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令和5年4月、千代田区のマンション「管理計画認定制度」がスタート まず、認定基準を理解しましょう  重視されるマンションの全体像を考えた維持管理

マンション管理士 飯田太郎 氏

令和5年4月、千代田区のマンション「管理計画認定制度」がスタート まず、認定基準を理解しましょう

 昨年12月23日に閣議決定された令和5年度税制改正大綱に「マンション長寿命化促進税制」の創設が盛り込まれました。これは管理計画認定(千代田区では令和5年4月1日から実施)を受けたマンションが、長寿命化工事を実施すると、その翌年度、区分所有者に課税される建物部分固定資産税額が減額されるものです。減額割合は、1/6~1/2の範囲内で市町村(東京23 区は東京都)が条例で定めます。対象となるマンションは、次の通りです。
①築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
②長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
③長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
 減税の対象となる工事は、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事です。この税制改正が実施されるのは、国会で関連税制法が成立することが前提となります。長寿命化工事の具体的内容等の詳しいことは、法律が国会を通過した後に発表されます。
 「長寿命化工事」の具体的内容については未だに分かりませんが、現在実施されている「マンションストック長寿命化等モデル事業」で、国土交通省は「長寿命化改修工事」について次のように説明しています。
 「長寿命化に資する先導的な新しい工法や材料を導入したり、マンションに新たな機能などを取り込むなど、従来あまり取り組まれていない先導的な改修工事を想定しています。劣化した部材の補修や設備の修理・取替など修繕のみを行う工事や、一般的な大規模修繕工事は対象となりません」
※https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001464896.pdf(現在は公開されていません)
 減税の対象となる工事も同じように限定されるかもしれません。

重視されるマンションの全体像を考えた維持管理

 このことは管理計画認定制度や長寿命化促進税制の背景にある、国の考え方からも推測されます。簡単に言うと「社会的資産としてのマンションを維持するためには、大規模修繕工事等も従来の考え方を変える必要がある」ということです。これまではマンション購入者の初期費用負担を軽くするため、修繕積立金を低めに設定し、入居後数年のうちに引き上げるという考え方がとられてきました。長期修繕計画も新築時の計画は30年間ですが、その後は25 年とされてきました。ここには築40年程度で建替えられるという期待もあったはずです。しかし実際には、建替えはあまり進まず、コンクリート躯体の寿命も100年以上というマンションもあり、地球環境への配慮からも長寿命化が望ましいと考えられるようになってきました。35歳で新築マンションを購入した人は、40 年後には75歳になり、その歳で住宅ローンは終わっていたとしても修繕積立金等をどの程度負担できるのかも問題になります。 
 長寿命化促進税制等も念頭に置き、マンションだけでなく自分や家族の生活の先々を、総合的に検討していくことが必要な時代になっています。

マンションサポートちよだmini第149号掲載(2023.1月発行)
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