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SAKULA HOTEL(サクラホテル)神保町 石田肇ゼジネラルマネージャー

“お客さんとスタッフがつくるアットホームな心地よさ”legwork_noimage

 千代田区の神田神保町は古書店街で世界的にも有名な場所ですが、もう1カ所世界的に有名な場所があります。それが今回おじゃましたサクラホテルです。千代田区内には日本を代表する一流ホテルやビジネスマンが利用するホテルが多数ありますが、
1. 宿泊客の8割が外国人
2. 宿泊料金がえらく安い
 という点ではサクラホテルはぶっちぎりの特徴を有しているのです。1997年に世界でもっとも読まれている英語ガイドブック「ロンリープラネット」に高い評価で紹介されて以来、外国人の顧客が宿泊客の大多数を占めているのです。今回はサクラホテル総支配人の石田肇氏にお話をお聞きしました。

サクラホテルのスタート 

 1992年日本で仕事をしたり勉強するために長期にわたり滞在したい外国人向けに、株式会社サクラハウス(九十九華子社長)が外国人専用ゲストハウスをスタートさせたのがはじまりだそうです。当時は外国人に対する偏見や日本特有の敷金・礼金制度などがあり、外国人が部屋を借りるのは大変だったようです。九十九社長はこれをなんとか手助けしたいということで、今で言うマンスリーマンション、サクラハウス(東京新宿)をスタートしました。
 
 サクラハウスが順調に推移するうちに、短期滞在の外国人向けの宿泊施設も必要だということで1994年に神田神保町にサクラホテルがスタートしました。サクラホテルは古い雑居ビルを買い取り、用途転用されました。ほとんど建て直しに近いほどの改修が必要だったそうです。

サクラホテルの特徴は? 

 サクラホテルの特徴はなんですかとお聞きしたところ、「まずアットホームなところかなあ。」と石田マネージャー。東京の自分の家として泊まって欲しいという考え方だそうでして、私が訪問した際にもスタッフの方と外国人のお客さんが盛んに情報交換をされてました。スタッフとお客さんがこんなに話をしているホテルは見たことがありません。ちなみに会話の内容は秋葉原のメイドについてのようでした(盗み聞きしてすみません)。 

 ホテルの6階には荷物置き場があるのだそうですが、荷物をそこに置いて、東京に来たときは必ずサクラホテルに泊まることにしているリピーターのお客さんも多いそうです。ホテルなんだけどとってもアットホームで、なんか“洋風民宿”みたいな感じです。 

 スタッフの人が何でもやるのも他のホテルではあまり聞いたことがありません。担当がパートごとになっておらず、スタッフみんながフロント、コンシェルジュ、ベルマン、レストランのウェーターなどなんでもやるのです。インタビュー終了後、石田マネージャーは立て込んできた1階のコーヒーショップで朝食の給仕をやっておられました。 

 次の特徴は“雰囲気がいい”という点です。ホテルの近所の住民の方が土曜日や日曜日に1階のコーヒーショップでゆっくりしているそうですが、サクラホテルの雰囲気が好きなんだそうです。海外旅行や海外滞在の経験が長く自分も海外で良くしてもらったという経験を持つスタッフが多く、サクラホテルのいい雰囲気はこのあたりから醸し出されているようです。特別なことをしてるわけではありませんとのことですが、その自然さがまたいいんでしょうね。

世界が変わればお客さんも変わる 

 お客様は外国人が8割、日本人が2割だそうです。外国人の国別でいうとアメリカ、ヨーロッパ、オセアニアといった欧米の方が中心。池袋にもサクラホテルがあるのですが、あちらは中国や韓国といったアジア系のお客さんが多いようでなかなか興味深い現象です。 

 最近はユーロ高の影響からかヨーロッパからのお客さんが多く、そのなかでも北欧3国からのお客さんが増えていて、ちょっとした日本ブームが起きているようです。 

 外国からのお客さんは何をしに日本に来ているのかをお聞きしたところ、特徴的な点としてまずは日本の武道を学びに来ている方が多いとのこと。そう言われればインタビューをしている隣のお客さんは筋骨隆々で屈強な雰囲気、鋭い眼光で朝からトーストを5枚食べてました。やはり武道家かな。 

