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中小企業の問題解決

がんばる中小企業応援リレーコラム
~景気回復期を上手に乗り切ろう!

第6回 中小企業の問題解
中小企業診断士 河合 史門(かわい しもん)

このリレーコラムもいよいよ最終回となりました。そこで今回は総まとめとして、いつもとは変わった角度から中小企業経営について考えてみることにします。 

アベノミクスが成功しているのかどうか、景気は回復しているのかどうか、様々な議論があるようですが、それはさておき、わが社はまだまだ問題があるぞとお考えの方は少なくありません。海外からの原材料費は高騰し、4月からは消費税が上がって消費マインドが冷え込み、電力費も上がりそうだ、などなど。頭の中に様々な問題を抱え、それを相談する相手もいないという経営者は少なくありません。経営上の問題がスッキリと解決するためには、どのように考えればよいのでしょうか。

その前提として、「問題」とは何でしょうか。「解決する」とはどのような状態を言うのでしょうか。

「問題」とは何でしょう

われわれは、「問題」と言う言葉をよく使います。「5つの問題のうち、3つ解ければ合格だよ」「彼は勤勉だが、営業力が問題だ」「さて、そこが問題だよね」など、様々な使われ方があります。

しかし、経営関係の文脈に関して言えば、「問題」とは、「現状とあるべき姿の乖離」と定義されます。たとえば、「今期売り上げ10億円」と目標を定め、ふたを開けてみれば8億円しか売り上げられなかった場合、その差の2億円が「問題」であることになります。

問題解決とはこの現状とあるべき姿の乖離を、何らかの手段で埋めることです。たとえば、来期のイベントを前倒しして差額を埋めることができれば、一応の問題解決と言えましょう。                                                                                           

ここで、気づいていただきたいことがあります。それは、「あるべき姿」の設定の仕方で

問題は変わると言うことです。たとえば、景気回復期には、黙っていても自然に売り上げが上がるという会社も出てきます。そのときに、あえて経営革新にチャレンジする、今までやりたくてもできなかった分野にチャレンジする、等を目標とすると、この目標と現状の乖離はやはり「問題」と言うことになります。

これを「積極的問題」と呼ぶこともあります。景気回復期には、このような積極的問題を抱えていきたいものです。

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問題解決の手順を知っておこう

ところで、中小企業において問題をどのように解決していけばいいでしょうか。

問題解決には、一定の手順があります。たとえば、先ほどの例で考えてみましょう。ある会社で目標10億円のところ、今期は8億しか目標達成できないという報告を受けたとき、会社の代表者はどのように頭が働くでしょうか。

まず、その報告が真実であるのか、何が売れなかったのか、どこの店で売れなかったのか、あらゆる情報を収集することでしょう。これが、状況分析です。

そして、状況が分かったとき、次に考えることは「なぜこんなことになってしまったのだろう」と言うことでしょう。これが原因分析です。

状況も把握でき、問題の原因も分かったとき、次に問題解決のための最適の案を考え、実施していくことになります。これが決定分析です。

これで終わりではありません。その決定には、リスクはないかを考えなければなりません。これがリスク分析です。

しかし、この順序は絶対的なものではありません。状況分析もそこそこに、原因分析はしないで決定分析をしなければならない場合もありますし、リスク分析の結果決定分析からやり直しという逆流状態もあります。代表者1人で考えている場合等は、むしろそれぞれの分析を行ったり来たりしながら、最適解を探すというのが実情でしょう。

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この手順が重要性を持つ場面の一つは、中小企業における会議だろうと思います。私がお伺いする企業でも、原因分析をしているかと思うと、いつの間にかリスク分析になり、決定分析の途中で状況分析になるというような会議は珍しくありません。そのとき、今、どのレベルの話をしているのか、を意識していただければ(司会者が指摘すれば)、会議の時間は大幅に短縮できます。 

思考のテーマを明確にしよう

もう一つ、問題解決のコツを申し上げます。それは、会議ならば会議の最初にその会議のテーマをはっきりさせることです。つまり、「思考の土俵」を明確化するのです。1人で問題を考える時も同じです。

たとえば、新製品を売り出したがどうも売れ行きがよくないとします。そのとき、会議を開くならば、「新製品Xの営業不振の原因分析」等のようにテーマを明確にすることです。そうすると、「この商品自体が他社と差別化できていない」という意見は営業の問題ではありませんからカットすることができます。「俺が昔売った商品Bは凄い売れ行きで・・・」等という自慢話も、新製品Xに関することではありませんから、カットできます。

このように、テーマを絞ると思考は明確になります。しかし、窮屈になる場合もあります。そこで、あまりよい意見が出なければ、少し土俵を広げることになります。このさじ加減のうまい下手がいい結論になるかどうかの分かれ目でしょう。

そして、最後に、結論を全員に明確にして会議を終えることも忘れてはなりません。いつまでに、何をするのか、そしてそれは誰がやり、誰が責任を持つのか、これを決めない会議は会議に値しないと言ってよいと思います。

以前、2日かけて長い会議を経験したことがあります。そのときも、タスクを一覧表にし、それぞれのタスクに担当者・責任者の名前を書き入れて会議を終えました。そのとき、役員の方に「ありがとう、これでやっと安眠できる」とおっしゃっていただいたことが今でも印象に残っています。

外部の専門家を活用しよう

中小企業の問題は、代表者1人で悩んでいても、幹部で長時間の会議をしても、なかなか解決しないこともあります。

そのようなときには、ぜひ診断士等の外部の専門家の知識を活用して下さい。様々な施策を活用し、安価に(ときには無料で)経営課題を解決できることも少なくありません。

皆様のご健闘を祈念しています。

一般社団 ちよだ中小企業経営支援協会
事務局長 河合 史門
0116690801@jcom.home.ne.jp