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結びの会 徳光祝治さんの物語り

01

麹町の歴史をひも解く
「半蔵門通信」

千代田区観光協会のホームページに、連載100回を超える※コンテンツがある。
「半蔵門通信」と呼ばれるその記事中には、千代田区麹町を形成する町村ごとに興味深い“歴史ネタ”が満載されている。
読み進むにつれ、麹町の往時が偲ばれるようである。
記事を執筆しているのは、民間団体「結びの会」の徳光祝治(とくみつしゅくじ)さんだ。

今はWEB上で更新を続けている半蔵門通信だが、以前は冊子を媒体として区内に展開されていた。
配布したそばからなくなっていくほど人気を集めた冊子だそうで、観光協会がホームページで取り上げるようになったのも、町の人たちの評判あってのことだった。

もうひとつ、結びの会として行われている活動に、「交流会」というものがある。
交流会は、地元の高齢者たちが麹町の思い出を語らう会のことで、今や文献では拾えないような麹町の昔を知る貴重な場となっている。

※記事公開時

02

麹町に“交流”を取り戻したい
結びの会のきっかけ

結びの会が発足したのは約7年前。当時、徳光さんは勤め上げた銀行を退職後、
上智大学四谷キャンパスの近くで不動産鑑定事務所を営んでいた。麹町で何年も働くうちに、
徳光さんは「この町を行き来する人は、仕事ばかりに専念していて交流が少ない」と感じるようになっていった。

資料探しをしていたある日、明治時代の麹町駅を写した写真がたまたま目に留まった。
当時、まだ商業の中心地だった麹町の様相は、ビジネス街となった今の麹町とはまるで違っていた。
それは、徳光さんがこれまでに歴史の資料から知り得ていた中にはない、“人々”の情景だった。

「昔の麹町の話を直接聞いてみたいと思いました」

徳光さんは、麹町の歴史を語り合う場として、また、麹町の人が交流できる場所として、交流会の活動をはじめた。
月に一度、町内のカフェなどで行われる交流会には、毎回15〜20人ほどのメンバーが集まる。
麹町に暮らす人、麹町で商売を営んでいる人、昔住んでいた人など顔ぶれはさまざま。
中には100歳を超える人もいる。麹町の歴史に詳しい徳光さんでさえ驚く話が交わされる、実に有意義な時間だ。

03

麹町で得たものは、
記憶を発掘する楽しさ

麹町の歴史をたどる中で、さまざまな発見があった。それらはいつも徳光さんを驚かせる。

政治や経済も大事だけれど、ごく日常の生活の移り変わりこそおもしろい―。
そう徳光さんは話す。
「昔のことを知りたいとき、今ある資料から呼び起こすこともできます。
でも、今生きている人から聞いたことを書き残しておくことも大事だと思います」
徳光さんのこうした発見や思いが、今の半蔵門通信や交流会につながっている。

ある国には、「1人の高齢者が死ぬことは、図書館がひとつなくなることと同じ」という言葉がある。
それほど、彼らの経験や生きた言葉は貴重ということだ。実際に交流会で語られるのは、当人にとっては単なる記憶でしかなくても、
今の人たちからすれば新鮮で興味深いことのほうが多い

「よく、発掘調査ってあるでしょう?土器などがモノとして発掘されるわけですが、 僕らがやっているのは“記憶の発掘調査”なんです」
掘り起こされるのは、このまま埋もれてしまってはもったいないものばかりだ。

04

活動の可能性を広げた
千代田まちづくりサポート

「千代田まちづくりサポート」に徳光さんが応募したのは、活動をはじめてから2年ほど経ったころ。知人のひと言がきっかけだった。
半蔵門通信の冊子がこれまで以上に注目を浴びるようになり、「助成金を受けたらどうか」と提案されたのだ。

千代田まちづくりサポートとは、
千代田区を活気と魅力にあふれる町にしようとする民間団体を支援する仕組みのことで、公益社団法人まちみらい千代田が行っている。
徳光さんはまちづくりサポートを受けたことで、資金面のほかにも大きなメリットがあったという。

「助成金によって活動の域が広がり、メディアから注目されることで地域の人たちの期待が高まりました」
法人から正式に支援を受けている活動ということで、周囲の人も受け入れてくれやすい、
とも徳光さんは言う。反応があれば、自身のモチベーションにもつながる。

こんなことがあった。
図書館の歴史資料の中から偶然見つけた一枚の紙切れが、麹町の小さな家の存在を示していた。
「麹町に昔、こんなに小さな家があったとは思えない」そんな疑問から調べを進めていくうちに、
遠く離れた農村地帯と麹町の意外な関係が明らかになった。
この事実は、図書館の人も大学の先生も、当事者すら知らなかったという。
徳光さんは、「文献に記されていない歴史的事実が、あんな小さな“古文書”から見つかるわけですよ」と、驚きを隠せない。

千代田区には、後世に残しておきたい、もっと大切に保管されるべき資料がまだまだあるという。
まちづくりサポートのような支援が、こうした資料の保存活動に活かされることが、
千代田区のためにもなるのではないかと、徳光さんは考えている。

05

継続できるまちづくりは
日常の中にある

徳光さんの“まちづくり”に対する思いを聞いてみた。

「まちづくりは色々な形があるけれど、僕は日常の中で、お金も時間もかけない活動が軸にあるべきだと思います。
お祭りのようなイベントごとにしてしまうと、お金も準備の時間もかかる。
そのときは楽しいけれど、終わってしまえば人の交流もそこで終わってしまう」

継続してこそのまちづくり。これまで活動を続けてこられたのも、徳光さんにとって生活に密着したものだったからかもしれない。

結びの会を続けて7年。ほぼ毎回、欠かさず顔を出してくれるメンバーも少なくない。
何より、皆楽しんで参加してくれるという。
徳光さんのところには、大学から講義の依頼がくることもある。
「みんな、興味があるんでしょうね。自分が通っている町がどういうところなのか」
だからこそ、今度は若い人たちにももっと参加の輪を広げていきたいと、徳光さんは言う。
結びの会をより広く知ってもらうにはどうすればいいか、今後も徳光さんは模索を続けるようだ。

「人と人が、もっと気軽に交流できるようになればいい」 麹町について、最後にそんな思いを口にした。

(プロフィール)
徳光 祝治(とくみつ しゅくじ)
半蔵門総合研究所の代表取締役、千代田区観光協会地域歴史情報アドバイザー、不動産鑑定士。
「結びの会」の活動では、千代田区麹町の歴史調査および交流会等を行っている。

結びの会
江戸時代から現代までの歴史的情報をまとめた「半蔵門通信」を、千代田区観光協会のホームページ等で発信する。
また、地元・麹町の高齢者が思い出を語り、交流の場とする「交流会」も定期的に行っている。

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