vol.16 マンション総合相談会 相談事例のご紹介
マンション総合相談会 相談事例のご紹介16
※実際の相談内容を基に再構成しています。
相談内容1
築25年、85戸のファミリータイプマンションで理事長をしている。
このマンションでは、当初から使用細則で小鳥や金魚等を除く動物の飼育を禁止してきた。ところが近年になって、使用細則を無視して犬や猫を住戸内で飼う居住者が現れはじめ、だんだん増える傾向にある。最初のうちは理事会が「犬・猫の飼育禁止」という張り紙等をしていたが、効果が無いため、いつの間にか放任状態になっている。居住者の高齢化も進んでいることもあり飼育する人がさらに増えると思われる。
使用細則で禁止されている犬・猫の飼育が公然と行われていることは、他の問題にも波及する恐れがあることから、何とか対処しなければならないと考えている。理事の中にも飼育している人がいるなかで、どのようにしたら良いか。
回答
マンション生活のマナーやルールのなかで、時代とともに大きな変化があったのが動物の飼育、ペットの問題です。25年位前は、ほとんどのマンションが犬や猫の飼育を禁止していました。管理規約や使用細則に違反して飼育をしている区分所有者や居住者に対して管理組合が訴えを起こし勝訴した例もあります。
しかし、犬や猫をペットとする人が増える中で、ペット飼育可をセールスポイントとするマンションが登場するなど、次第に容認する方向にあるようです。そうはいっても、動物を生理的に受け入れられない居住者も少なくありません。鳴き声、臭い、毛、病気といった問題もあります。無秩序にペット可とするわけにはいきません。
また、使用細則で禁止されていることを公然と無視し、犬や猫を飼育する住戸が増えるような状態は改める必要があります。既にかなりの数の住戸が飼育をしているようですから、全面禁止の方針を打ち出しても紛糾をするだけかもしれません。飼育についてのルールを設けて条件付きで解禁することも視野に入れて検討をされるのが現実的でしょう。
条件付きで解禁する場合には次のような方法が考えられます。
①飼育を認める動物の範囲とサイズを決める。
②ペットの登録制度を設ける。
③避妊や病気等の衛生管理のルールを設ける。
④共用部分では抱きかかえ、エレベーターでは同乗を嫌がる人に配慮する。
⑤ペットクラブをつくり、飼い主同士がお互いにマナー・ルールを守るようにする。
⑥悪質なルール違反者は、区分所有法第57条~59条の義務違反者に対する制裁(行為の禁止、使用禁止、競売)の対象とすることを規約や細則に明示する。
また、条件付き解禁であっても反対する区分所有者が多い場合は、現在飼育している動物を特例として一代限りで容認するという方法もあります。
最終的には管理組合総会で決めることになりますが、総会で審議するまでに少なくとも次のような手順をとることを考えてください。
①マンションでのペット飼育の問題点や対応策等を調べる。
②アンケート等で飼育の実態を把握する。
③飼育の実態をもとに、理事会で解決方法を検討しいくつか案をつくる。
④アンケートで、いくつかの案について居住者の意見を聞く。
⑤アンケート結果をもとに、総会に提案する内容を詰める。
⑥総会に議案として提出、審議、議決する。
もはや「ペット禁止」で解決できる時代ではないことも確かです。ペット飼育についてマンション内で十分に話し合い、ルールを作る事が解決につながります。
【問合せ】住宅まちづくりグループ 03-3233-3223(直通)