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首都直下地震を見据えて、今からできる防災対策を!

マンション管理士 飯田太郎 氏

 政府は6月12日に「首都直下地震緊急対策推進基本計画」の改定を閣議決定しました。今後10年間で、想定される死者最大約1万8千人と建物被害約40万棟を「半減以上」にすることを目指す減災目標を掲げています。今回は新たに「在宅避難の促進」を盛り込み、マンションでの防災訓練実施率や各家庭での3日分以上の飲料水備蓄を100%に近づける目標を掲げました。
 そうした中で、6月16日の茨城県南部(最大震度5弱)を皮切りに、25日には岩手県沖(最大震度6強)、26日には山梨県東部・富士五湖周辺(最大震度6弱)を震源とする地震が相次いで発生しており、大規模災害への備えは一刻を争う状況です。この機会に、お住まいのマンションでも首都直下地震を見据えた防災対策を推奨します。
 地震災害が発生したとき、マンションでは「在宅避難」が基本です。東京都でも、自宅での避難生活に耐えうる災害に強いマンションづくりの実現のため「東京とどまるマンション」への登録を推奨しています。
 下記は、自宅で安全に避難生活を送るための3つのポイントです。


▮在宅避難用の備蓄
○各家庭での備えとトイレ対策
 電気や水道、ガスといったライフラインの途絶に備えて、[水(1人1日30ℓ)、食料(1人1日3食)、携帯用トイレ(1人1日5回分)]を目安に、約1週間分(最低でも3日分)を蓄えましょう。特にマンションでは、停電によって給水ポンプの停止や排水管の破損により、水洗トイレが使用できなくなるリスクがあります。汚水漏れなどの二次被害を防ぐため、「災害時はトイレを使用しない」などのルールを共有し、各家庭で携帯用トイレ(凝固剤付きのもの推奨)を必ず備蓄してください。

○家電停止(停電)への備え
 停電すると、電化製品は使用できません。スマートフォンは、安否確認や情報収集の命綱です。数日間充電できる大容量ポータブル電源を用意しておくと、夏場・冬場には扇風機や電気毛布なども使用できるため安心です。

○ローリングストックの活用
 普段からインスタント食品や水などを多めに購入し、消費した分を買い足して常にストックがある状態を保つ「ローリングストック」を活用すれば、防災食などの準備は不要です。災害時でも普段から食べ慣れたものを摂取できるため、心身のストレス緩和にも有効です。

▮安全な室内空間をつくる
 地震による負傷者の3~5割が室内での家具の転倒や落下によるものです。特にマンションの高層階は、地震の揺れを増幅させる「長周期振動」の影響を大きく受けるため、家具などの転倒防止措置は欠かせません。
 家具の固定は「ネジ留め」を基本とし、壁の下地にある柱にしっかりと固定してください。なお、不可能な場合は、つっぱり棒などで天井や壁に固定してください。観音開きの扉には開閉防止フックを取り付け、ガラス部分には飛散防止フィルムなどを貼ると安心です。
 また、家具が倒れて出入り口や廊下を塞ぐことがないように配置を工夫し、寝具(特に頭の付近)の周りには、背の高い家具を置かないようにしてください。

▮マンションにおける避難行動・設備対策
○管理組合による防災対策
 管理組合が主体となり、東京都が発行する「東京都マンション防災ガイドブック」の様式を参考に、マンションごとに居住者の世帯・年齢構成に合わせた防災計画を作成してください。内容は、防災訓練を実施して検証を行いながら、必要に応じて随時更新することが望ましいです。

○エレベーター停止のリスク
 地震直後、エレベーターは安全確認のため長期間停止します。 閉じ込め対策として、(公財)まちみらい千代田が配布している「エレベーター非常用備蓄キャビネット」をカゴ内に設置することを推奨します。このキャビネットには、救助までの間に必要な携帯トイレや水などが入っています。
 実際に閉じ込められたときのパニックを最小限に抑えるために「エレベーター閉じ込め救出訓練」などを実施することも有効な備えになります。

○要支援者の情報共有と名簿の管理
 事前に災害時要配慮者を把握しておくことも重要です。高齢者や障がいのある方など、自力での避難が難しい居住者の情報を区分所有者間で共有しておくことで、有事の際に優先的な支援が可能になります。
 区分所有者と居住者の名薄を作成することが望ましいですが、個人情報の取り扱いには注意が必要です。誰がどのように管理を行うのかルールを定め、作成後は責任者が適切な方法で管理することが大切です。


⁅ まとめ ⁆
 千代田区は全域が地区内残留地区(※)です。有事の際、建物に倒壊の恐れがない場合は、原則、建物内にとどまることが推奨されています。特に、鉄筋コンクリート造の建築物であるマンションは、地震に強く、火災の延焼の危険性も低いため、可能な限りマンション内にとどまるべきです。千代田区やまちみらい千代田では、マンションでの在宅避難に対する各種支援(助成)制度があります。東京都のとどまるマンションや各種支援制度を活用し、災害に強いマンションづくりを進め、災害に備えることが大切です。
(※)不燃化が進んでおり、万が一火災が発生しても、地区内に大規模な延焼火災のおそれがなく、広域的な避
  難を要しない地区


 マンションサポートちよだmini第191号(2026.7月発行)