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宇津救命丸株式会社 代表取締役 宇津善博 社長

「こどもの健康を守る薬をつくり続けて400年」legwork_noimage

 千代田区は元気な老舗が多い地域です。ただし、創業400年以上という会社はそうそうあるものではありません。今回お邪魔した宇津救命丸(株)は今年で創業411年という、現存する製薬会社としては国内最古の歴史を持ち、しかも現在なお日本中の多くの人々に知られているという、すごく貴重な会社なのです。お忙しい中、宇津善博(うづ よしひろ)社長にお時間をとって頂きインタビューのスタートです。

宇津救命丸(うづきゅうめいがん)は一子相伝の秘伝の薬

 宇津救命丸は、関東の人であれば知らない人はいないほど有名なこども向けのお薬です。こどもの夜泣き、かんむしに宇津救命丸にお世話になった人も多いのではないかと思います。

 宇津救命丸は約400年前に創製されて以来、その処方は「一子相伝」として宇津家の当主から長兄に口伝えで伝えられ、製薬中は誰も近寄ってはならないという秘伝の薬だったのです。現在では厚生労働省の定めるGMP適合工場で厳しい衛生管理の下、最新鋭の設備で製造されていますが、現在も開発された当時と同様に自然の生薬だけを使って作られているそうです。ただし、現在宇津救命丸が売上げのほとんどを占める商品というわけではなく、こども用のかぜ薬シリーズや下痢の薬など多品種をラインナップし、売上構成も大きく変わっているそうです。

※GMP(Good Manufacturing Practice)・・・「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準」のこと。

400年以上続く秘訣

 400年以上の長きにわたって会社を継続してきた秘訣はなんでしょうか?と宇津社長にお聞きしたところ、まず第一にこども専門にずっと絞ってきたことでしょうと。あれやこれやと手を出さず、こども用の薬の製造・販売に特化してきたことが功を奏してきたということです。製品は多品種ですが、すべてこども向けなのです。次の要因は、株や土地などバブル時期にも投機的取引には手を出さず、堅実な経営を行ってきたことが要因ではないかと。さらに初代宇津権右衛門(社長とお呼びすればいいのかなあ?)から現在の善博社長まで18代すべてご長男が継承されてきているのです。複雑な承継問題はなく、長男が家業を継ぐのだということを周囲もご本人も納得して実践されてこられました。そして最後に、お婆ちゃんからお母さん、そしてこどもにと代々口伝えで救命丸をはじめとする家庭薬の良さを伝えてくれたことが大きな要因ですと宇津社長。

 厳しきなる経営環境

 これまで長い歴史を持つ宇津救命丸ですが、これからの環境ということを考えると容易ではない要因もあるのだそうです。宇津救命丸(株)にとっては、市場が縮小する少子化という課題です。広告を掲載しているベビー雑誌の発行部数も、年々減少しているそうです。そして最近顕著なのが、お母さん達の薬離れです。インターネットの影響でさまざまな玉石混交の情報が乱れ飛んでいるため、最近のお母さんは薬に対して少々過敏な傾向にあるようです。ネット上のそのような噂話に対して、薬事法の制約もあり、メーカーとしては使えない表現も多く、さまざまな書き込みはメーカーとして悩みの種のようです。さらに小学生、中学生までの治療費を無料にしている自治体も多くなり、家庭薬を常備せずすぐに病院に行くことが多いのだそうです。

 私のこどものころには宇津救命丸のテレビCMをよくやっていました。最近はそのテレビ広告費も高騰し、テレビCMよりも母親教室や雑誌への広告宣伝が多く、ホームページでの情報提供にも力を入れています。

 http://www.uzukyumeigan.co.jp/

 ホームページでは、宇津社長自らブログを書いて発表しています。3日から4日に1本というペースで、とっても面白くて宇津社長の人柄がわかります。是非ご覧になってみてください。これまでの歴史の中で最近の10年がもっとも変化してきたという宇津社長。しかし、その変化に手をこまねいているわけにはいきません。宇津救命丸(株)は工場が栃木県高根沢町にありますが、そこには丸剤を製造する職人技ともいえる高い技術があるそうです。それを生かして新しい製品作りをしていきたいというのが宇津社長の考えです。

 8年前、創業400年の際には大きなイベントはしなかったそうです。“創業500年の時にはやりましょう。でもやるのは自分の孫かひ孫ですかね”とニコニコと笑う宇津社長。国内唯一のこども専門総合医薬品メーカーとして、トップの目は将来を見据えています。