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猛暑日が続いた今年の夏。これを常態と考えて、本格的な省エネ、再エネの取り組みを。

マンション管理士 飯田太郎 氏

猛暑日が続いた今年の夏。
これを常態と考えて、
本格的な省エネ、再エネの取り組みを。

 今年の夏は記録的な猛暑でした。気象庁の発表によれば、東京都都心で最高気温が35℃を越えた猛暑日は、8 月21日の時点で21日、夜間の最低気温が25℃を超える熱帯夜は36日でした。猛暑日は記録を取りはじめて以来最も多くなりました。9 月も中旬を過ぎ、猛暑日はほぼ収まりましたが30 度を超える日が続いています。
 図1は1880 年頃から2020 年までの約140年の東京都心の夏の平均気温を示したものです。1年ごとに見れば暑い夏もあれば、涼しい夏もありますが、全体的な傾向は右肩上がりで、2度以上上昇したことが分かります。
 世界気象機関(WMO)と欧州委員会の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2023年7月27日に「2023年7月が人類史上最も暑い月となる」と発表。これを受け、国連のグテーレス事務総長は「地球沸騰化の時代が到来した(The era of globalboiling has arrived)」と語りました。世界各地で発生する山火事や、線状降水帯の頻発による豪雨の頻発もこうした状況の一端を示しているのでしょう。
 千代田区には皇居の広大な緑がある半面、マンションやビル等のコンクリート造の中高層建物が多いため、輻射熱やクーラーに使用による熱の排出が、まちの気温を上昇させていることが考えられます。

(図1) 出典:東京管区気象台ウェブサイト(令和6年4月1日現在公開されていません)

管理費削減効果も大きい給水設備の増圧直結方式への変更

 来年以降も猛暑が続くことが予想されますので、この夏の猛暑を機会に、マンションの温暖化対策を本格的に考えることをお勧めします。この場合、参考になるのが「東京都マンション省エネ・再エネガイドブック」(発行:東京都住宅政策本部民間住宅部マンション課、協力:港区、豊島区、(一社)東京都マンション管理士会都心区支部)です。
 温暖化対策にもなる省エネ・再エネ関係のさまざまな工夫や工事について、費用と効果を具体的に示しています。中でも電気料金とメンテナンス料金が大幅に節約でき、衛生面でも安心感が向上するのは、給水設備の高置水槽方式から増圧直結方式への変更です。7階建て、35戸のマンションの試算例ですが省エネ(電気代削減)効果が年間約62%(114,760円)、水槽清掃費等のメンテナンス費用削減効果が年間約55%(120,000円)、合計年間約234,760円の節約になります。(図2)
 この他にもガイドブックに掲載されている省エネ・再エネ方法の中には各家庭でできることもあります。
管理組合と各家庭の両方で、暑さ対策と省エネのために何ができるか考える参考にしてください。ガイドブックの制作に協力した(一社)東京都マンション管理士会都心区支部に所管するマンション管理士を、(公財)まちみらい千代田のアドバイザー派遣制度で派遣することもできます。

※給水方式の変更についての管理組合総会決議は、形状の著しい変化がないため普通決議です。受水槽の撤去後のスペース活用方法で形状が著しく変わるときには、特別決議となる場合もあります。

(図2)出典:東京都マンション省エネ・再エネガイドブック
   https://www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/pdf/shoene-guidebook/shoene-guidebook000.pdf  

マンションサポートちよだmini第157号掲載(2023.9月発行)
(PDFで読みたい方はこちら