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昭和測器株式会社 代表取締役 鵜飼俊吾 社長

「振動計一筋40年」

いきなりですが質問です。legwork_noimage

1メートルの1000分の1は?
  →1ミリメートル
その1000分の1は?
  →1マイクロメートル
さらにその1000分の1は?
  →1ナノメートル
つまり1ナノメートルは1メートルの10億分の1というとてつもなく微少な単位です。こんな単位の“揺れ”でも測定してしまう測定器を研究・開発している会社が千代田にありました。

振動計の専門メーカー

 昭和測器(株)は振動計の専門メーカーです。振動監視センサーや超微少振動(10ナノメートル)の測定器などを日本で唯一製造されています。日本国内において兼業で振動計を製造している企業はいくつかあるそうですが、専門メーカーとしてNO.1企業が昭和測器(株)なのです。今年の9月には約40年にわたる振動計の研究・開発を通じての社会への貢献が認められ、東京商工会議所の勇気ある経営大賞優秀賞を受賞されました。お忙しい時間の合間をぬって鵜飼社長と関口さんが企業探訪の対応をして下さいました。

 ところで、振動計ってどんなところに使用されているんですか?とお聞きしたところ、自動車、産業機械、航空機、船舶、電気機器、建築構造物などさなざまなところに使われているとのお話。私たちのイメージしやすい例でいえば、エレベーター。エレベーターは縦、横、上下の3つの軸で振動を測定しているのだそうです。エレベータにとって“揺れ”は大敵。もし基準以上の揺れが発生すれば、すぐに異常事態としてストップさせなければ、人命にかかわる大事故につながる可能性もあります。

 さらに電子顕微鏡、これなんかも絶対に揺れてはいけないものです。それはそれはとんでもない精度でじっとしていないとちゃんと写らない。電子顕微鏡ではナノメートルの単位のものを見るのですから、ナノメートル単位の精度でじっとしておいてくれないと使いものにならない訳です。ということで、その精度の振動測定器が必要です。昭和測器(株)では、実際独立行政法人理化学研究所にも電子顕微鏡用に測定器を提供しています。半導体のチップを製造している工場ラインも微細な揺れが不良品の原因になるため、大変に相談が多いそうです。このような話を聞いていると程度の差はあれ、“揺れ”てはいけないものは、私たちの身の回りにいっぱいあることに気づきました。我々も知らない間にお世話になっていたんですね。

鵜飼社長の経営信条

 鵜飼社長は岐阜県のご出身ですが、29歳の時に東京に出てきて以来、台東区の貸机から会社を興し、昭和測器(株)を約40年にわたり率いて来られました。なんとその間、一回も赤字はなし。40期連続の黒字です。経営環境がめまぐるしく変わる現代において、これは驚異的なことです。その秘訣をお聞きしました。

 まず一つ目は地道に着実に会社を成長させること。バブル華やかなりし頃には、不動産投資や株式投資などの営業マンが連日会社につめかけてきたそうですが、鵜飼社長はいっさいそれらには手を出さなかったのだそうです。そして、本業しかも振動計に専門特化して事業を深めてきたのです。“専門特化”すれば知識・技術・ノウハウが蓄積されるだけでなく、市場においても“振動計だったら昭和測器”というように、顧客にとっては非常に分かりやすいわけです。これはマーケティング上非常に重要です。ちなみに社長が師とあおぐ安岡正篤先生に教わった「一燈照隅」というのが、鵜飼社長の大好きな言葉だそうです。

 つぎに社長自ら率先垂範。今でも鵜飼社長は会社に一番早く来て、一番遅く帰り、“ガツガツ”仕事をするのを信条としていて、一営業マンとして売上目標もあるのだそうです。私もタイムカードも押してますよとのこと(これにはびっくり)。また、公私のけじめをきっちりして接待交際はほとんどゼロ。接待会食や接待ゴルフなども一切行わないのです。考えてみれば、中小企業の経営者というのは、会社の中では好きなことができるので、厳しい自己管理の基準を設けないとなんでもありのとんでもない会社になってしまいます。緩い基準や基準からの逸脱が、いつしか法令違反などにもおよび会社の致命傷になった事例がたくさんあります。経営者自ら厳しい行動基準を設け、会社の中に新しい課題、難しい目標を設定し、それに向かって社員が努力する結果、会社の成長が生まれていく。すばらしい率先垂範だと感じました。

 ただし、昭和測器(株)は社長ワンマンの“あれやれ”“これやれ”式の会社ではないようです。社員の自発性、創造性を尊重する。その一つの例が四半期ごとに行われている自己目標の申告制度。四半期ごとに全員自分で仕事の目標を設定し、次の四半期にその実績はどうだったのかを発表するのです。この内容は社内報である“昭和ニュース”に掲載され、10年以上継続されています。この“昭和ニュース”ですが、鵜飼社長も四半期の目標を発表されますので、会社の活動の方向性を一つに合わせていくのに役立っているようです。

 もちろん仕事だけ厳しいのではありません。処遇に関しては年間賞与4ヶ月以上の継続、決算賞与の支給などがんばれば還元される仕組みもしっかりとつくっておられます。さらに株式の約20%が社員持ち株となっており、昨期も15%配当をし、社員の経営参加への大きな動機付けになっているようです。

 社員教育も会社からの押しつけではなく、社員が自分で研究していくことを重視しているのだそうです。他人から言われてから動く受身社員ではなく、自分から考え行動する積極社員の皆さんが昭和測器(株)の活力を支えているのです。

若い経営者へのアドバイス

 最後に鵜飼社長が創業されたころを思い出して頂き、これからがんばろうとしている若い経営者へのアドバイスをお願いしました。
(1) 腹を立てて軽率に行動しない・・・腹が立っても一晩おいて冷静になってから対応する。
(2) 目先の利益を追わない・・・先の先の利益を考えながら行動する。
(3) お客さまの満足を追求する・・・簡単にわかったつもりにならないで、お客様の満足という大原則を本気になってとことん追求していく。

振動計の開発・製造を通じて、困っているお客様を助けて行きたいという鵜飼社長。困っているお客さんを助けて感謝され、利益まで頂けるという素晴らしい商売ですとおっしゃいますので、鵜飼社長は本当に振動計がお好きなんですね、とおたずねしたところ、“大好物”ですとのお答え(笑)。経営者自ら自社の商品に惚れ込むこと、これが中小企業の経営の原点であると感じました。