外部パートナーとつくる新規ビジネス創出のススメ
限られた人材、限られた設備、限られた資金の中で、いかに生産性高く売上・利益を出し続けていくのか?というのは、中小企業だけでなくとも、どの会社にとっても永遠の課題かと思います。
自社だけで「どうにかする」というのは限界があるため、外部パートナーと連携することでこの課題に取り組み、新しいビジネスを創る挑戦をしてみませんか?
1.外部パートナーと連携する意義
自社の強みと、外部パートナーの強みを連携させることで、これまでにない取り組みができることでしょう。理由として以下のとおり3つ説明します。
(1)リソースの拡充
外部パートナーとの連携により、自社の持つリソースを拡張することができます。ここでは、人材・金融資源について触れてみましょう。
①【人材】
中小企業は大企業に比べて人材のスキルや専門性、多様性に制限がある場合が多いで
す。技術力があり素晴らしい製品をつくることはできるのに販路開拓ができる営業人
材がいなかったり、逆にどんな交渉相手であっても抜群のトークスキルで受注できる
のに新しい商品企画ができるマーケティング人材がいなかったりなど。
外部企業とパートナーシップを組むことで、外部の組織が持つ専門的なスキルや人材
の多様性を取り組むことができます。これにより、新規ビジネスを進める際の競争力
を高めることができるでしょう。
②【金融資源】
せっかくのビジネスアイデアも資金面で断念せざる得ないのは勿体無いケースです。
外部パートナーと共同事業などの形で連携する場合、資金的な負担を分けることがで
き、投資リスクを軽減できます。
また、良好なパートナーシップは資金調達における信用力向上にも寄与し、金融機関
からの融資を得やすくする可能性もあります。パートナーシップの連携手段はいくつ
かあり後述します。
(2)事業のスピードアップ
市場ニーズに応えていくためにもスピードは欠かせません。外部パートナーとの連携で上がる可能性があります。ここでも人材についてと、新規ビジネスを進める上での工程・期間について触れます。
①【人材】
外部パートナーの人材活用により、事業のスピードアップにも期待できるようになり
ます。
新規ビジネスに取り組むにあたって自社にノウハウがない場合は、時間をかけて研究
や人材教育が必要となります。業界ルールや法規制は複雑で、普段の業務もある中で
これらに時間をかけていく余裕はないはずです。すでにノウハウがある外部パートナ
ーと連携することで、これらはスキップし、自社の強みを最大限効果発揮させること
に注力できます。
②【工程・期間】
新規ビジネスのプロジェクトに必要な工程・期間を減らすことができるようになるで
しょう。
例えば、製造業において新たな製品を開発し市場に投入するには、市場調査→企画→
製品開発→設計→試作→テスト→製造→プロモーション→販売など、様々なステップ
を踏む必要があります。しかし、特定の部分に強みを持ったパートナーと連携するこ
とで、その工程を大幅に短縮できます。
(3)リスクの分散
自社単独で新規ビジネスに取り組むとリスクを一手に担うことになりますが、リスクを外部パートナーと共有することで、成功の確率を高めたいですね。
先ほどリソースのところで金融資源について触れましたが、ここでは他に、市場リスク、技術リスクを説明します。
①【市場リスク】
市場ニーズは不確実で変動するものです。1つの市場に注力することで事業が失敗する
リスクは否めません。外部パートナーが既に開拓できている市場を活用するとゼロか
ら挑戦するより効率的でリスクも少ないです。また、外部パートナーと連携して複数
の市場や顧客層にアプローチすることで、一部の市場が低迷しても他で補うことがで
きるでしょう。
②【技術リスク】
中小企業が新たな技術に投資する際、その技術が思うような効果を発揮しなかった
り、旧式化してしまうリスクがあります。そうなった場合、改めて投資しなおすのは
体力的に難しいです。特にIT分野の成長は日進月歩です。専門家への相談や外部パー
トナーとの連携により、その時々で必要とされる目的にあった技術を採用していきま
しょう。
2.外部パートナーとの連携類型
中小企業庁が刊行する中小企業白書では、連携類型を大きく3つ定義しています。それぞれの特徴などは以下表のとおりです。
※表は筆者作成。類型のみ、中小企業白書を参照。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b2_1_6.html
外部パートナーとの連携により果たしたい目的を十分検討し、これらの方法でリソースを拡充し、事業のスピードアップを図り、ビジネスリスクの軽減をしていきましょう。
3.外部パートナーとの連携事例
連携事例は以下のとおりです。中小企業向け補助金・総合支援サイトとして中小企業庁が運営する「ミラサポplus」より参照しています。
「ミラサポplus」には中小企業の成功事例が多く掲載されているため、是非自社事業の検討に参考いただければと思います。
4.外部パートナー連携の見つけ方
外部パートナーとの連携について関心を持っていただけたでしょうか?
最後に、連携先となるパートナーをどのように見つけたら良いのか例を示します。
(1)ネットワーキング
業界イベントや展示会、学会、セミナーに参加して人脈を広げるとともに、自社の事業と連携可能なパートナーと接点を持てる可能性があります。共通の関心を持つ参加者と話をすることで新たな視点を得る機会にもなります。
※参考:中小企業基盤整備機構 イベント・セミナー一覧 https://www.smrj.go.jp/event/index.html
(2)ビジネスマッチングサイト
自社の技術や製品、サービスを会員企業に発信することで企業同士をマッチングさせるサイトがあります。会員企業は具体的なビジネスの提携や新規事業の開始、新たな市場への進出など、具体的な目的を持っているので連携先が見つかる可能性があります。
※参考:中小企業基盤整備機構 J-GoodTech(ジェグテック) https://jgoodtech.smrj.go.jp/pub/ja/
(3)窓口相談
地元の商工会議所や産業支援組織などの窓口に相談することで、自社のニーズにあった情報やアドバイスを得ることができるでしょう。創業支援や事業計画の見直し、新規事業の立ち上げなど、ビジネス全般に対する様々な支援を提供してくれます。
※参考:東京都よろず支援拠点 https://tokyoyorozu.go.jp/
5.おわりに
外部パートナーとの連携は、オープンイノベーションなどと表現したりしますが、中小企業だけではなく大手企業も取り組んでいます。市場ニーズに応えるためには、もはや自社だけでは難しくなってきている表れかと思います。
本コラムをきっかけとして連携に挑戦いただけると嬉しく思います。中小企業皆様の事業発展を心よりお祈りしております。