 次にオタクの聖地アキバ目当てのお客さん。ヨーロッパの人びとの中でも特にドイツ人に熱い人が多いようです。いきなりコスプレでホテルに現れる人もいるようで(笑)、やはりアキバを擁する千代田区のホテルは普通ではいられません。

 次に買い付け。といっても昔ながらの日本の浮世絵や工芸品ではありません。そういう品々はすでに長い歴史があってなかなか新参者は入れない。サクラホテルのお客さんの買い付けの目当ては相当とんがっています。例えば“おもちゃ”。戦車や乗り物がロボットに変身したりするトランスフォーマー(変形ロボット玩具)が非常に人気が高いようで、最新のトランスフォーマーを買い付けて、それを2年~3年寝かしますと非常に価値が上がるのだそうです。サクラホテル6階の荷物置き場には熟成中のトランスフォーマーがたくさんあるようです。 

 また、神保町には中古のレコード屋さんが多い。CDやDVDではありません。レコード屋さんです。海外の音楽マニアの中には、日本でしか発売されてない日本語版ジャケットに入った海外アーチストのレコードや日本でのみ発売された例えば“武道館ライブ”なんていうのを求めているのだそうです。こういった貴重なレコードを買い付けに来る人も多いようです。トランスフォーマーや中古レコード店の相談にものらなければならないスタッフの皆さんのご苦労がしのばれます。 

 さらに最近増えて来たのは海外の私立中学校や高校の交換留学生。東京で泊まる際によく利用されているのだそうです。もとはオセアニアの2校が日本の北関東の高校と姉妹提携して交換留学生がスタートし、東京で2~3泊する際にサクラホテルに泊まったのが最初だそうです。1日目はディズニーランド(やはり強し)、2日目は新宿、渋谷、秋葉原あたりを訪問、3日目は自由行動というのが多いようです。最初は2校だけだったのがだんだん口コミで広まり、オセアニア全域、アメリカ、イギリスにも広がってきているのだそうです。もちろん一般のバックパッカーも多いのですが、お客さんがこんなに特徴的なホテルも珍しいと思います。

 サクラホテルは千代田区神田神保町にあって一神町会に所属しています。「町会の皆さんには非常に良くしてもらってます。」と石田マネージャー。サクラホテルは大通りから一本入った通りにあるので時々迷子になるお客さんもいて、近所の皆さんはそういった迷子さんに道を教えてくれたり、飲食店では地図を置いてくれたりしているのだそうです。また夏祭りでは外国人のお客さんが神輿を担がせてもらっているそうで、サクラホテルのパンフレットの神輿を担いでいる写真は実際のものだそうです。ピンク色で外国人がうろうろしているサクラホテルですので、一見すると“怪しい”感じがするのですが、地元のみなさまにも理解を頂いてしっかり地元に溶け込んでいるようです。
 
 「世界の情勢を反映してお客さんも変化しています。」と石田マネージャー。最近の例で言えば、ロシア人のお客さん。昔は外出する際に黒パンとチーズの弁当を持って観光に出かけるのが常だったようですが、最近では美味しい寿司はどこだとか、天ぷらが食べたいなんて具合に相当裕福になってきたのだそうです。また世界のIT化の流れに乗ってインド人のお客さんが増えたりして、サクラホテルのお客さんは世界の情勢を反映して変化しているのです。

お客様に心地よいホテルを目指して 

 ホテル経営につきものの事故率はゼロに近く、14年以上のホテル経営の中で大事件はないとのこと。「そういえば引きこもりで部屋から出てこれなくなっちゃったハワイ人を、宿泊しているアメリカ人みんなが協力して助け出したりとかしたことはありますけど、事故といえばそんなところかなあ。」ということです。薄利多売なんで光熱費が高いのが悩みのタネだそうです。

 “お客様に居心地のいい場所を提供したい”、“来るお客様を大事にしたい”という石田マネージャー。その心地よさを是非宿泊して体験してみて下さい。ただし、人気店ですので予約はお早めに。