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【第9回】「誰の世話にもならない?」

マンション管理士 村澤 優子

 マンションの中で管理組合活動やコミュニティ活動を熱心にされている世話好きの女性がいました。その方は防災会の代表として、「災害時要援護者名簿」※の作成にも熱心に取組んでいました。ほとんどの方がその取り組みに共感し、名簿登録されていました。ところが、隣の部屋の男性だけは「あんたの助けは必要ないよ」とばかりに登録を拒否していたのです。体が大きい男性で、自転車でどこにでも出かけるようなお元気な方でした。

※「災害時要援護者名簿」とは、災害時の救援協力が円滑に行われるように、日頃から見守り(声掛け)を行うことを目的として作成される名簿です。

 ある夏の日のことです。しばらく姿が見えないことを心配したマンションの住民が、管理員に部屋の鍵を開けてもらって中に入ると、室内で倒れて亡くなっていたのです。その後が大変でした。警察の現場検証への立会・部屋の掃除・身内探し、遺品の片づけまで、隣人が協力して行わなければなりませんでした。幸いにその男性の遠い親せきが見つかりましたが、ゴミ処理はマンションの隣人が手伝いました。

 亡くなった男性の方は、生前は健康に自信があったのでしょう。「誰の世話にもならない。自分のことは自分でできる。」と考えていたのでしょう。けれども、これほどマンションの隣人に迷惑がかかるということを生前に知っていたら、考え方も変わっていたかもしれません。

 誰でも自分の知らないところで誰かのお世話になっているのです。そのことを心に留めて、普段から感謝の気持ちを持ってマンションライフを楽しみたいものです。マンション内で「人間関係が煩わしい」とか、「コミュニティは不要だ」などの考え方もありますが、同じマンションに縁あって暮らしている者同士、お互いに思いやって安心して穏やかに暮らしましょう。

◆ 次回は、【第10回】「バルコニーは誰のもの?」です。