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中嶋美年子さんの物語り

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ビジネスの街だけではない、エリアの魅力づくりを目指す

大手町、丸の内、有楽町。いずれも東京の中央に位置し、東京駅から至近距離にあるアクセスの良さ、古くからビジネスの中心に位置づけられた歴史のある街。こんな印象を、東京に暮らす人の多くは持っているだろう。
多くのオフィスビルが建ち並び、スーツを着込んだビジネスパーソンが行き交う、日本の経済活動の中心を担うビジネス街。そういったエリアは一見、経済や効率といったものを追求することのみに邁進しているように思える。

しかし最近は、全国的に「エリアマネジメント」という活動が注目され、地域の持つ資源を活用し、官民の連携によって、そのエリアに暮らす人、働く人を含めた街の活性化を目指す事業が全国的に進んでいる。この大丸有エリアはその草分け的存在だ。

このようなエリアマネジメント活動を行っているNPO法人大丸有エリアマネジメント協会(通称:リガーレ)の事務局で、大丸有エリアの発信力、訴求力を高める仕事に携わっているのが、中嶋美年子さんだ。

大丸有エリアには、このリガーレ以外に、2つの街づくり団体が存在する。
1つはエリア周辺の地権者で構成される一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会。そしてもう1つは一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協議会(エコッツェリア協会)だ。
それぞれに役割と特徴があるが、リガーレは「地域と人、人と人を結ぶ」人との交流をつくりだしていく仕事が中心。一方、エコッツェリア協会は地域創生や、地球の環境問題などの社会課題をテーマに、丸の内発の新しい価値創造を目指している。

現在、中嶋さんはリガーレに在籍しているが、同時に三菱地所株式会社エリアマネジメント推進室の社員でもある。
三菱地所は大丸有エリアにある100棟あまりのオフィスビルのうち、30棟を所有し、本社を大手町に置く企業だ。街とともに発展を遂げてきた会社としてエリアの活性化を先導していく担い手ではあるが、それを企業としてではなく中立的な立場で進められるよう、上記の3つの法人の設立、運営を行っている。3法人とも事務局は三菱地所の社員だけで構成されているが、エリアと協働して街をつくり、エリアの価値向上を図ろうとしている。そして大丸有エリアだけに限らず、周辺につながるエリアも一緒に盛り立てていくという姿勢を持っている。

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マスコミ関係の仕事から現在の道に

中嶋さんは、新卒入社の三菱地所社員ではない。前職はマスコミ関係だった。
「フリーランスのアナウンサーでした。当時はさまざまなイベントの司会や番組の企画などのお仕事をしていて、何度か丸の内のイベントでこの街に足を運ぶことがありました。ちょうどそんなとき、エリアマネジメントの事業が丸の内エリアで立ち上がることを耳にしたので、エリアマネジメント?ってと意味もわからず誘われるままに三菱地所に入社したんです。」
2007年の入社当初は、前述のエコッツェリア協会に在籍。当時、地球温暖化などの環境問題、都心のヒートアイランド現象の影響などが問題になっていた時期でもあり、これを少しでも解消するイベントとして「打ち水プロジェクト」がスタートしたばかりだった。この打ち水プロジェクトは7〜8月に大丸有地区で「日本で脈々と引き継がれている、江戸文化の知恵「打ち水」を実施。夏の暑さを和らげる効果に加えて、都市に集まる人たちの環境配慮への理解を促しコミュニティ意識を高める」という意図で企画されたものだ。中嶋さんはこのプロジェクトの運営をはじめ、エリアの企業から子供向けコンテンツを協力してもらい、夏休みに子供向けの体験イベントを実施するイベント「エコキッズ探検隊」などに携わった。

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環境視点から、街と人とをつなぐ仕事へ

エコッツェリアで、環境からのアプローチでエリアの活性化とコミュニティづくりを進めていた中嶋さんは、2015年にリガーレに異動する。
以来、現在に至るまで、丸の内エリアで開催される多彩なイベントのプロデュースから管理まで総合的に携わってきた。具体的には、丸の内の仲通り、行幸通りなどの道路空間を使い、どういうストーリーでどのようなイベントを開催していくかを考え、進めていくのが日々の主な仕事だ。

その中には、道路活用のための行政との協議や交渉、さらには近隣の企業やビルの所有者との折衝も含まれる。イベント自体も自主企画だけでなく持ち込みのプランなどもあり、いずれも近隣の企業と協力してエリアとしての目的に適ったイベントに仕立てることが重要になる。周辺オフィスで働く人たちに向けて、道路に広場のような特性を持たせつつ、外で楽しめる企画を運営し、情報を発信していく。
また、基本的にビジネス街であるため、日常の業務に支障がないよう、例えば流す音楽のジャンルやボリュームにまでも細心の配慮をする。

