中小企業へのアドバイス!補助金の申請書を書いてみよう!!
がんばる中小企業応援リレーコラム
~ 企業の社会価値を高める ~
第4回 中小企業へのアドバイス!補助金の申請書を書いてみよう!!
中小企業診断士 荒谷 司聖(あらたに もりまさ)
1.「春」といえば・・・
みなさんは「春」と聞いて何を思い浮かべますか?
私は中小企業の皆さんのお手伝いをするようになって4年目ですが、会社員時代の「春」のイメージは、桜、新緑、パンまつりでした。以前の職場が九段下の駅から坂を上ったところにありましたので、春になればカメラ片手に少し早めに家を出て、出勤前に千鳥ヶ淵の桜を撮るのが楽しみだったのです。「新緑」もまあ同じような理由です。
なお、「パンまつり」は例のCMの影響と、実家がコンビニの隣だったことに由来します、気になる方のために念のため。
あれから3年、私が「春」と聞いて連想するものはすっかり変わりました。3年たった今、最初に思い浮かべるのは「補助金」です。何の風情もありませんが、会社員を辞め、中小企業のサポートをするようになった一人の動物として正しく進化していることを実感します。
補助金という税金の活用にある種の抵抗感をお感じになる方もいらっしゃるようですが、補助金の目的は「より良い企業を生む」こと。こちらとしても補助金を活用してより良い企業になりたい。であれば、使わない手はありません。
2.補助金の鉄則
補助金には大きく分けて2つの種類があります。1つは資格要件さえ満たせば受けられるもの、もう1つは資格要件を満たしていることを前提に応募者をふるいにかけるものです。前者は「助成金」と呼ばれることもあるようですが、以前流行った「エコカー補助金」は資格要件さえ満たせば受けられるものでしたし、ここでは特に両者を区別するようなことはしません。すべて「補助金」です。
そんな中、特に問題なのはふるいにかけられる方の補助金です。こちらは申請書の内容が採点され、採択/不採択が決まる、いわば「テスト」であって、不採択になれば一銭も支給されませんから、ふるいに引っかかるような工夫が求められます。
鉄則1:公募要領は熟読せよ!
補助金の公募要領は「問題用紙」です。ものによってはかなり分厚い場合もありますが、必ず目を通してください。問題用紙を見ずに答えを書くことはできません。
特に①自社が対象になっているか、②補助金の目的は何か、③どんな経費が補助の対象になるのか、④審査項目は何か、についてはしっかり目を通しておきましょう。仮に専門家に相談するにしても、ここを押さえておかないと話が進みません。まずは公募要領にしっかり目を通しましょう。
鉄則2:自社ビジネスの課題を見極めよ!
多くの場合、補助金の種類は取組みたいことのステージで切り分けられています。つまり「販路拡大」や「研究開発」、「海外進出」など補助金の目的に応じた審査項目になっているので、解答(申請書記入)の仕方は少しずつ変わってきます。しかし全くの別物かというと、そうでもありません。すべてのタイプに共通する、外せないポイントもあるのです。
その1つが「自社ビジネスの課題を見極めているか」です。なぜなら、その企業が自身の課題を正しく理解していなければ、どんな補助金も意味をなさないからです。たとえば「おなかが痛いから頭痛薬を買いたいです。経費の一部を補助してください」という企業に税金を投じることはできません。審査側からすれば「自分の症状をわかっていない。これでは良い状態になり得ないな」、となるわけです。
だから、まずは自社のことをしっかり説明しなければなりません。「最終製品は○○で、こういった工程を踏んで出荷する。仕入れ先は△△、供給先は××。市場環境はこんなで、競合はこんな動き。将来こうなっていく中で、自社の課題はこの部分だ」というわけです。
鉄則3:写真、図を多用せよ。平易な言葉で書け!
テストで他の応募者に先んじるには、「わかりやすいこと」が重要です。そこで大活躍するのが写真やグラフ、図表、自社のホームページ画像などです。雑誌のようにきれいにレイアウトする必要はありませんので、どんどん使っていきましょう。
また、テストの審査員があなたの業種に明るいとは限りません。流行りに敏感な人とも限りませんし、英語に強い人かどうかもわかりません。業界では当たり前の略語や、まだ知られていない言葉、横文字を使うなどして、カッコつけるのはやめましょう。意味もなく難しい言葉を評価する審査員は私の知る限り一人もいません。
鉄則4:ポイントを外すな!
テスト型の補助金には必ず「ココを評価します」ということを書いた審査項目が示されています。仮にここで求められている点をすべて書き漏らせば、それは白紙と同じ。どんなにたくさん書こうと、想いの丈をぶつけようと0点です。エコや社会貢献、これまでの苦労話などを書いても、それが審査項目になければ点にはならないのです。
鉄則5:カードが切り札!?
このステップは飛ばしてもOKです。
しかしこれまで見てきたようなポイントを押さえつつ、流れのある文章にまとめるにはそれなりの技術が必要で、実際にはなかなか難しい。日本語が喋れれば、文章が書けるというわけでもないので、このステップを踏むことをオススメしています。
初めは大丈夫でもだんだんに文章がねじれてきたり、話があっちこっちに飛び飛びになったり、内容が矛盾してきてしまう文章をこれまでいくつも見てきました。そこで活用したいのが自作のカードです。以下にその手順を示します。
① A4用紙を半分に切る(カードの作成)
② カードに問題(審査項目)を書く。1枚に書くのは1問だけ。
③ 問いに対する解答を書く。箇条書きで構わない。文章になっていなくてもよい
④ 広いスペースにカードを並べる。順接、逆接、並列など話の流れを意識する
⑤ 写真、図などを入れながら実際の申請書に書いていく
パソコンの得意な方はプレゼンテーション用ソフトを活用してもよいと思います。まずはパソコンで作ったものを印刷して④を行なう。実際に手足を動かすことで、自社の状況や課題がどうなっているのか、今後どうしていけばいいのか、頭の整理ができるはずです。
ここまでできれば、あなたの書いた申請書はかなりのレベルに達しているはずです。採点されるべき材料はすべて入れてありますし、あとは課題解決に臨む情熱を盛り込んで、ヌケモレがないか最終チェックをしましょう。強調したい箇所はアンダーラインや太字で強調してもよいと思います。審査員が採点しやすい、高得点をつけやすい申請書になるはずです。
3.この春に公募がかかる(であろう)人気の補助金
ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金
受付中。締切は4/13
研究開発系。補助上限は500万、1000万、3000万。補助率2/3
小規模事業者持続化補助金
販路拡大系。補助上限は50万、補助率2/3となる見込み
集開始は3月初旬か?その他詳細未定
創業・第二創業促進補助金
募集開始は4月初旬(1ヵ月程度)
その他詳細未定
一般社団法人ちよだ中小企業経営支援協会(担当:荒谷 / alanturney@me.com)