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【第2回】「災害とマンションコミュニティ」

マンション管理士 飯田 勝啓

 30年以内に70%の確率で首都直下型地震が発生すると言われています。いざ大地震が発生した時にどのような対応すればよいのか、マンションでの災害発生時の行動を想定できているでしょうか。まちみらい千代田が実施した「千代田区分譲マンション実態調査」(平成25年度)によれば、大地震等災害発生時に管理組合として対応するマニュアルができているのはわずか29%となっています。

  東日本大震災を思い起こしてみましょう。金曜日の午後に発生した地震で首都圏の交通機関がマヒしたため帰宅困難者が多数発生し、実際に帰宅できなかった方もいたでしょう。それでも当時は、できる限り自宅へ帰ることが推奨されていました。その結果、郊外へ向かう幹線道路は大渋滞し、歩道は帰宅者で埋め尽くされ、千代田区の公共施設でも多くの帰宅困難者が一夜を明かしました。しかし、無理な帰宅は、その途中でビル上層階からガラスの破片や室内の家具等が落下する危険があります。地域によっては火災に巻き込まれるなど様々な危険が待ち受けています。

 この震災をきっかけに東京都では、「帰宅困難者対策条例」を制定し、平成25年4月から施行しています。これは災害発ず、安全ならば事業所に留まるように方針転換するものです。事業所には水や食料、毛布などの備蓄を配備し、従業員の安全を確保することとなっています。こうした一連の動きはマンション居住者にも影響し、自宅に帰れない人が多数発生することになります。言い換えると、マンションに残った人だけで災害時の対応をしなければならないことになるのです。

 千代田区では、ひとり暮らし高齢者や配慮が必要な方のために「災害時要援護者対策」を、通勤・通学者等のために「帰宅困難者対策」を、それぞれ強化しています。しかし災害時に想定される様々な課題の解決には、行政だけでなく居住者がお互いに助け合う気持ちが不可欠です。

 マンション内で助け合いができる体制を「協助」と言いますが、この体制は日頃からマンション内でコミュニティができていないと機能しません。だからこそ災害対応をきっかけにコミュニティを考えることが重要なのです。

◆次回は、【第3回】「マンションと植栽管理」です。