外部の人に駐車場を貸すと管理組合でも課税されるのですか?《マンションあれこれ質問箱vol.9》
Q.外部の人に駐車場を貸すと管理組合でも課税されるのですか?
A.管理組合であっても、収益事業によって発生する利益は課税対象です。
外部の人に貸すとなぜ課税対象になるのか?
車を持つ世帯が減るなどして、マンションの駐車場に空きが続く場合、管理組合が、外部の人に貸して収入を確保したいと考えるのは無理からぬことです。しかし、原則的に、その収入は課税対象になってしまいます。なぜでしょう?
住民が使用する場合に課税されない理由から考えてみます。
①管理組合の構成員を対象とする共済的な事業であること
②駐車場料金は、共有する敷地を特別に使用したことによる管理費等の割増金と考えられること
③その収入が区分所有者に分配されることなく運営費または修繕積立金の一部に充当されていること(国税庁、質疑応答事例より)。
ですから、外部の人に貸す場合には、上記の①②にあてはまらず「駐車場業」という収益事業であると判断されるわけです。
法人税、消費税、地方税…法人と同様
管理組合は、税法上「人格のない社団」と解釈され普通法人と同様の扱いを受け、課税されるのは以下の税金です。
[法人税]……管理組合や管理組合法人に対する法人税は、年800万円以下の各事業年度の所得金額に対して平成21年4月1日以降は18%、800万円を超える場合は30%です。
[消費税]……課税売上高が1000万円を超える場合には、消費税の納税事業届を税務署に提出し、申告納税します。
[地方税]……法人税が各事業年度の所得金額に対して課税されるのに対し、地方税は事業が赤字であっても均等割を納付する必要があります。
収益事業会計が必要
事業収入を得た場合には、従来の管理費会計・修繕積立金会計等とは別に収益事業会計をたてる必要があります。
法人税は、収益事業としての収支[収入-経費(駐車場維持経費や減価償却費等)]がプラスになった場合、その所得が課税対象になります。収益事業会計をたてる場合には、駐車場施設について減価償却費計算も行わなければ課税対象が増えることになりますので注意が必要です。
看板広告料なども収益事業
看板広告料、携帯中継基地借地料などは「不動産貸付業」という収益事業にあたりますので、考え方は駐車場業の場合と同じです。
これらを実施する場合、または実務上のことは税理士や所轄税務署によく相談してください。
マンション通信ちよだ第10号(2007.11.15)掲載