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【第16回】「民泊への管理組合の対応」

マンション管理士 飯田勝啓

 「民泊(みんぱく)」と言う言葉が昨今、世間をにぎわせています。民泊とは個人の家を宿泊先として旅行者に提供するしくみで、海外では広く普及し定着しています。現在、インターネットで集客するAirbnb(エアービーアンドビー)が世界的に先行しています。

 日本でも急増する外国人旅行者によるホテル不足に対応するため、政府は「国家戦略特区」で旅館業法の規制を緩和する政令を2014年4月に施行しました。特区で条例が制定された場合、ホテルや旅館に義務づけられる厳格な安全・衛生基準が緩和されます。これにより、文字通り民間の住宅への宿泊が認められることになるとともに、
旅館業法自体の見直しの議論も始まっています。

 この制度は戸建ての自宅であれば何ら問題はないのですが、集合住宅であるマンションで行われるとどんな影響があるか考えてみましょう。「見知らぬ外国人が頻繁に出入りしている」
「エントランスの応接を長時間独占している」「部屋の中で深夜まで騒いでいる」「ゴミの分別ルールが守られない」など様々な問題の発生が予想されます。
 本来、居住のためのマンションにおいて、短期・宿泊目的で不特定多数の方々が押し寄せてきたら、管理上様々な問題が発生するのは当然想定されることでしょう。国土交通省のマンション標準管理規約でも「専ら住宅」として用途を制限していますが、管理組合としても、不特定多数の旅行者の宿泊利用に備えたマンションとしてのルールを整備することが必要です。

 昨年12月には、都内では初となる大田区での条例が成立し、今後、都内でも普及が拡大されると予測されます。制度として合法化されれば、これを抑制することはいっそう難しくなります。
 大田区の条例では、滞在日数の下限を7日~10日とし、1日単位の宿泊はできないとしています。しかし、長期居住が一般的な集合住宅では、7日~10日の滞在といえども、平穏な生活環境が脅かされる懸念が拭えません。
 一方、Airbnb では、インターネット上で民泊を提供するオーナー(以下(「ホスト」という)の募集に際して、ホストには管理組合に禁止事項がないか確認することを求めています。しかしながら、これは事実上ホスト任せであり、どこまで徹底されているか疑問です。

 現在、標準管理規約改正の議論が進んでいますが、この中では、民泊への対応は十分とは言えません。したがって管理組合として今、対応するべきことは、
①規約や細則を整備すること。
②規約等に反する利用が発覚した場合に毅然とした対応を取ること。
 この二点です。トラブルが発覚してからの後追いでの規約制定では対応が難しくなります。このことを踏まえ、管理組合としては先手必勝、自衛のための十分な対応策を取っておきましょう。
 民泊への対応等についてご不明な点がありましたら、専門家またはまちみらい千代田までご相談ください。
  

  次回は、【第17回】「植栽とアフターサービス」です。