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国・東京都・千代田区の 住生活基本計画( プラン)が出そろう

マンション管理士 飯田太郎氏

 住生活基本計画を作成することを定めた住生活基本法等に基づき、国・東京都・千代田区はその計画(プラン)(図表-1)を策定しました。国が最初の住生活基本計画(全国計画)を策定したのは平成18(2006)年です。それまでは、住宅不足解消と量の確保を中心とする住宅建設五箇年計画に基づいて、国は住宅政策を推進してきました。この計画は、第八期(平成13年度~17年度)で終了し、国民の住生活の安定確保及び向上の促進を目指す住生活基本計画が施行されました。
 本号では、先に述べた3つの計画のポイントや計画の前提になる将来人口を紹介しながら、これからのマンション生活と管理について考えます。


1⃣国と東京都の計画では、マンションはそれほど重視されていない
  3つの計画を比較すると、千代田区はマンションを重視し、「マンションにおける良好な居住環境の確保」を目標に掲げているのに対して、東京都は都営住宅等を最も重視し、マンションにはそれほど重点を置いていません。東京都は25.6 万戸にのぼる都営住宅等の供給主体として責任を負っていますが、マンション居住者の都民全体に占める割合は約20%にとどまるためと考えられます。国はマンション居住者が全人口の約10%であることを踏まえて、簡潔な記述となっています。 
 このことは、マンションに関わりのある人にとっては物足りなさを感じるかもしれません。また、これらの計画から、都心部を除くマンションの居住割合が低いことを再認識させられます。


2⃣長期間続く人口減少が、計画の前提条件になる
 国の住生活基本計画(全国計画)が、人生100年時代と2050年を視野に入れることを重視していることは、これからの住生活は10年単位ではなく、より長期的な視点が必要なことを示しています。
 図表-2は総務省が発表した「我が国における総人口の長期的推移」です。日本の総人口は2004年をピークに、2100年には100年前(明治時代後半)の水準に戻る見通しとなっています。この資料は、住生活だけでなく、さまざまな分野で長期的に将来を考えるうえで、基礎的な資料になります。

 なお、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計では、2050年の総人口は約1億469万人となっています。2020年の国勢調査の結果(約1億2,615 万人)と比較すると、2,146 万人減少する見通しとなっています。
 また、社人研は2050年の都道府県・市区町村の人口も推計しています。これによると2050年には、東京都を除くすべての道府県で2020年を下回り、秋田県などの11県では30%以上減少する見通しとなっています。また、2050年の人口が2020年の半数未満になる市区町村が20%に達します。最近、各地で山林火災の発生や熊の出没が報道されていますが、人口減少で山林の管理が難しくなっていることと無関係ではないと思います。
 しかし、大幅な人口減少が予想される地方自治体も、決して無策ではないはずです。人口減少時代は縮小する人口・経済規模を自治体間で奪い合う、地域間競争が激しくなる時代だと考えることもできます。
 これは日本の中心に位置する千代田区も例外ではありません。かつては人口減少が続き、1995年には35,000人を下回り、独立した地方公共団体としての存続が懸念されたこともあります。その後、民間の協力などもあり、政治・経済の中心地としてだけでなく、生活の場としても便利で快適な街であることを具体的に示すことができたことにより、人口増加に転じました。人口増加は図表-3のとおり2060年頃まで続くと予想されています。


3⃣良好な居住環境の確保には、区分所有者・居住者の主体的努力が必要
  千代田区民の約90%はマンションなどの共同住宅に居住しています。住み良いまち・地域づくりは、マンションと地域社会との関係次第と言っても差し支えありません。自分たちが所有・生活するマンションが管理不全に陥らずに、さらに管理状態を向上させて、周辺地域の居住環境を改善することも、管理組合等の大切な役割です。また、長期的視点でマンションを良好に維持するためには、区分所有者の皆さんが自分たちの世代だけでなく、子どもや孫の世代にも協力を求めることが必要です。
 管理不全の防止だけが、マンション管理の課題ではありません。管理業者管理者方式の導入は、管理不全防止に効果が見込めます。しかし、マンションをハード・ソフトの両面で良好な状態を維持し、その居住環境を確保できるかは疑問です。また、当事者である区分所有者・居住者の主体的努力が欠かせません。
 昨年実施された区分所有法等の法律の一括改正と標準管理規約改正で、新たに区分所有者の責務として「管理組合の構成員としてお互いに協力し、円滑に管理を行う」ことが定められました。このほかに、管理組合総会で出席者の過半数の賛成で決議ができること、また、裁判所の判断で所在不明区分所有者を母数から除外することなどが可能になりました。マンション管理の主体という自覚をもった区分所有者を中心に管理組合を運営するという原則が確立したことになります。
 マンションは、さまざまな価値観、生活設計等を持った人たちの集合体です。そのため、簡単に意見がまとまらないことは当たり前です。住生活の主人公としての自覚をもって、意見の違いがあることは当然と考え、管理組合総会、理事会等の場で十分意見を交わし、自分たちの考え方をまとめる努力が必要です。

 

マンションサポートちよだmini第189号掲載(2026.5月発行)
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