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【第1回】「マンションとコミュニティ」

マンション管理士 飯田 勝啓

 マンションでコミュニティをつくっていくのは難しいと思われる方も多いかもしれません。

 「コミュニティをつくろう」と理事長さん一人だけ頑張ってもマンションに住む他の人々にはなかなかピンとこないでしょう。それもそのとおり、コミュニティは「つくろう」と思って無理につくるものではなく、あくまでも結果としてできるものだからです。
 マンションでは、近所付き合いはほどほどにしたいという方もいるでしょう。でもだからと言って諦めるのは早計です。

 「ポットラックパーティ」…。聞きなれない言葉かもしれませんが、これは参加者が料理やドリンクを一品持ち寄り、ワイワイと集うホームパーティです。欧米では頻繁に開かれていますが、例えばマンションのエントランスにテーブルと椅子を出し、そこでささやかな会を始めます。何十人もの参加者を集めようと考える必要はありません。初めは有志の方が数人だけでもいいのです。立派な集会室がなくてもエントランスの片隅でも十分で、次々帰宅する人にも声を掛けられます。入居したばかりの方で、ご近所の方の顔がわからなくても、顔見知りになるきっかけになります。一本の桜の樹があればお花見会もできますし、屋上が利用できれば花火鑑賞会など工夫次第でコミュニティをつくるきっかけになるのです。話が弾んで情報共有やマンションの共通の問題について意見を交換することにもつながるでしょう。一度顔見知りになればあいさつもしやすくなるものです。

 マンション内でのパーティが定着してきたら費用を考えることも必要となります。ちなみに、パーティでの飲み物や子どもさんへのお菓子などは管理費から支出することができます。管理組合はコミュニティ形成も重要な業務の一つで、標準管理規約には管理費が使える項目として「地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する費用」(第27条第10項)が規定されています。常識的な範囲であればこうした費用も認められます。こうして居住者同士が顔見知りになることから、災害が発生した時の「助け合い」(協助)にもつながっていくのです。

◆ 次回は、【第2回】「災害とマンションコミュニティ」です。