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【第25回】「共用部分の地震保険を考える」

マンション管理士 飯田勝啓

 東日本大震災より6年が経過します。また熊本地震から間もなく1年になります。災害の痛みは月日の流れとともに忘れがちですが、災害復旧時に心強い地震保険について考えてみます。

1.地震保険とは

地震保険の目的は被災後の当面の生活を支えることで、建物の再建ではありません。
またマンションでは区分所有者がかける専有部分の保険と、管理組合が共用部分にかける保険があります。地震保険を専有部分にかけていれば、それで十分だとお考えの方はいませんか。

2.共用部分の地震保険

マンションの共用部分はエントランスやエレベータが思い浮かびますが柱や梁、壁などの躯体部分も共用部分で、これらの損傷に対して補償するのが共用部分の地震保険です。専有部分は住戸の内側部分だけなのに対し、共用部分は対象範囲が広く地震による被害を受けやすいともいえます。それゆえ共用部分の地震保険が重要になるのです。

3.支払われる保険金は

建物の主要構造部分の損害状況により一部損、小半損、大半損、全損に認定され、一部損の5%から小半損30%、大半損60%、全損の100%まで段階に応じて保険金が支払われます。損害の判定は柱や梁など主要構造部が基準となるので、エレベータや給排水設備などに損害があっても対象外となります。
また地震保険には支払い上限があり、その額は現在、11.3兆円ですが、関東大震災規模の地震が発生しても対応できると言われています。

4.なぜ地震保険なのか

管理組合が災害で損傷した箇所を復旧する際には主に修繕積立金を充当します。災害救助法に基づく「住宅の応急修理制度」もありますが、申請の際に年収証明書添付などの条件があり使いづらく、また修繕積立金自体が十分でない場合もあります。こんな時に不足分を補うのに有効なのが地震保険といえます。

5.まとめ

今後30年以内に首都直下型地震が発生する確率が70%と言われていますが、災害が発生してから慌てても遅いのです。
熊本地震ではマンションの93%(マンション管理業協会調査)で何らかの被害が生じています。災害が発生し復旧の場面を想定して、地震保険加入の要否について考えてみませんか。
マンションでの地震保険や防災対応について、ご不明な点があれば、まちみらい千代田にご相談ください。

問合せ

住宅まちづくりグループ 3233-3223

次回は、【第26回】「マンションの『二つの老い』」です。