平成25年度千代田区分譲マンション実態調査(最終回) 千代田モデルのマンション創出をめざして
平成25年度千代田区分譲マンション実態調査(最終回)千代田モデルのマンション創出をめざして
平成25年度千代田区分譲マンション実態調査の結果をお知らせします。
最終回となる今回は、千代田区でのこれからのマンションのあり方について紹介します。
調査概要
地域:千代田区全域
対象:区分所有マンションとして供給された3階建て以上の非木造の共同住宅
期間:平成25年5月~平成26年3月
方法:分譲マンション管理組合、管理会社、マンションデベロッパーへのアンケート調査、現地調査等
マンションの増加による新たな発展
千代田区は区民の 85%以上がマンションを含む共同住宅で生活をしています。
今後も多くのマンションが供給されることが予想され、マンションの供給増により人口も増加し、特にファミリー層が新たに区民となることが期待されます。
全国的にみれば、高齢化と人口減少が急速に進むなかで、千代田区は21世紀型の職住の近接した新たな居住の場として再び発展していくことも期待されます。
江戸時代から市街地として発展し、独自の伝統文化を築いてきた千代田区で、最先端の居住形態であるマンションが普及し、他に先駆けて「マンション社会」ともいえる状況を呈していることにより、他の自治体にはない新しい課題も生まれています。
要望の高い支援策は?
どのような施策の充実が必要かという質問に対する回答として最も多かったのは「改良工事助成の充実」(29.6%)で、次いで「防災備蓄助成の充実」(24.4%)でした。「耐震診断・改修への支援の充実」、「長期修繕計画の策定や劣化診断への支援」、「大規模修繕工事費債務保証制度の充実」に対する希望も約20%と多く、工事等に係る費用に対する助成制度の充実を希望していることがわかりました。
ソフト系の制度充実への希望は少ないですが、ハード関係の助成制度を的確に利活用するためには、各種アドバイザー派遣制度等を利用することにより管理組合内の合意を進める必要があります。
管理組合に対するアンケート調査が示す<光と影>
管理組合に対するアンケート結果は、日常的な管理実務が適切に行われている半面、区分所有者の組合活動への参加意識が低く、居住実態等がほとんど把握されていないことを示していました。
(1)概ね良好な管理状況
①ほとんどのマンションに管理組合があり、管理規約もありました。
②9割以上の管理組合が業務を管理会社に委託、日常業務は概ね順調に行われていました。
③建物・設備の日常的な維持管理や、長期修繕計画にもとづく大規模修繕工事も概ね順調に行われていました。
④管理費等の滞納が深刻な問題になっているマンションはありませんでした。
⑤管理状況は全般的に良好であり、管理不全やスラム化といった問題は生じていませんでした。
(2)管理組合が内包する問題
①管理状況は良好ですが、これは主に管理会社が管理委託契約に基づき受託している業務を適正に行っている結果であり、区分所有者による主体的な努力の成果によるものとは言い難い状況です。また、今回の調査に反映されなかったマンションについての管理状況は不明で、その中に管理不全マンション等がある可能性は考えられます。
②管理組合の意思決定機関である総会や日常の業務執行機関である理事会が形式化しているマンションが多く、役員のなり手のいないことが大きな問題となっています。
③管理組合や区分所有者の主体的な取り組みが必要とされる防災や高経年マンションの耐震改修や建替えといった課題は、管理会社の業務を超えたテーマであり、取り組みが進んでいません。
④高齢者や子どものいる世帯等の居住実態や、空住戸の状況は、管理組合も管理会社もほとんど把握していません。
⑤マンション内外で人の交流が少なくコミュニティ活動も低調で、町会に加入していても活動に参加しないことが多い状況です。
⑥ほとんどのマンションで防災訓練等も行われていないため、大地震が発生した場合、大きな混乱が起きることが懸念されます。
⑦管理組合が建物・設備の老朽化と区分所有者・居住者の高齢化という「2つの老い」に対応できていないため、表面的には良好な管理状況に見えるなかで、中長期的に見れば深刻な事態が潜在的に進行しています。
千代田モデルマンションの創出
千代田区は最も早くマンションが普及した自治体であり、区内には現在も草創期のマンションが多数あります。その一方で大規模な再開発等が進み、時代の最先端を行くマンションも数多く供給されています。いわば日本のマンションの歴史と課題を縮図のように体現している都市です。
区民の大部分がマンションに居住している千代田区では、マンションの課題は管理の枠に留まらない広範な分野に及んでいます。また、今後の社会経済の変化が進むなか、10年後の地域、10年後のマンションを考える戦略的な取り組みが必要です。
安全・安心、そして生涯住み続けることができるまち、子育てのしやすいまちとして、さらに発展させるためには、千代田区やまちみらい千代田を中心に、マンションの区分所有者や居住者、管理組合や自治会、マンション管理士、デベロッパーや管理会社等の様々なマンション関係者の協働により、①良質なストック形成 ②防災・減災力の向上 ③生涯居住の推進 ④地域コミュニティの形成 ⑤マンション関係者間の交流と連携、といった施策を総合的に推進する取り組みが求められています。
ワンストップサービスの実現
安全・安心なマンションライフの実現や、良質なストックの形成等を促進するため、まちみらい千代田がマンションに関連する総合的な窓口となり、このようなワンストップサービスの実施を通じて、まちみらい千代田を基軸とする公・民が連携する分野(都市、住宅、福祉)横断型のプラットフォームをつくることも必要です。
<実態調査を踏まえての新たな取組み>
まちみらい千代田では、6月から、いつでもマンション相談に対応できる総合相談窓口の開設や、防災計画策定支援及び防災計画の策定を条件とした災害用備蓄物資の購入費助成、AEDの貸与、エレベーター非常用備蓄キャビネットの配付など、防災対策促進支援の取組みを始めました。
その他、管理会社との連絡会設置や共用部分における安全・安心整備助成の窓口業務も新規事業として開始しましたが、今後は、今回の調査結果をもとに、マンション内コミュニティの構築支援など、より一層安全・安心で快適なマンションライフの実現に向けて取組んでいきます。
問合せ 住宅まちづくりグループ(3233-3223)