千代田デイズ物語り
高度経済成長とともに、“世界有数の電気街”として名を馳せた街・秋葉原。今では「オタクの聖地」や「メイドに会える街」というイメージもすっかり定着している。この街の中心を貫くように伸びるメインストリート・中央通りには、大型家電量販店やアニメグッズの店、ディスカウントショップにパソコンショップ、メイドカフェ、ゲームセンターなど、秋葉原を象徴するさまざまな商業施設が並んでいる。築45年を数える、年季の入った入り口の小さなビル「松井ビル」もそのひとつだ。この1階に、昨今、外国人観光客を相手にしたツアー企画を行う「Akiba Deep Travel」はある。スタッフとして働く槇野汐莉(まきのしおり)さんがユニークな活動をしていると聞き、訪ねてみた。
神田エリアでは、点在する古いビルの利用方法の再考を行い、街の新しいカタチをスタートさせた。その中心的な役割を担い、現代版家守(やもり)としてビルの世話人を務める橘昌邦さんは、住民を中心にした神田地域の街の再生を進め、発展させている。
オフィスビルが建ち並ぶ千代田区富士見周辺。この街の通り沿いには、かわいい鉢植えの花々が樹木を支える柵に掛けられ、かれんな姿が通りを行く人の目を楽しませ、心を和ませてくれる。市民活動グループ「花咲かじいさん」代表の笹島久子さんは、中心となってこの花々を植え、育てている。
大手町・丸の内・有楽町エリアの魅力づくりの一翼を担うNPO法人大丸有エリアマネジメント協会リガーレ。同協会事務局でイベントのプロデュースを担当している中嶋美年子さんは日々、さらなる大丸有周辺エリアの活性化、そして発信力のある魅力的な街づくりを進めている。
神田生まれの神田育ち。神田界隈の歴史、そして偉業を成し遂げた神田ゆかりの人物の足跡を探し、光を当てる活動をされている後藤禎久さん。現在は、今までの活動をさらに進めるべく、埋もれた神田の庶民の暮らしにまつわる歴史を発掘しつつ、神田の魅力を発信し続けている。
麹町小学校のPTA保護者として「こども110番の家」活動に携わり、「千代田まちづくりサポート」の審査会委員としても活動した経験がある谷眞理子さん。現在は千代田区青少年委員会で顧問を務めながら、麹町小学校の子どもたちと一緒にまちづくりについて考えている。「この街がすきだから、この街にずっと住み続けたい」。それが、谷さんが地域で様々な活動をし続ける理由。自分たちが住みやすい街にするためにはどうしたらよいか?疑問を解決するなかで、千代田区を愛する人とのご縁が結ばれ、大きな輪が広がっていく。
景観も人も、古き良さを残す街・神田。チャキチャキの江戸っ子が祭りに精を出す下町情緒がありながら、一方でビジネス街としての機能も大きい。今、私たちが見ている神田の魅力は、彼の長く地道な活動の賜物であることは間違いない。
ビジネス街として機能する千代田区麹町。ここで歴史調査や交流会といったまちづくり活動を行っているのが、「結びの会」の徳光祝治さんだ。まちみらい千代田の助成事業「千代田まちづくりサポート」は、徳光さんの活動にどのように寄与していったのだろう。
愛してやまない町が神田(千代田区)という立山西平さん(カンダデザイン主宰)。知れば知るほど好きになるという。驕りもしなければ自慢もしないけれど、神田は江戸下町の始まりだという自負もある。その思いをほかの人にも伝えたくなったとき、考えているだけでは形にならない。立山さんの場合、背中を押してくれたのがまちみらい千代田の「千代田まちづくりサポート」だ。これをきっかけに、地元を愛する人とのつながりが広がり、強まっていった。
住宅が少なく、居住者が減少しつつあった千代田区の神田地域。この町に、子どもの姿とあたたかいコミュニティを取り戻したのが、NPO団体「都市住宅とまちづくり研究会」だった。コミュニティ再生の一助となったのが、コーポラティブハウス事業だ。当事業においてコーディネーターを務める理事・事務局長の関真弓さんを訪ねる。
オフィスビルが立ち並ぶ、企業の街という印象が強い千代田区。夜間人口5万人、千代田区居住者の実に85%もの人がマンション住まいだということをご存知だろうか。例えば地震が起こった場合、その特性上、建物崩壊や延焼火災のリスクは低いものの、マンションならではの心配事があるという。住宅まちづくりグループマネージャーの風間氏と、マンション管理士の村澤さんに話を聞く。
旧練成中学校の校舎を利用したアートセンター「3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田)」には、アートギャラリーやオフィス、カフェなどが入居する。その101号室、「NPO法人コドモ・ワカモノまちing」。通称“マッチング”と呼ばれるこの団体の代表理事を務めるのが、星野諭(さとる)さんだ。紆余曲折、10年以上の活動を振り返り、子どもたちや若者、そして「地域」に今、何を思うのだろう。
千代田区に存在する約35,000の中小企業。まちみらい千代田がめざすのは、これら中小企業の成長と発展だ。彼らは従来の支援事業に加えて、6年前に千代田ビジネス大賞を立ち上げた。今期で7回目を迎えるこのイベントで、千代田区の中小企業をもっと元気にするー。そんな想いを胸に、まちみらい千代田は目下奮闘中だ。
まちみらい千代田が入居するインキュベーション施設「ちよだプラットフォームスクエア」。田辺会長率いるプラットフォームサービスは、ここで現代版“家守”のような役割を担っている。空き施設の有効活用とともに、起業家支援にも官民恊働体制で取り組んでいるのだ。「官民恊働」というかたち―地域づくりにおける、その重要性を探る。