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ブランド戦略で企業価値を高めよう!

がんばる中小企業応援リレーコラム 
~ 企業の社会価値を高める ~

第4回 ブランド戦略で企業価値を高めよう!
中小企業診断士 河合 史門(かわい しもん)

 このリレーコラムもこのテーマでは最終回です。

1回目、2回目と実際の企業の例をご紹介し、前回は財務面から企業価値を高める方法を検討しました。経営のヒントになりましたでしょうか。

今回は、この企業価値(あるいは商品・サービスの価値)を顧客の側から見てみましょう。すなわち、「ブランド」の問題です。

1.ブランドとは、なんでしょうか?

 いま、われわれは、何気なく、ブランドと言う言葉を使います。
「わが社のブランドを見直そう」とか、「やっぱり、ブランド品は高いね」などという会話をよく耳にします。
しかし、そもそも、ブランドとは、何でしょうか? 

 ブランドの定義は一つに定まっていません。最も狭く解するならば、「独自の名前・ロゴ」を指します。ロゴには、ロゴマークとロゴタイプ(その名前を表記ときには、必ず使用する書体など)があり、いずれもきわめて重要です。なぜなら、ロゴは、瞬時に、見る者の感性に訴え、明瞭に記憶に残るからです。たとえば、コカコーラ、キッコーマンの醤油、アサヒビールなどを思い浮かべていただけばお分かりになるでしょう。

しかし、普通、ブランドと言う言葉を使うとき、もう少し広く、「ある一定規模以上の消費者から何らかのポジティブな感情を持って支持される商品・企業」を指します。ブランドに傷をつけてはいけないなどと言うときは、まさにこれを指します。

ブランドというとき、形のある商品、あるいはそれを作るメーカーがイメージされるかと思います。しかし、形のない商品、サービスもブランドが問題になりますし(宅配サービスを思い出してください)、メーカー以外の企業やお店もブランドは大切です。ただ、本稿はわかりやすく、形のある商品、あるいはそれを作るメーカーを取り上げてご説明いたします。

2.ブランドの不思議

 さて、ブランドとは極めて不思議なものです。なぜならば、バックでも洋服でも、ブランド品は大勢の消費者が欲しがります。また、逆に、みんなが欲しがるからこそブランドになります。すなわち、消費者の心理的要因の上に乗っていることは否定できません。その意味で、「今日のブランド品は、明日のバーゲン品」という可能性もあるのです。

 しかし、ブランドが確立すると、同じ性能の「製品」でも高く売れる「商品」になります。その意味で、ブランド確立は売上向上に直結します。そういうと、単なる利潤追求のテクニックのように聞こえるかも知れませんが、そうではありません。ブランドはその商品を入手した人に、より大きな満足感を与えているのです。

 そもそも、消費者は、ブランド品を見て、このブランドならばいい商品であろうと考えて購入します。メーカーが、その信頼を裏切るならば、一気にブランドの力を失うことになります。その意味で、ブランドとは「商品の品質などに関するメーカーと消費者との暗黙の約束」であると言うこともできるでしょう。

3.ブランドを創る・育てる

 では、ブランドはどうすれば確立できるでしょう。ここで大切なことは、今日のブランド企業やブランド商品が偶然生まれてきたものではなく、また、一朝一夕でできたのでもない、長い年月を掛けて築きあげられてきたものであるということです。そして、強い理念・夢を持っている企業ほど、ブランド企業になりやすいということです。それは、メーカーのその強い思い入れに、消費者が共鳴し、支持するからです。
 では、この理念・夢をどのようにして、ブランド化していくのかを見ていきましょう。
 まず、簡単に、御社の理念・夢を確認してみましょう。あらたまって、理念などと言われると、戸惑うかもしれませんが、ぱっと思いついた言葉を、次の□に入れてください。

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4.ブランド確立の手順を確認しよう

 では、ブランド確立の手順を具体的に見ていきましょう。

 

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5.ブランドの全体像の構築

上図の、「ブランドの全体像の構築」のうちの5つのステップは、重要なところですので、具体的に説明します。
①ラショナル
 これは、合理的な背景のことです。ブランドは、消費者の心理的な要因に基づく側面はありますが、実体のないものを吹聴してはいけません。たとえば、わが社では安価で、使いやすい子供服を多数市場に提供してきた、など、自社の財産とも言うべき特長を確認します。
②ブランディング・ターゲット
 自社のブランドを深く理解し、愛してくれ、顧客になってくれる可能性のある人たちに向けて、ブランドを規定する必要があります。決して、これを広げすぎてはなりません。ターゲットが不鮮明になることは避けるべきだからです。たとえば、自社の子供服のセンスに共鳴してくれる若い夫婦などが、ターゲットということになります。
③ファンクショナル・ベネフィット
 機能面の利便性は何か、考えてみる必要があります。安さとか、使い勝手の良さとか、衣服なら着心地などがこれにあたります。
④エモーショナル・ベネフィット
 感情的な面での利便性です。たとえば、子供に新しいかわいい服を着せることによって、幸せな家族のつながりが感じられることなどがこれにあたるでしょう。
⑤ブランド・パーソナリティ
 これは、①から④までを統一するブランドのイメージです。たとえば、人間でもその人柄があるように(理知的、頼りになるなど)、ブランドにも柄があります。それを一口であらわしてみましょう。たとえば、暖かさ、懐かしさ、ユーモラスなどのように。

 いかがですか? ブランドの確立はやはり大変だと思われたでしょうか。
しかし、よく見れば、普段のマーケティング活動と同じじゃないかと思われた方も多いと思われます。ブランドつくりも、マーケティングの一分野である以上当然と言えば当然です。

 ぜひ、上記手順を参考に自社のブランドの確立を考えてみてください。そして、日常の経営努力の積み重ねがブランドの確立につながることを知っていただければ幸甚です。
 千代田診断士会では、ブランド確立のお手伝いをしております。もし、もう少し詳しい話を聞いてみたい、と思われる方は以下へお気軽にご連絡ください。

一般社団法人ちよだ中小企業経営支援協会(担当:河合)
0116690801@jcom.home.ne.jp