建替え要件の大幅緩和を提言《マンション管理 最近の動向vol.13》
建替え要件の大幅緩和を提言
老朽化マンション対策会議
民間の有識者や管理組合が参加する老朽化マンション対策会議は、6月20日「老朽化マンションへの緊急対策(第一次提言)を発表しました。同会議が6月の設立以来、建替えの阻害要因等を検討した結果をまとめたもので、次の8項目を提言しています。
①建替え決議要件を「5分の4以上」から大幅に緩和
②現敷地と異なる別の土地での建替えを認める
③建替え反対者に対する売渡し請求額の算定方法の見直し
④建替え決議を正当事由とする「借家権消滅制度」
⑤団地一括建替えにおける各棟決議要件を「3分の2以上」から大幅に緩和
⑥現行規定以外の団地の一括建替え決議の容認
⑦多数決による区分所有関係解消決議制度の創設
⑧管理組合に応じた建替え等の合意要件の私的自治としての決定
同会議は第一次提言をもとに、区分所有法の改正等の実現を各方面に働きかけ、急増する老朽化マンションの建替えを促進するとしています。
被災マンションが解散・解体を決める
地震保険の全壊認定を受けて
3月11日の東日本大震災で被災した仙台市宮城野区のSマンションは、管理組合総会で建物を解体して土地を売却することを決議しました。このマンションは昭和51年(1976年)に建設され築35年の旧耐震構造です。新築2年目の昭和53 年におきた宮城県沖地震で被害を受けたそうです。
今回の地震では外見上は大きな被害を受けていないようですが、建物が傾斜し基礎杭も損傷をうけているため管理組合で加入していた地震保険で全壊認定を受けました。地震保険の保険金と修繕積立金に加えて土地の売却代金を区分所有者全員に配分することにしたわけです。
建替えをせずに解散・解体を決めた理由の一つは、建設後の都市計画の変更により法定容積率が引き下げられたことです。これにより、Sマンションは現在14階建て189戸ですが、建替えをした場合、再建後のマンションは戸数が大幅に減るか、住戸が狭くなります。
全国的にも珍しいマンションの解散(区分所有関係の解消)・土地売却の今後が注目されます。
マンションサポートちよだmini第13号(2011.7月発行)掲載
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千代田区マンション理事長連絡会
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