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第4回 “情報”「インターネットを活用した情報発信で、プル型の営業を構築する」

がんばる中小企業応援リレーコラム 
~ 企業の“経営資源力”を高めよう ~

“情報”「インターネットを活用した情報発信で、プル型の営業を構築する」
  中小企業診断士・経産省認定支援機関  西川 智哉 (にしかわ ともや)

1.プル型の営業とは

企業が売上を伸ばすためには、良い商品を販売するのもそうですが、売るための活動=営業活動、を実施する必要があります。多くの中小企業は、良い商品を販売しているにもかかわらず、営業方法に問題があり業績が低迷しています。
「営業は気合いと根性だ!」という従来の考え方も確かに重要です。営業マンが営業活動を頑張ると受注は増加するでしょう。ただし、中長期的な視点で見ると非常に効率性が悪い可能性が高いです。
これらの原因は、貴社の営業方法がプッシュ型になってしまっているからです。プッシュ型の営業方法とは、営業マンが顧客に対して「買ってください」とプッシュする(押す)、営業方法です。
営業効率を上げるための方法としては、プル型の営業を取入れる事です。プル型の営業とは、顧客から、自社に対して「売ってください」と言わせるためにプルする(引っぱる)、営業方法です。
例えば、あるサービスを提供する個人事業主の方は、これまで使用していた名刺を全面リニューアルし、名刺交換をした見込客がサービスに興味を持つ内容にしました。その結果、電話やメールでの問合せが増加し、新規受注を増やすことに成功しました。この様に単に「名刺」をリニューアルする場合もプル型の営業を志向すると良い結果が得られることがあります。
そして、プル型の営業方法において、近年最も大きな効果が見込まれるものとして、インターネットを活用した情報発信があります。

 

2.インターネット活用の種類

インターネットを活用した情報発信の種類として、WEBサイト、メルマガ、ブログ、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ動画、等があります。これらはインターネットという点では共通していますが、それぞれ情報発信の方法や効果が違います。そして、これらをビジネスに活用していこうと考えると、それぞれの特徴をおさえて組合わせて使用していく必要があります。
例えば、WEBサイトのみを運用している企業が、アクセス数が増えず売上が伸びないといったケースがあります。また、フェイスブックのみを運用している企業が、問合せは増加するが成約が伸びないといったケースもあります。
この場合、以下の図の様にフェイスブックで集客した顧客をWEBサイトに送客し、WEBサイトで商品の魅力を伝えることで販売に繋げるという流れを構築することが有効だといえます。

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フェイスブックは自社と繋がっている人に対して情報を発信する事ができ、更に「いいね」や「シェア」で情報が拡散するため、結果として集客力が高まるといったメリットがあります。一方で過去の情報は新しい情報に押し流されていき、商売っ気の強い情報は避けられるというデメリットがあります。一方で、WEBサイトは商品や企業の情報をしっかりと説明したり、ネットショップの様に販売できる、というメリットがある一方で、集客には手間が掛かるといったデメリットがあります。
この様にそれぞれの機能をおさえた上で販売プロセスを考えていく必要があります。WEBサイトに見込み客を集客する方法として、フェイスブック等のSNSを活用する以外にも、SEO、ネット広告、アフィリエイト、DM、等があり、状況により選択したり組合わせます。
また、定期購入が見込まれる商品を販売している企業の場合は、以下の図の様にメルマガを組合わせることで顧客を囲込むことでリピーターを増やしていく仕組みなども有効です。

 

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3.顧客の購買行動の変化

近年はインターネットが普及し、顧客が商品の購入を決定する前に予め情報収集したり比較検討をしたりしているケースが多いです。
例えば、家電量販店では、顧客は「購入目的」で来店するのではなく、「実物を見に来る目的」で来店する方が増加しているようです。この様な顧客は店舗で実物を確かめ、後からネットショップで購入するそうです。
これらの購入者の購買行動の変化は、学問的に以下の図の通り、「従来のAIDMAモデル」と「ネット時代のAISASモデル」として比較されます。AIDMAモデルは、見込み顧客が商品を知ってから購入するまでのプロセスを「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」に分けたものです。AISASモデルは新たに、「Search(検索)」「Share(共有)」が加わっています。

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この様な現象は、企業向けに商品を販売している企業(BtoB)においても同様の傾向が見られます。従来は、新規の見込顧客と商談をすると「次回は詳細をご提案下さい」とか、「正式な見積書を下さい」と前向きな回答が多かったが、最近は「検討しご連絡します」という回答が多くなったという話をよく聞きます。これは見込顧客がインターネットで様々な情報を検索・収集し、比較・検討していることが要因の1つといえます。この様に、購入者の購買行動の変化に対して営業方法を見直していく事が重要になっています。
環境の変化に対応せず、従来の様に「買ってください」というプッシュ型営業のみを実施していれば、顧客に足元を見られて値下げの要求を受けたりと、不利な条件での販売が増加していきます。「売り込めば売り込む程、売れなくなる」という傾向にシフトしているといっても過言ではないかもしれません。

 

4.販売戦略から考える事が重要

インターネットを活用したプル型の営業を構築する事は重要ですが、これらは戦術でしかありません。そのため、販売戦略が間違っていると効果は限定的なものとなってしまいます。
販売戦略は、商品の特徴、市場の動向、顧客の特徴、競合他社の状況、等を分析した上で実施体制、スケジュール、必要な費用、等を検討し、計画的に実行していく事です。下記図のように、販売戦略とネット戦術を掛け合わせてこそ事業の成果につながるといえます。

 

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例えば、専門性が高い商品や、高額商品である場合、そのままインターネットで販売することは現実的ではない、といったケースがあります。こういった場合は、ドアノック商品の検討や、紙媒体との組合わせ、セミナーへの集客等を検討する必要があるかもしれません。
注意すべき点は、広告業者に丸投げすると、販売戦略を検討せずにネット戦術のみを実施してしまうケースがあります。これでは費用ばかり掛かって売上に繋がらないといった状況になります。
インターネットを活用する事の可能性として、従来は儲からないと考えられているビジネスであっても商圏を広げたり、効率化することで、優良なビジネスモデルとして構築出来る可能性もあります。
例えば、印刷企業はデジタル化等により市場規模や事業者が減少傾向にあり、斜陽産業とされています。一方でネット印刷業は、急激に市場規模が伸びてきています。

 

5.継続的な取組みが重要

インターネットを活用した取組みは、データを解析する事により、取組みの結果を把握・分析・改善し易い、といったメリットがあります。例えば以下のようにGoogle Analyticsを使用すれば結果を分析する事が可能になり、改善する点を特定する事が可能になります。

 

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以下の画像は私が以前フェイスブック広告でA/Bテストを実施した際に使用したものです。
画像Aと画像Bでは、キャッチコピーを少し変えてあるだけです。これだけでクリック率に差が出ました。どちらの画像のクリック率が高かったと思いますか?

 

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答えは画像Bです。
この様に、インターネットではテストをし、その結果を基に改善をする、といったことが可能です。
そのため、仮説をたて実行し検証するというPDSサイクル(注釈参照)を継続していくという姿勢で取組むことが有効になります。

(注釈)PDSサイクル:Plan(計画)→Do(実行)→See(見直し)を繰り返すこと

大企業と比べ経営資源が少ない中小企業にとって、迅速な意思決定やターゲットを絞ったニッチ商品の販売という特徴を活かすことが出来る世界であるといえます。
中長期的な視点でインターネットに詳しい人材を社内に育てていく事も今後の企業成長にとって重要なテーマです。