マンション大規模修繕に潜むリスク ~ 透明性のある手続きと管理で対策を!
公正取引委員会は9月28日、関東のマンション管理組合が発注する大規模修繕工事で談合を繰り返したとして、設計コンサルタント会社(以下「コンサル」という。)2社と施工会社40社の独占禁止法違反を認定し、そのうち38社に再発防止を求める排除措置命令を発出しました。
コンサルは施工会社と示し合わせてあらかじめ受注額を決定し、管理組合が複数業者の工事費の見積もり比較をする場で、当該業者が最低見積価格を提示していました。これにより、競争が制限され、組合員が負担する工事費が不当に高騰した懸念が生じています。
また、コンサルから施工会社に対して、管理組合が決めた設計予算などの非公開情報が提供されていたことや、受注した施工会社からコンサルに対して工事契約金額の一定割合に相当する手数料等(バックマージン)が支払われていたことも確認されています。
管理組合が適正な価格で工事を進めるためには、専門家によるサポートが必要ですが、その立場にあるコンサルが、金銭的な被害をもたらす不当な画策をしたことは大きな問題です。
大規模修繕工事は、管理組合にとって最大の財政支出(数千万円から数億円規模)を伴うものです。今後、同様の被害を未然に防止するために管理組合が注意するポイントを確認します。
「談合」の被害に遭わないためには
不正を防止するためには、コンサルや管理会社にすべてを委任せず、管理組合が主導的な立場でプロセスを透明化することが最も重要です。
管理組合が主導的な立場で実施
コンサルはあくまで選定をサポートする立場です。業者選定や見積もりの確認を一任することなく、最終決定は必ず管理組合や修繕委員会が行ってください。
管理組合の無関心は談合の温床となります。「自分たちのマンションは自分たちで守る」という意識を持ち、積極的に選定等に関わることで不正の早期発見につながる場合があります。また、裏金や不透明な利害関係がないか書面で確認・確約を得ることも効果的です。
「プロポーザル方式」や「サードオピニオン」の検討
見積書から談合を見抜くことは困難なため、発注方式を見直すことも有効です。
「プロポーザル方式」は、組合の要望を伝えたうえで、各施工会社がそのマンションを調査し、本当に必要な工事仕様や金額を総合的に競います。そのため、単なる価格比較よりも談合の防止につながります。また、第三者専門家(マンション管理士など)によるサードオピニオンの活用も推奨します。
選定基準を明確にする
談合を避けるためには、コンプライアンス意識が高く信頼できるコンサルや施工会社を選定することが大切です。
具体的には、以下のようなポイントを参考にしてください。
| ○同じような規模のマンションでの工事実績や担当者の経験 |
| ○見積書の内訳・工事内容が妥当かどうか |
| ○質問に対し明確な説明があるか |
| ○法令順守や利益相反への対応方針 |
| ○特定の業者との資本関係の有無 |
| ○選定に関する手数料・紹介料等の有無 |
| ○組織体制(資本金、従業員数、上場の有無) |
また、コンサルが施工会社を決定する際にも、「特定の会社に決めるよう強く勧められる」「他社の見積もりを十分に比較しないまま決定を急がされる」「選定理由を聞いても明確な説明がない」といった場合には慎重な確認が必要です。
管理組合内に協力者を増やす
日常的に組合員同士で情報を共有し、意見を交わせる関係を構築することが大切です。この関係が希薄だと、コンサルが悪質だったとしてもそこに頼るしかなく、意見が偏ってしまいます。修繕委員の人数を増やして多くの意見を取り入れることは、それだけで談合の抑止力になります。話し合いの場に毎回参加が難しい場合でも、要所で意見交換をできるような緩やかなつながりを広げてください。
大規模修繕工事は、大切な資産であるマンションを長く維持していくために欠かせません。
必要な情報を共有し、透明性のある手続きを進めることが、適正な管理とトラブルの防止につながります。