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【第15回】「標準管理規約の近況」

マンション管理士 飯田勝啓

  マンション管理において最も基本となるルールを「管理規約」といいます。「管理規約」は本来、各マンションの実態に応じて管理組合で独自に定めるものですが、何もない状態から規約を作るのは非常に困難です。そこで、その雛型となるものとして国土交通省が公開しているのが、「マンション標準管理規約」です。「標準管理規約」はたびたびその内容が改正されてきていますが、現在のものも3年ほど前から改正の動きがあります。有識者による検討会やパブリックコメントも終了し、あとは発表を待つばかりとなりました。専有部分に関して暴力団員への貸与を禁止する条項や、外部の専門家の活用など、新たに加えられたものもあれば、削除されたものもあります。外部の専門家の活用については、役員の成り手不足に対応し、外部専門家が役員になる方法、専門家に執行権限と責任を持たせ、理事会が監視監督する方法などが例示されています。

  今回の改正で削除された内容のうち、関係者間で賛否が交錯したのが「コミュニティ条項」です。「コミュニティ条項」とは、現在の標準管理規約第27条及び第32条で謳われている、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」という条項のことです。今回の改正案では削除されていますが、それは管理組合は財産管理団体であり、本来任意で自治会的なコミュニティ条項は適さないというのがその背景です。しかし、規約と同時に発表される「マンション管理適正化指針」においては、管理組合によるコミュニティ形成の取り組みが必要であると推奨されています。相反する内容に戸惑われる方も多いと思いますが、検討会の当事者にも疑問は残るようです。
 
  さて、その是非はさておき、管理組合では規約についてどう考えていけばよいのでしょうか。今回標準管理規約でコミュニティ条項が「削除」されたから管理組合でのコミュニティ活動ができなくなるかと言うと、そうではありません。基本的にマンション内の管理は管理組合で決めていくことから、その合意形成にコミュニティは必要不可欠です。また、災害に備えた防災活動や居住者の親睦のためのイベントなどといった活動は、居住者間のコミュニティ形成のうえで重要です。こうした点から改正規約案でも、管理組合の業務として「防災ならびに居住環境の維持および向上」として盛り込まれています。ですので、マンションにおけるコミュニティ活動が大切な要素であることに違いはありません。標準管理規約はあくまでも「雛型」です。従って各マンションの規約は、それぞれのマンションの実情に合わせて定めていけばよいのです。区分所有法やその他法令に反しない限り、その規約は有効です。
 
  コミュニティ活動を含め、マンションで独自に取り組みすることや特別の内容があれば、マンションにあったオリジナルな内容を規約に盛り込むことを考えていきましょう。
 今回の改正や管理組合の規約についてご不明な点があれば、まちみらい千代田へご相談ください。

次回は、【第16回】「民泊への管理組合の対応」です。