポイント

(株)リーテムは生き物や生もの以外のリサイクルできるものはなんでもリサイクルして資源に戻してしまおうという大変な使命を担った会社です。特にOA機器や電子電気機器など金属複合製品のリサイクルが事業の中核になっています。リサイクル企業として“埋めない”、“捨てない”、“燃やさない”というゼロ・エミッションを本気で追求している企業なのです。

(株)リーテムの創業は、なんと明治42年(1909年)です。創業98年で中島賢一社長は4代目の社長です。水戸でスタートし、平成9年に支店のあった東京外神田に本社を移して現在に至っています。もちろん現在も水戸工場は稼働しており、旧本社建物は歴史的な遺産となっているのだそうです。

長い歴史のある(株)リーテムですが、大きなターニングポイントとなったのは平成5年だそうです。この年に現在のシステムの基礎となるリーテム・リサイクルシステムを導入したのです。そのきっかけは、中島社長がドイツで出会った1つの機械でした。それは、金属機械の破砕と選別の機械システムで、ドイツのリサイクル企業が導入していたものでしたが、売り物ではなかったそうです。しかし、中島社長はさまざまな問題を乗り越えて、その機械システムを自社用に作りあげることに成功しました。ここからリーテム・リサイクルシステムとしての稼働が始まったわけです。同じことをしていては企業は絶対に生き残れないという強烈な危機感を持っていた中島社長でしたが、この機械システムの導入がきっかけとなって(株)リーテムの快進撃がスタートします。

(株)リーテムの挑戦、挑戦、挑戦!

平成10年には、全国リサイクルネットワークJ・RIC(Japan Recycle Inprovement Committee)をスタートさせます。水戸と東京を拠点に活動していた(株)リーテムでしたが、全国からの引き合いも多くなり、運賃も高く、処理もしきれないので全国の志の高いリサイクル会社に声をかけ、受注をJ・RICが行い、処理は各エリアで行うというネットワークを作り上げました。現在北海道から沖縄まで32社、51拠点で活動しているそうです。

平成13年には環境マネジメントの国際規格ISO14001を認証取得。同年、さらに、環境報告書を自社で作成して公開を始めました。外部のコンサルタントを使って作成する会社が多い中、(株)リーテムの環境報告書はすべて社員が作成しています。

また、2006年度より企業の社会的責任を明らかにするCSR(Corporate Social Responsibility)報告書に移行し、ホームページでも公開しています。2007年版もまもなく完成ですが、校正途中の原稿をチラッと見せて頂きました。2007年版のコンセプトは“エコリュックサック”。我々が持っているさまざまなものはすべて環境に負荷をかけています。その重さを人が背負うリュックサックの大きさで表現しています。携帯電話を持っている人は20kgのリュックサック、パソコンを持っている人は200kgなどです。

びっくりしたのは、金のアクセサリーをしている人のリュックサックです。金のアクセサリーが環境に与える負荷はすご~く大きいのです。何kgかを知りたい人は、(株)リーテムのホームページでCSR報告書を見てみましょう。

情報公開で社内改善を加速

さらに、(株)リーテムは財務諸表や組織体制まで情報公開をしています。このように、(株)リーテムではさまざまな形で自社の情報を開示していますが、その理由を中島社長にお聞きしたところ、リサイクル処理を委託する顧客企業に安心して任せてもらうためだとおっしゃいます。

“ウチは安心ですよ”と言葉で言っても信用されませんので、会社で取り組んでいることに関してどんどん情報を公開しています。上場をしていない中小企業では、情報公開ということにあまり敏感ではありません。しかも、オーナー企業が多いので、なぜオレの会社の情報を世間に公開しなければならないのかという考え方になるのでしょう。情報を隠すと、悪いことをしても、悪いことが起こっても、すぐに外部にバレない。だから社内の改善が進まないのです。(株)リーテムが扱う環境という商品は非常に見えにくいということもあり、自社の活動を積極的に情報公開することで改善を加速させていくという中島社長のお考えがあるようです。

平成14年には東京都が進めるスーパーエコタウン事業に選定され、平成17年には城南島に新工場が竣工しました。城南島の東京工場は、多種雑多な廃棄物のでる東京という土地がら迅速できめ細やかな対応のできる工場となっているそうです。自動販売機、ATM、コンピューターなど都市型の大型金属系廃棄物を、有害物質を取り除いた後3分程度で処理できるとのこと。工場内には見学ルートが設けられ、最新の環境対策のとられた工場システムを見学できるのだそうです。現在は、工場全体から出るCO2をゼロにするという取り組みも行っています。

社員の意識改革への取り組み

次から次へと新しい挑戦をしていく(株)リーテムですが、ここまでやれば社員の中にはついていけないなあという人も出てくるはず。改革・改善と社員の意識改革は一体ですので、社員の方々の意識改革に関してはどのようなことを行っているのかをお聞きしました。

まず一つは、法務部の設置。(株)リーテムのコンプライアンスを維持し、リスク管理をしていく部署です。大企業ならいざ知らず、中小企業で法務部がある会社はあまりきいたことがありません。さらに、
1.社長や幹部による会議・朝礼での教育
2.各部署による社内教育
3.会社横断的な委員会
4.内部監査員など資格の取得や外部研修
5.他社へのコンサルティングの実施
6.社内のコミュニケーション不足を防止するレクリエーション

など社長のリーダーシップだけでないさまざまな取り組みもされています。

(株)リーテムは、最先端の発想と技術でリサイクル業界をリードしています。おそらく、(株)リーテムが最初にゼロエミッションなぞと言い出したころには、それを実現しようとすれば、コスト高になったはずです。しかし、その思いを貫いてきた(株)リーテムの先見性と実行力に脱帽です。

また、現在でこそ高い価格競争力があるそうですが、最初の頃は処理料にも反映されていたそうで、そのころから、(株)リーテムの行う透明性やコンプライアンスに関する活動を理解し、発注をしていた企業(特に民間の一流メーカー)もさすがだなあと思います。現在ではこの徹底した環境対策が高い付加価値となり、現在リサイクルのトップ企業としての(株)リーテムを支えているのだと思われます。

国家レベルのさまざまな公職について活躍されている中島社長ですが、まだまだ環境対策の行き届いていない中小企業への浸透、経済発展とともに環境問題が最大のネックとなりそうな中国やアジア諸国での展開など、(株)リーテムの活動は
どんどん広がっています。

高度なリサイクルや取扱商品の拡大といった足元を固めるための活動と、さらに新しい活動へのチャレンジの両方を含んだ3カ年事業計画の社内発表も行ったそうです。ちなみにこれは企業秘密満載なので非公開だそうです(笑)