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【第13回】「マンションの火事で思うこと」

マンション管理士 村澤優子

 最近は「地震・洪水・火山噴火」などが世界的にもよく問題になっています。

 また、昔から日本では怖いものを「地震・雷・火事・親父」といいます。親父は別としても、地震や雷のような天災とは違い、火事は私たちの日頃の準備で防いだり被害を少なくできます。
 「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉の意味を調べると、「火消の華やかな働きぶりと江戸っ子の喧嘩は威勢がよく、江戸の見物(みもの)である」とありました。江戸は、木と紙と土でできた家が密集して建っていたので、火事も多く、火消の活躍は憧れだっただろうと想像します。
 
 現代でも、火事で亡くなる人が毎年100人以上います。平成26年総務省消防庁の統計では、死者の発生した建物火災の約9割が住宅での火災です。そのうち、マンション等の共同住宅が2割を占めています。
 火災の原因は、放火に次いで「たばこの火の不始末」が多くなっています。私の経験ですが、マンションの高層階で寝たばこによるボヤがありました。その時は、はしご車やポンプ車を含め、消防自動車が何台もサイレンを鳴らしてマンションを取り巻きました。エントランスは封鎖され、エレベーターは使用禁止になり、マンションの住民や近隣の人たちがあふれ大騒ぎでした。夕方学校から帰った子どもたちや買い物帰りのお母さん達も家に入れないなど、生活への影響は重大なものでした。
 
 今春、千代田区内の高層住宅で火事がありました。高層階は空気の流れが速く、風が強く吹くため、少しの火でも短時間で燃え広がるのが特徴で、一度火事になると被害は甚大です。火を出さないことが大前提ですが、万一火を出したら迅速な初期消火が大切です。消防が到着するまで、居住者自らの初期消火が、被害の拡大を防ぎます。自宅に消火器を設置するとともに、廊下など共用部分の消火器設置場所を確認し、防災訓練を通じて屋内消火栓の使い方を居住者一人一人が習得しておきたいものです。
 
 マンションに設置されている消防用設備は、年2回の機器点検と、年1回の総合点検が消防法で義務付けられています。専有部分に設置されている機器もありますから、消防設備点検の時に在宅し、居住者が点検に協力することも必要です。
 また、一定規模以上のマンションでは、消防訓練を年1回実施することが義務付けられています。訓練というと難しく考えがちですが、負担にならない程度の訓練から実施することもできますので、まちみらい千代田にご相談ください。
 
 火災に限らず、地震などの災害時には、居住者同士の協力が大切です。先の統計によると火事による死者の約7割が高齢者です。動きが遅いため逃げ遅れてしまうのです。高齢者や幼な子、障がい者の方々は、災害時には特に周囲の協力が必要です。マンションの中で、困った時に頼れる人が居れば理想的です。普段から挨拶を交わすなど、声を掛け合うことのできる環境づくりも、防災訓練と同じくらい大切なことだと思います。

次回は、【第14回】「「雨漏り」漏水対策(2)」です。