【第3回】「マンションと植栽管理」
公園の緑が人々の心を和ませるように、マンションに植えられた植物も、外観の美しさだけでなく、マンションに住む人々の気持ちを和らげてくれます。そのようなマンションの植栽ですが、その管理をきちんとしないと、管理組合にとって悩ましい問題になることがあります。
都心のマンションでの出来事です。あるお部屋の方が、ベランダの鉢植えをエントランス脇の空間に植えました。当初はかわいらしい苗木でしたが、何年かすると大きく成長してきました。夏は緑の木陰が爽やかな風を運んできます。けれど、秋になると葉が落ちてその清掃に管理人さんが忙しくなりました。1階のお宅からは、日当たりが悪くなったと苦情が寄せられ、2階のお宅からは枝を伝って空き巣が入らないかとの苦情がきました。植木屋さんの費用もかかるようになり、とうとう、その木を切るべきか残すべきか、議論沸騰! 本来なら心を和らげ、マンション内のコミュニティを豊かにしてくれるはずの植栽が、争いの種になってしまったのです。
この事例は、初めにきちんとルールを決めておかなかったことがトラブルの原因です。では、どうすればよかったのでしょうか?まず、勝手に木を植えたことが問題でした。みんなが好き勝手にマンションの空間に植物を植えたらどうなるでしょう?せっかくの植栽デザインが台無しになってしまいますね。
次に、管理組合の当初の曖昧な対応が後のトラブルを引き起こす原因でした。管理組合としてマンションの植栽の一つに加えて総合的に管理するのか、それとも勝手に木を植えることは違反として原状回復させるか、はじめにきちんと決めておくべきでした。
マンションは、大勢の人が集まって住んでいますので、ルールを守って暮らすことが快適なマンションライフをおくる上で重要になります。マンションの植栽は、管理組合が日常管理の中で予算を立てて管理しているものです。たとえ植物が好きでも、個々の居住者が勝手に木を植えたり伐採したりすることはできません。ひとりひとりが勝手にすることはできませんが、管理組合のルールに則って植栽同好会をつくり、季節の草花を楽しんでいる事例もあります。植物を通じて、お年寄りから子どもたちを含む楽しいコミュニティができているマンションもあります。
木や草花は、私たちのマンションライフを豊かにしてくれるものです。ルールを守り、上手に管理して、快適なマンションライフをおくりましょう。
◆次回は、【第4回】「マンションと省エネ」です。