このような多くのイベントが開かれる状況について、近隣の企業、そこで働く人たちの反応はどうなのだろうか。
「周囲の反応はおおむね良いと思っています。(笑)近隣の企業の方々もとても協力的で多くの方が参加してくれています。ただ、毎回、改善点は何かを振り返り、それについてきちんと整理し、調整して次に生かしています」

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イベント続きで大変なこともあるが、やりがいは大きい

日常的にイベントを開催しているリガーレでは、中嶋さんの役目は俯瞰的にすべてのイベントを見ながら、滞りなく進行させることだ。

「規模の大小はありますが、ほぼ毎週、何かのイベントを実施しています。仲通りのカフェは毎日開かれているので、こちらは通常運営。それ以外に、例えば最近は、手芸や絵を描く方が多くなっているので、そういう方の作品を集めたクラフトマーケットや、秋は食のマルシェイベント、仲通りで東京芸大の学生さんによる演奏会など、本当に多彩。道路だけでなく建物の中も含めてエリア一帯を使うので、同時期に多数のイベントが重なるときは、場所の調整も必要になります」
このように多忙を極める中嶋さんだが、一緒に仕事をしているパートナー、サポートスタッフも全員が家族のように力を合わせて仕事に取り組んでいるので、日々楽しくやりがいを持って仕事ができていると言う。

また、そんな日々においてエリアに新しい賑わいのシーンが見られたり、良い反応が感じられたときは、本当にやったね!と思うそうだ。
さらにイベントを見た企業からの新たな参加希望表明があることもあり、取り組みが、だんだん浸透していると感じられてうれしいと言う。
例えば、当初「打ち水プロジェクト」としてスタートしたイベントは、4年前から盆踊りが加わって、エリアの夏祭りとして成長。企業もCSR活動として参加してくれ、環境アクションから街のお祭りへと発展した。こちらから声をかけなくても参加してくれる人や企業がある。新たな企業の参加、転勤してきた人が加わってくれるなど、つねに仲間に入る人や企業が変わりながらも発展し、街のシーンとして根ざしているところを見ると、本当にやりがいが感じられるとのこと。

ただ、イベントを行うからには、どこでもない丸の内エリアならではの内容でなければいけない。そのためには周囲に中身を理解してもらう交渉も重要。
「周辺の企業や地権者の方、行政などとの調整には優先順位をつけていかなければなりません。また、周囲との交渉時は、いかにしてイベントの意図、開催する理由や意義に共感していただくかを考えてお話しします。このエリアだからこそ意味があることを理解してもらうことが最も大事ですから」

確かに、丸の内エリアではなくてもできるイベントでは意味がないし、周囲の企業や働く人たちにとっても決して魅力的には映らないだろう。それだけに、企画段階からしっかり内容を練って、誰もが共感し、協力が得られることは最も大事。そして、いつも丸の内エリアで働いている人たちにとっても、街の新しい魅力を見つけ、その良さを再発見してほしいと、中嶋さんは願っている。

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大丸有エリアの魅力をさらに高めて発信していく

日々多忙な中嶋さんだが、実は現職につくまで丸の内のことはほとんど知らなかったそうだ。
「今は、私にとって丸の内は働く場所であり、多くの仲間・友人がいる街です。また仕事以外に、食事やショッピングなど、時間帯や曜日でいろいろな楽しみ方ができる街でもある。いわば第二のホームタウンです」

ただ、この街で働く人以外、多少有名であっても、この丸の内エリアについて詳しくは知らないはずだから、「丸の内ってステキでしょ」という身内的な思い込みではなく、フラットな感覚でいるように努めている。
発信力も訴求力も高い丸の内エリアで、つくりこんだものではない自然に発生した魅力が醸成されていけば良い。そしてサプライズとエンタテインメントがある場所にしていきたいとも。

2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。そうすると、さらに大丸有エリアが注目されるチャンスも多くなるだろう。
「イベントは瞬発的な魅力がありますが、継続的なものではありません。この丸の内エリアには、日常的にステキな空間が演出できればと思います。基本的にはビジネス街ですが、仕事をする街でありながら快適な空間をつくっていきたい。あんなところで働きたいと思ってもらえる街にしていきたいですね」

今、エリアマネジメントは丸の内だけでなくさまざまな地域で、独自の取り組みがなされている。それぞれに街の特性があり、魅力や賑わいの作り方もそれぞれ違う。そんな中で、丸の内はただ働きに来るだけでなく、街そのものを楽しめるところにしていきたいと語る。
プロジェクトチームの仲間と力を合わせて、仕事を楽しみながら大丸有エリアの魅力向上に力を尽くしている中嶋さん。その言葉からは、仕事と丸の内への熱い思いが感じられた。

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